大地と子どもの未来を考える会の公開質問状 | 日本と大分と指原莉乃の左翼的考察|ケンケンのブログ

大地と子どもの未来を考える会の公開質問状

平成24年4月26日
津久見市長 吉本幸司 殿

大地と子どもの未来を考える会

津久見市における災害廃棄物の受け入れに関する公開質問状

「大地と子どもの未来を考える会」は、東日本大震災以降、大分県民と関東を含む被災地からの避難・移住者を中心に設立されました。本来、ささやかな望みであるはずの「安心して暮らしたい・安心して子育てしたい」という望みが、この約1年の間の国政の迷走と、なにより放射能のために、とても困難な事になってしまった現実に、人として、親として、向き合う必要があるからです。
さて、今日現在、原子力緊急事態宣言は解除されておらず、東京電力福島第一原発3 号基では燃料交換器が落下、4 号基でも温度上昇が報じられ、今なお、放射能が絶えず流出し続けています。そして、それまでは放射性廃棄物として厳重に管理されていたものと同様に汚染された食物が、政府により安全だとされ、全国に流通し、すでに1年以上が経過しました。
具体的な例としては、愛知県岡崎市の幼稚園の給食では汚染しいたけが子どもたちの口に入り、兵庫では福島牛肉が鹿児島産と偽装され販売されていたことが発覚しました。
大分県は残念ながら、津久見市をはじめ行政・県民の危機意識が未だに低く、行政としての検査や測定さえも、ほとんどなされておりません。そんな中、より安全であるはずの、九州・大分県の食べ物を子どもに食べさせたい、大分県の美しい海や山のある環境で保養をさせたい移住したいという願いが東日本を中心に高まっており、すでに多数の避難者が移住しています。
しかし、大分県の広瀬知事はがれきの受け入れ検討を表明、津久見市長、津久見市の太平洋セメントも同様の意思であると報道されました。
避難者達は地震や津波が怖くて避難してきたのではありません。鼻血や下痢、結膜炎やぜんそく・アレルギー症状の悪化、免疫力の低下や心臓・血管障害の悪化、突然死の増加、などなど…多くの子供たちやお年寄りはじめ大人たちにも現れた一様な症状、報道とは異なる様々な実体験から、放射能が恐ろしく放射能に殺されるとの恐怖によって、慣れ親しんだ土地から必死の思いで逃げてきたのです。吉本市長はそんな避難者達に再び放射能の恐怖を味あわせることを良しとするおつもりでしょうか?
宮城県気仙沼市や南三陸町は最近、地元処理のめどが立ったと広域処理依頼を撤回したように、現地での処理場も現在多数建造されています。あえて遠隔地まで運び、処分するメリットとデメリットを比較衡量した場合、デメリットのほうが大きいのではないでしょうか?
デメリットとはつまり放射能汚染による被害・損害です。宮城産のヤーコンから2 万ベクレルもの汚染が見つかりましたが、その産地の近隣のがれきもやはり同程度に汚染されていると推察できます。燃焼すれば放射能は濃縮し、そもそもダイオキシン用のバグフィルターは放射能を除去できないと日本のメーカーが口をそろえて証言しています。実際に燃焼実験した島田市の結果が公表されていますが、気化した放射性物質の4 割が空気中に拡散し、周辺土壌や河口から汚染が検出されました。
つまり、安全ながれきというものは存在せず、燃焼は安全な処分ではなく、バグフィルターは放射能を安全に除去できません。この実証が公表されてなお、がれきを受け入れて燃焼するということは、津久見市民はじめ県民の財産と命を危険に晒すこと、そして、せめて食品からの内部被曝をせぬよう必死で九州の食材を取り寄せ、頼みの綱として生活している関東はじめ被災地の多くの方々に、積極的に危害を加えることと同義です。
放射能が拡散すれば、なにより食べ物や水が汚染され、また呼吸を通じて体内に放射性物質が蓄積し、県民に健康被害が発生する可能性も大いにあります。
現に、津久見の太平洋セメントが、がれきを受け入れるとの報道により、汚染を心配する多くの方が「大分県の食品を取り寄せていたが、津久見の太平洋セメントが受け入れるのであれば大分県のものは今後一切買わない」との声を、食品メーカーなどへ届けており、風評被害や実害が発生することは過去の事例からも容易に想像できます。
チェルノブイリを経験したヨーロッパ人やスリーマイル島原発事故を経験したアメリカ人は放射能に対してとても敏感に、厳正に反応します。日本の食品の安全基準は彼らの基準では放射性廃棄物レベルであり、健康被害への考慮を全く欠いていると知っているため、彼らは観光地として大分県を忌避するでしょう。日本人観光客とて同様です。
半年間で年間目標を突破した「つくみイルカ島」を拠点とした新たな取組みを進めている津久見市の観光産業も、別府や湯布院などの歴史ある大きな観光地でも、外食が中心になるため、津久見市でがれき焼却を行った場合、大分県の大分県産食材を中心とした飲食品店において安心して食品を提供することが困難になることが予想されます。
先人が苦心を重ねて築きあげてきた津久見のみかん、関アジ関サバのブランド、大分の椎茸、大分のかぼすのブランドも壊滅します。
今回の放射能汚染で責任を取るべきは、東京電力と国です。しかし、被災地がれきを受け入れて健康被害や汚染が出た場合、その責任は受け入れを決定した首長、つまり知事及び津久見市長にあります。その汚名と短慮を非難する声は、プルトニウムの半減期である2 万4 千年以上続くでしょう。どうか今一度、ご賢察をお願いします。

