堂山物語 第63話 | エラー|Ameba(アメーバーブログ)

堂山物語 第63話

よく漫画や安物のAVやVシネマで描写される展開が


「こんにちは~♪ はじめまして!ミユキです♪よろしくね♪」


「あ~っやっぱり、どっかで見たことあると思ったら 摂津一中の岡田やろ!?」


「も、もしかして…2年と3年に一緒の組やった桧山くん?うわ~どうしよう~」



性風俗店で初対面のはずの女の子が実は知り合いだったというベタなシナリオ。




現実世界でこういう事は本当に滅多に無いこと聞く。


世の中に星の数ほど男女がいて、その中で風俗に行く男、風俗で働く女。

ともに一気に数が絞られるので、知り合いに遭遇するなんて天文学的確率である。



さて我らが?堂山町では、どうだろうか?

その天文学的確率は、さらにアンドロメダ星雲的確率?になるだろう。



堂山町で顔見知りに出会うことなんて絶対にありえないことなのだ。

あったとしても、それは堂山町で知り合った仲の勘違いだと思う。



しかし生まれもってムダにヒキが強い僕は一度だけ、遭遇したことがある。






そのお客様はオオタニさん。





オオタニさんは多分であるが僕の事は知らないというより覚えていないのだろう。



マスター 「いらっしゃいませ~あら、そちらの方はウチは初めてでいらっしゃいますよね」



オオタニさんは、どうやら同僚の方に連れられて来店したクチだった。

その同僚の方は何回か見たことはあったが僕を指名したことはない。



同僚 「ホラ!ココまで来たんだから!

     自分にうそつかないで!どの子がいいか言ってみろよ!」



オオタニ 「ああ…」



僕はカウンターに並びながら最初は気付かなかったもののマスターの言葉でハッとする!



マスター 「そうそう、この子は結構大阪で強い高校でラグビーしてたそうよ。ね、たつや君。」










オオタニ先生だ…



オオタニ先生は中学の時に試合をした別の中学のラグビー部の先生なのだ!



どうしよう…バレてないのか?覚えてないのだろうか?



堂山 「はじめまして~たつやです!よろしくお願いします!」



はじめましてじゃないのに…!



オオタニ 「…何しゃべったらいいのかな…」



オオタニ先生は初めてのウリセンで緊張しているのがわかる!



堂山 「そんなん何でもいいですよ!あっラグビーされてたんですか?」



オオタニ 「えっ!よくわかったねぇ。何で知ってるの?」



心臓がバックンバックンした!


僕も動揺していて、いきなり直球をなげてしまったのだ。


完全なる失投だ…



堂山 「えっ!えっ!だってマスターが僕、ラグビーしてたって言って僕を!

     指名してくれたんじゃないんですか…?」



オオタニ 「あ~そうそう!キミもラグビーしてたらしいな!ハハハ!」



助かった!

最初の失投はギリギリファールラインを切れていった。



オオタニ 「何処の高校でやってたの?」



堂山 「○○○高校です!」



オオタニ 「へ~すごいなぁ!ちょっと前全国大会でてたやろ!」



堂山 「そうですね。僕らの2コ上の先輩達が花園に連れてってくれました。」



オオタニ 「ラグビーは高校から始めたの?」



山 「いや、中学からやってて高校はクラブ中心で通ってたんですよ。ヘヘヘ」



オオタニ 「みんな、そんなもんやって!で中学は何処の中学だったの?」



…堂山育ちこの日2回目の失投である。


正直に答えてしまうとオオタニ先生も思い出す可能性が高い!


思い出さなくても、その次の会話に投げる球種が見当たらくなるのが明白だ!


ここは高校時代の同級生の出身校で凌ごう。



堂山 「えっと…新東淀中学です!」



オオタニ 「えーーーーっ!赤塚選手の出身校やんか!」



堂山 「えっ?」



オオタニ 「ほら大工大から明治に行った赤塚選手!」



堂山 「はぁ…」 




って知らねぇ~!Σ(゚д゚;)


またオオタニ先生に僕は失投をしてしまったのだ。


あっそういえば、そんな凄いヤツがお兄ちゃんの友達とか言ってたな…



堂山 「赤塚さんは僕らと入れ違いなんですよ…だから、そんなに知らないんです…」



この変化球でオオタニさんをしとめれるのか…!?



オオタニ 「そうか・そっか!高校も違うから、直接は知らないもんな?」



堂山 「そ・そうなんです。お会いしたのも一度か二度で…」



オオタニさんは見事に空振りしてくれて、この会話を僕はつなぎとめることに成功した。



っていうか、何でこのひとココに来たんだろう…?

このヒトもゲイだったのか…?

ラグビーってやっぱりゲイのヒトが多いのかよ…?



そんな事を思いつつオオタニ先生と店内でのトークをこなしていったのだった。

続く