■非正規職の待遇改善が日本を救う~無謀な正規職化が待遇劣化を招く | ◎ 浮輪浮遊録 ◎

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★「では、どうするか」が、視点のブログです。/ ★ 更新:【 第2 水曜 】、他・随時更新。(2010年9月15日 開設)

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非正規職の正規職化とともに、給与増額を唱える論調があります。
その意図は十分に理解はいたすものの、我が国全体を考慮した場合、必ずしも良い結果になるかは大いに疑問があります。


本日は、少子高齢化社会の下での雇用関連の諸事について述べたいと思います


◆定年退職者層、育児終了婦人層、各種未就業者層の雇用促進は、非正規雇用が鍵
移民導入は論外で、係争当事国以外の時限労働者導入であったとしても、社会的な負担が著しく好ましくありません。


そこで、我が国が本来保有する人的資源を全力で活用することとなります。
定年退職者層、育児終了婦人層、各種未就業者層の雇用促進を急がねばなりません。
そのためには、職業教育支援と就業支援を充実させねばなりません。


そして、次に大切なことは、新規や再度の就業者全てが正規職を希望していないことです。
特に、定年退職者層、育児終了婦人層は非正規職希望が多いと思われます。
これらの高齢者や婦人には働くことが不利益にならないような税制や社会保障制度が必要となります。


◆解雇の自由を犯すなかれ
働く側に権利と義務があるように、雇用する側にも権利と義務があります。
巷間、解雇の自由を厳しく指弾する論調がありますが、ブラック企業が存在するようにブラック職員も存在します。
ブラック企業に関しては、詰まるところ辞めることで解決への道であり、辞めさせなければ明確な犯罪となります。
一方、ブラック職員に関しては解雇が解決の道ではあるものの、一筋縄には参りません。


これを解雇することこそが「正義」のはずです。
しかしながら、業務査定が完全に公正ではあり得ないことも事実です。
このため解雇された側が再就職で法外な不利にならないようにしなければなりません。


そこで大切なことは非正規職であっても、公的年金や公的医療保険で不利にならないようにすることが望まれます。
全ての給与労働者が正規職となることは不可能です。
であるならば、非正規職を優遇し雇用全体の流動性を高めることは極めて重要なことです。


さて、学者出身の某元大臣が非正規職関連の論評で多方面から激しい罵倒を受けておりますが、本件に関しては同氏の見解は正しい部分もあります。


◆「高報酬労働者残業規制」は野心家の誉れ
なお、「高報酬労働者残業規制」については、当たり前のことでこれを低所得者が自分のこととして捉えていることには失笑を禁じ得ません。
官民とも部署にはよるものの、管理職等で残業を厭わぬ者が少なくありませんが、これは「自主的ブラック」とでも言うべきもので、「一定の水準」を維持せんがための「投資」です。

世に野心家は途絶えることはありません。自らブラックを厭わぬ者にも事欠きません。
彼らには「高報酬労働者残業規制」は問題ではないのです。


◆非正規職の改善について
筆者は某自治体に奉職しておりましたが、就職した時点では大工や印刷等に至るまで、役所は全て直営でした。
その後、臨時的雇用職員や嘱託職員が大幅に増加するとともに、税務処理等を民間委託するなど、大きく変貌してゆきました。
近傍自治体で正規職以外の比率は大きく違ったものの、正規職比率は年々低下していきました。

ここで注目されることは、正規職は非正規職を決して排除していないことでした。
むしろ、自らの「正規職」の立場を安泰とするための安全弁と捉えておりました。
官民を問わず正規職が非正規を見る目は、概ね似たようなものだと思います。
非正規職の待遇改善は相対的な“頭数”の減少に繋がり、必ずしも正規職側の歓迎するところではありません。
なお、退職手当組合の絡みから著しい正規職の減少は望ましくはないので、非正規職の絶対数には制限がありました。


さて、正規職と非正規職の関係はこのようではあるものの、その待遇差は激しいものがあります。

立場を変えて、自分や我が子が非正規職であった場合を考えれば、非正規職の待遇は変えねばなりません。
しかしながら、これを改善するには税や社会保障制度から変えていかねば絶対に不可能なのです。


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