【質問事項】
1. 食の安全性の立証
全国的に産地偽装が横行し、不安を強いられている全国の消費者や観光客に対し、「大分県津久見市産」と産地を明確に、偽装防止対策としての機能性のある表示ができるよう、津久見市としてサポートされるご予定はありますか?また、「津久見市産」の安全性を目に見えて分かる形で立証するために、流通のどの段階で、どういった検査機器を用いて、誰が、どのように検査を行う予定でしょうか?ベクレル数と検出限界値を表示する予定はおありでしょうか?また、その立証のための比較値となる、がれき焼却前の、それぞれの値を測定する予定はあるのでしょうか?
2. 観光地の安全性の立証
「イルカ島」はじめ、全国からの観光客の集う観光地や、海、山、河において、安全性を立証するための空間線量や土壌測定、水の測定を行う予定はおありでしょうか?
  また、食品同様に、比較のための、がれき焼却前の検査予定はあるのでしょうか?
3.太平洋セメントに関する安全性の立証
震災がれきに付着している放射能などの有害物質は焼却によって濃縮され、高濃度となることが実証されています。これらは本来、国家資格を保有する限られた人材に限り、何百年も厳重に管理・保存する資格があるという物質です。特に、海水や地下水などに漏洩する可能性があります。また、観光客は放射性物質を扱う地域の観光を控える可能性があります。太平洋セメントにおける焼却灰を管理するための場所や設備、管理体制等について、説明を求めることはしていただけますでしょうか?
4.子どもたちの学習環境の安全性の立証
関東・東北では給食の安全性を図るべく、全量検査が行われ、グラウンドや通学路、あるいは近隣の遊び場の土壌検査・除染作業が行われています。津久見市でも同様の処置を行う予定はありますでしょうか?また、津久見市としてはどのように指示、あるいは予算面で、太平洋セメントを支援される予定でしょうか?

