日本酒の輸出と国内消費状況 | マンハッタンのランダムウォーカー

日本酒の輸出と国内消費状況

先週末、東北酒蔵応援・日本酒利き酒会が行われました。


NYでは日本酒が酒屋で必ずといっていいほど販売されているので、普段飲まなくても日本酒について知りたいと思っていましたが、踏み込めずじまいでした。しかし、今回の利き酒会は、東北地区の酒蔵の支援と日本酒の知識を付られる一石二鳥の機会とあって、参加してきました。利き酒会の様子は次回アップしようかと思います。


米国に来るまでこれほど、日本酒が米国の酒屋やレストランに浸透しているとは思いもしなかったので、日本酒の輸出状況が気になり、ちょっと調べてみました。


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日本酒の輸出、過去最高 「寿司ブーム」と相乗効果
J-CASTニュース2月20日(日)15時0分

http://news.biglobe.ne.jp/economy/0220/jc_110220_3854779305.html

海外の日本酒ブームが続いている。財務省の貿易統計(速報値)によると、2010年の日本酒(清酒)の輸出は1万3770キロリットル、約85億円となり、過去最高を記録した。


輸出先(数量ベース)は米国が最も多く3705キロリットル。次いで韓国の2587キロリットル。台湾の1639キロリットルで、香港、中国と続く。最近はカナダやオーストラリア、シンガポールなどにも広がりをみせる。


これまでの記録は2008年の1万2151キロリットル、約76億円だった。09年はやや減ったものの、日本食ブームの波に乗って輸出は再び右肩上がりに転じたようだ。


国内市場では苦戦が続いている。国税庁のデータをもとに日本酒造組合中央会がまとめた資料によると、日本酒の国内消費量は08年度で63万キロリットル。年々減少を続け、1995年度の126万キロリットルの半分にまで減った。

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国内市場では、日本酒の販売が苦戦している一方で、海外輸出は好調で、米国が一番の相手先とのこと。

さらに、米国への輸出量(キロリットル)の推移を見ると、10年で2倍以上に増加しています。


1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
1,535 1,759 1,853 2,046 2,204 2,616 2,997 3,354 3,852 3,843 3,575

http://www.japansake.or.jp/sake/data/seat_07.html

(清酒の相手国別輸出実績の推移 日本酒造組合中央会HP)


日本酒の輸出量が生産量のまだ1%程度なので、今後も国内市場の落ち込みをカバーするために、海外への輸出、米国への販売は期待されそうです。




日本国内の日本酒の消費量が10年で二分の一に低下したということなので、替わりに何が増えているのか調べてみました。

マンハッタンのランダムウォーカー

「国税庁統計年報書」(4月~翌年3月)「酒類販売(消費)数量の推移」より作成。単位キロリットル


高齢化の影響か、年々、アルコール全体の消費量が減少しています。特に、ビール。一方、アルコール消費の多様化が進んでいることが分かります。日本酒の消費量は減少傾向ですが、焼酎の消費量は増加しており、堅調。日本酒から焼酎にシフトした消費者もいそうです。2000年以降、リキュールの急激な増加が目立ちます。


ちょうどアルコールの多様化について表している調査がありました。

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こんなに変わった酒の飲み方事情(下) 日経消費ウオッチャー調査  「酒離れ」若者攻略へ 知識欲の刺激を

2010/5/6 12:00

http://www.nikkei.com/news/research/related-article/g=96958A88889DE2E4E4E2E4EAEBE2E1E2E2E6E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

今回の消費者調査では「お酒に関連して望むこと(製品やサービスなど)」について尋ねてみた(図1)。その結果、「色々な果実・果汁など、さまざまな材料を使ったお酒があるといい」(29.3%)、「日本ではあまり知られていない世界のお酒をもっと紹介してほしい」(26.3%)、「香りも楽しめるお酒がほしい」(25.0%)など、トップ3は「従来からなじみのあるお酒以外のものがほしい」という願望が浮き彫りになった

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これを読む限り、日本酒消費はさらに低下しそう。日本酒メーカーは、伝統的な日本酒の他にデザート用日本酒や日本酒ベースのカクテルの開発など、新しい挑戦が必要のような気がします。