私達が年を重ね、
大人になればなるほど失われていくものとはなんでしょうか?
外で駆け回る時間でしょうか。
ゲームをして遊ぶことでしょうか。
夕焼けを眺めることでしょうか。
今回紹介する本には、
時間が経つにつれ少しずつちいさくなっていく王様が登場します。
私達とは違ってちいさなちいさな王様には子供時代が人生の終わりにやってくるのです。
今日紹介するのは大人の絵本。
大人の絵本というと少しえっちな響きがしますね。
いやしませんねごめんなさい
ちょっと真面目な感じでスタートしたのにこんなくだらないこと言ってごめんなさい
是非仕事に疲れた方に読んでもらいたい、寓意にあふれたお話。
「ちいさなちいさな王様」
アクセル・ハッケ作
ミヒャエル・ゾーヴァ絵
…
ある日、主人公の元に人差し指ぐらいのサイズしかない、ちいさな王様が現れます。
そして主人公の家の壁と本棚のすきまに住みはじめるのです。
ちいさな王様は言います。「お前の世界のことを話してくれ。」
「僕」は自分の世界の話をします。
その代わり、ちいさな王様がいた奇妙な世界のお話を聞くことになります。
ちいさな王様の世界では生まれた時が一番大きく、色々なことを知っています。
しかし時が経つにつれ体は少しずつちいさくなり、
知っていたはずのことも思い出せなくなります。
そんなちいさな王様は主人公に様々なことを問いかけます。
こんなあらすじです。
内容もさることながら、挿絵も暖かみがあって素敵です。
ちなみにこんな絵のタッチが好きであれば、
以前紹介した「つみきのいえ」( http://ameblo.jp/uchi-view/entry-11253957527.html )もおすすめです。ぜひ。
…
紹介したいフレーズが多すぎて迷いますが、
ここではこんな一節を。
主人公の世界では人はどんどん大きくなっていくんだという話を聞いて、
ちいさな王様が言います。
~ここから引用~
「実は、おまえたちも、同じように大きいところからはじまっているのではないだろうか」
王様は続けた。
「おまえの話が、事実だとすれば……。
おまえたちは、はじめにすべての可能性を与えられているのに、
毎日、それが少しずつ奪われて縮んでいくのだ。
それに、幼いうちは、おまえたちは、知っていることが少ないかわりに、
想像の世界がやたら大きいのではなかったかね?…」
~ここまで~
心臓を掴まれるような気持ちがしますね。
なにかを想像すること。
どうして電気がつくのか?
なんで昼と夜があるのか?
人は死ぬとどこにいくのか?
あなたは知識に埋もれて想像することをやめていませんか。
ちいさな王様のように想像してみれば、
なんでもなかった人生が急に楽しいものに思えてくるのでは。
ちいさな王様の世界では、「死ぬ」という概念がありません。
王様は日に日にちいさくなり続けて、いつしか目に見えなくなってしまうからです。
ちいさな王様はいつまでもどこかでくつろぎながら想像にふけっているのです。
あなたの部屋の壁と本棚のすきまにも、
ちいさなちいさな王様が住んでいるかもしれません。