修道士ロレンソとの討論で負ける信長 | ★織田信長の夢★ 鳴かぬなら 鳴ける世つくろう ほととぎす

★織田信長の夢★ 鳴かぬなら 鳴ける世つくろう ほととぎす

織田信長の人柄や精神面に
焦点を当てた逸話や記事を書いておりまする★


□■修道士ロレンソとの討論で負ける信長■□


1579年(天正7年)7月           信長 46歳


今日の記事は、昨日のブログ記事「宣教師たちとの仲良しアピールをする信長」で紹介した一節の続きである。

ここでは信長は、日本人修道士のロレンソと討論したいと言い、「予がいかに大声を上げようとも、怒りで墨よりも黒くなとうとも、返答を控えぬように。」と大声注意報を出し(笑)、討論を始めた。

信長は、天国と地があることを示す証拠について討論し、ロレンソが説得力のある返答をすると、信長は大声を発したという。
何を大声で言ったのかについて書かれていないのが残念である。

その後、信長はあっさりと負けを認め、フォアン(恐らく、武井二位印夕のこと)に助けを求め、ロレンソに説教したという。
彼の素直でお茶目な部分が見れて面白い。

その上、その場にいた全員にキリシタンとなる準備を整えることを命じたと記される。


①翻訳文

「1579年10月22日付、都発信、ジョアン・フランシスコの、バサインの学校長マヌエル・テイシェイラ宛書簡」より

(前略)
さらに信長は、ヨーロッパに皇帝はいるのか、また、我が教えのことを聴いて悟ることが可能かと尋ね、よりいっそう親しみを表すため、ロレンソ修道士の方へ向き直り、彼と討論することを望むと言った。

信長ははなはだ威厳があって、いとも恐ろしき声を持っており、その一声で面前にいる人をことごとく怯えさせるほどであるため、彼はあらかじめ修道士に対して、予がいかに大声を上げようとも、また、怒りのために墨よりも黒くなるのを見ても返答を控えぬように、と言って注意した。
こうして、彼は討論を始めた。

天国と地獄があることを示すのに如何なる理由があるか。
修道士がはなはだ説得力のある返答をすると、信長は恐ろしい大声を発し、広間にいた諸人を動揺させた。


側にいた一人の大身が彼のもとに駆けつけたところ、信長は彼に向って、フォアン、予の負けなるが故、予を助けよと言い、修道士に説教するよう命じた。
説教が終わると、彼は自ら同席者に全員キリシタンとなる準備を整えることを命じ、これに対して諸人は満足であると答えた。

この後、一時間談話を延長したが、信長にかつてこのようなことは一度もなかったので、すでに諸人がキリシタンになっているとの噂がたちまち都に流れた。

━─━─━─━─━─ ━─━─━─━─━─ ━─━─━─━─━─ ━─━─━─━─━─

参考文献

・『十六・七世紀 イエズズ会日本報告集 第Ⅲ期 第5巻 1577-1581年』 松田毅一 監訳、同朋舎、1992年

 

 

 

 

 

 


ぽちっと押していただければ、嬉しいです

歴史ランキングへ