「ヒロくんの方がぜんぜんいいよ」


またここに恋愛ボケのバカ女が生まれた



昨日、渋谷にてなんだかの撮影が行われていて


V6の岡田准一とやらが現れた


なるほど、ジャニーズだけあってなかなかの男前である


私はポスティングのアルバイト中


その光景を見ていた


私の横には若いカップルがいる


そして、その女性がその言葉を発した



「ヒロくんの方がぜんぜんいいよ」



おそらくヒロくんというのは隣にいる男であろう


小デブで髭が濃いのか口元が青々している


このヒロくんが岡田准一よりもいいのか?


この女性は恋愛という一時的な病気により


脳の一部が侵され、脳障害が起こり


目からの情報が折れ曲がって脳に伝達されているのであろう


ヒロくんは若干ニヤつきはしたものの


「んなことねえよ」


ヒロくんはまだ脳障害は起こっていないようだ


冷静に自分の容姿を分析し


自分より岡田准一の方が男前であることを判断した


ここでヒロくんが「だろ」とか言ってしまったら


私はこのカップルに対して苦言するつもりであった


間違えは間違えとして訂正してあげなきゃならない


それが人生の先輩たる人としての役目なのである



カップルの会話は続く


「そうかな~岡田准一って顔が濃いじゃん」


ヒロくんは髭が濃いぞ


「たしかに」


たしかにじゃねえよ


「あと、ヒロくんって性格がいいじゃん」


お前は岡田准一の性格を知っているのか?


とはいうもののその女性は


食い入るように岡田准一を見いっていた


ヒロくんが「もう行こうぜ」と言っても


「いや、まだ見ていく」


なるほど、脳障害が起こっていても


人間の潜在する部分までは侵されていなかったのだ


その女性に潜む内側の感情は


岡田准一を見ていたいと判断していたのだった


次第にヒロくんは不機嫌になっていった


それに気づいた女性はまた言った




「やっぱ、ヒロくんの方がカッコいいよ」