5.焼却の危険性に対する対策とセメント利用による被害対策
放射能汚染されたセメントが実際に使われた場合、作業員及び近隣住民の健康被害の可能性、そして観光客津久見市はじめ大分県を忌避する可能性があります。こうした不安を解消するために、津久見市として、どのような対策をとられるご予定でしょうか? 風評被害の解消のための広告費用などは津久見市が拠出されるのでしょうか? どの程度の予算規模で行われるご予定でしょうか?
また、また、被災地がれきには多種多様な危険とされる物質が含まれており、燃焼中に施設に多大なダメージを与え、大事故の可能性を否定できません。また、炉の破損によって長期的な生産停止となった場合、津久見市の土木産業には多大な影響・損失が発生することが予測されます。生産停止や品質の劣化などがもたらす経済的損失について停止期間が一週間、一ヶ月、半年、一年、数年のそれぞれに試算して発表をお願いします。
6.生産者への補償
福島県や宮城県、茨城県など放射能汚染のひどい地域の農作物や水産物、肉類、牛乳などが放射能汚染が認められ、出荷自粛を要請されています。しかし、自粛では生産者は売ることもできず、また補償も受けられないため、生活に困窮する一方です。津久見市において、検査後に基準値を上回る汚染が発見された場合、どのような処置をとる予定でしょうか?また、津久見市近隣の海産物など、国際的にも有名な生産者を含めて、補償はどのように、どの程度行われる予定でしょうか?
7.避難者への安全性の立証
現在、大分県には放射能汚染に危険を感じて多数の関東・東北地方からの避難者・移住者が居住されており、津久見市においても新しい生活をはじめられています。しかし、津久見市の太平洋セメントが被災地がれきを受け入れた場合、安全と信じて津久見市はじめ大分県に避難してきた方はどのように思うでしょうか?吉本市長はそういった方々に安心して居住していただくために、どのように安全性を立証し、説明されるご予定でしょうか?
8.健康被害が出た場合の補償
東京都や千葉県、神奈川県など、高濃度放射能によって、焼却場や下水処理施設の職員がひばくしている実例が見られます。太平洋セメントでがれきの焼却が行われた場合、放射性物質の濃縮により周辺の大気・水・土地の高濃度の汚染が予想されます。津久見市におかれましては、どういった対策をとられるご予定でしょうか?津久見市民あるいは近隣市町村民に健康被害が出た場合、その責任の所在、補償はどのように、どの程度行われるご予定でしょうか?環境省の南川事務次官は、熊本での説明会において同様の質問を受けましたが、全く回答がなされませんでした。環境省が責任を明言しないことについて、吉本市長はどのようにお考えですか?
9.地域住民への説明など
放射性物質は、一度拡散させてしまうと取り除くことが困難で、莫大な費用が必要となります。
また、焼却すれば気化して大気中に放出され、呼吸により吸引され深刻な健康被害を起こすとされるプルームを形成し、更に雨などによって地表にも堆積・吸着します。また濃縮された焼却灰や飛灰は高濃度の汚染物質になってしまいます。
もし太平洋セメントが被災地がれきを受け入れるのであれば、安全性を高めるためにコンテナなどに入れたまま管理し、原子力発電所と同程度、あるいはそれ以上に、処理施設の各種安全設備を更新し、定期的にプルトニウムの半減値から類推して数万年にわたって第三者機関を含めて空気、土壌、地下水、物産などを厳重に検査することが求められます。それでも、健康や安全の不安は拭いきれるものではありません。そもそも、放射性物質は「非焼却・非拡散・集積」が国際的な合意に基づく基本です。
観光客の減少や、農林水産物への打撃を比較考慮すれば、焼却せずにがれきのままで現地において保存する方が、コスト面でも安全面でも問題が少ないと考えられます。それであるのに、なぜ莫大な運送費をかけて、がれき総量の2 割、被災地で処理しても半年とかからずに処理できるものを津久見市にまで運ばなければいけないのでしょうか? その運送費や処理費用は本来被災地のために使われるべき復興予算、ひいては国民の税金から支出されます。一年の時を経てなお困窮の時にある被災地のために1円たりとも無駄にしてはならない予算をわざわざ遠方にまで運ぶことは税金の無駄使いに他なりません。また、処理費用を被災地、あるいは国に対して請求することは、被災地の復興資金にたかる行為と思われても仕方ありません。津久見市および太平洋セメントは、そのような情けないことをするのでしょうか?また、被災地では穴を掘ってがれきを埋め、津波の防波堤や防潮堤、地盤の嵩上げや地盤改良につかいたいという要望があり、がれきの処理を望んでも、広域処理に反対する方も大勢いらっしゃいます。
4 月17 日の環境大臣告示についても平成19 年に原子力委員会が「平均的放射能値」で上限濃値を決めることは適切でないとしており、妥当性に問題があります。つまり、環境省及び政府の進めるがれきの広域処理は、経済的にも、道義的にも、被災地支援の面からも間違った政策と言わざるを得ませんし、広域処理を法律同様の強制力を持たせることは、憲法で保証された基本的人権や地方自治の理念に背くものです。
その上、環境省は熊本における南川事務次官の説明でも、もし健康被害が出た場合の責任のとり方について回答はありませんでした。総理大臣はじめ閣僚は責任をもって、と口にしますが、彼らが辞任、あるいは命をもって償ったとしても、汚染された土壌は元に戻りませんし、病気が治るわけでも、死者が生き返るわけでもありません。フクシマを経て原子力から撤廃したドイツのメルケル首相が発言したように、放射能汚染については責任など取れるものではないのです。
津久見市長のお言葉としては、1.安心・安全なまちづくり2.産業と経済の活性化(第1次・第2次産業と経済の活性化)産業と経済の活性化と商業施設の誘致や宅地の提供などを促進…との思いを拝見いたしましたが、津久見市でがれきの焼却が行われれば、これら全てが、実現困難となることが予想されます。そして、3.保健・福祉・医療の充実(乳幼児から高齢者までが、笑顔あふれる生涯現役の健康なまちづくりを進めます。)とありますが、放射能に怯え、地元産の水や食材に不安を感じ、空気や土壌の汚染に心かき乱される生活に幸福を感じる人間がいるでしょうか?また、4.地域づくりと人づくり(市民の皆さんと行政の協働を進めるため、行政情報を出来るだけわかりやすく伝え、住民参画の開かれた市政を推進します。)とありますが、太平洋セメントのがれきの受け入れ対応について、放射能の危険性とその安全対策についてなど、市民の皆さんへの説明や意見交換など、せめてアンケートをとり、集計して公表するなどが行われたのでしょうか?
以上

私たちはこれ以上、放射能の恐怖を感じずに暮らすことを望み、そして、元に戻せないかけがえのないものを、壊そうとすることをやめて欲しいのです。津久見市民のひとりとして、県民のひとりとして、被災地の方からも感謝され、県民が誇りに思える大分県となるよう、太平洋セメント有する津久見市が、是非とも舵取りしていただきますよう、上記質問にお答えいただき、吉本市長の見解を是非とも示してくださいますようお願い申し上げます。
なお、この公開質問状への回答は「大地と子どもの未来を考える会」代表宛に平成24 年5月7 日までにお願い致します。期限までに御回答いただけない場合、別途代表までご連絡ください。
また、公開質問状ですので、質問内容、及び回答過程については誰もが知ることができるよう、各種メディア、インターネットを通じて公開させていただく予定であることを申し添えさせていただきます。