堂山物語 第21話 | エラー|Ameba(アメーバーブログ)

堂山物語 第21話

中学1年の時に正式に警察にお世話になった。

小学校の時も一度、警察沙汰にはなっているが

その時の贓物故買事件は

おそらく処分保留であった。(第12話参照)



補導された日は、はっきりと覚えている。



中学の創立記念日。



ちょうど中学最初の夏休みくらいにヒデが

どっかで原付をパクッてきた。




正確に言うと何処かでパクられた盗難車が

乗り捨ててあったのをパクってきたのだ。




僕ら1年1組の5人に加え、同じラグビー部の

ノブやマナブも一緒になって1台の原付を乗り回す

ショーモナイ、イチビリに夢中になっていた。



ワルイ事がカッコイイと思っていたんだと思う。


その原付は始めにパクられた時に

いわゆる直結されたものだったので

エンジンスタートはキックを80回くらいしないと

エンジンが掛からない代物だった。




何故かガソリンタンクのカギは壊れており

よく酒屋で一升瓶を拝借しガソリンスタンドの兄ちゃんに

無理言ってガソリンを一升瓶に入れてもらったものだ。




僕らが補導された当日は

ヒデ、ノブ、カスガと僕の4人で朝から川沿いの道で

原付を乗り回しあいして遊んでいた。



ちょうど3時くらい


ヒデとノブが2ケツ(2人乗り)で走っていった。


待っていた僕とカスガの

隣を颯爽と警察官が

いわゆるゴキタンで(ゴキブリ単車の略で警官が乗っている黒い単車)

追いかけていく!



余裕で捕まったヒデとノブが乗った原付。



堂山育ち「やっべぇ~」


と思った瞬間には

もう一人の警官が僕とカスガの隣にいた。



あっコレは、もうしゃあないな


と向こうのほうには捕まっていた二人がいたので

ある程度の覚悟は決めていたら




カスガ 「ボクぅ~関係ないんですぅ~!」



カスガが自転車で逃走したのだ!




そのとき僕は

あのボケ!裏切りやがったな!

とハッキリ心底感じた…





ちょっとした興奮状態の3人の悪ガキを前に警察官が


警官 「お前ら免許もってんのか!コラァー!」


間髪いれずに


堂山育ち 「もってますよ~」


僕は創立記念日だからと

証明の為に持っていた生徒手帳を提示した。


このアドリブにはヒデとノブは大爆笑!



しかし警察官の怒りの炎には油をそそいだようで

警官 「お前らナメとんか!」

と当然の如く、端から3人ドツかれてしまった。


只、このアドリブ生徒手帳は今もなお伝説として語り継がれている…



パトカーで警察署に連行された3人の態度はひどいものだった。




家族構成とかの調書でキタナイ字で書いていた僕ら3人に


刑事  「お前らキレイに書かれへんのは、しゃーないけど

      丁寧に書かれへんのか!」


堂山育ち 「そんなんポリさん言うけどねぇ~」


刑事  「ポリさんって、なんじゃ!ポリさんって!」



ノブ   「なあ、これ家族書ききれへんのやけど…

            もう一枚、紙ちょうだいやぁ」


刑事  「詰めて書いたらイイやろぅ!」

      (ノブは6人兄弟で祖父母も同居していた)


ヒデが急に立ち上がって走り出す


刑事  「オイ!お前!逃げるな!何処いくんじゃ!」


ヒデ  「えっションベン!」



今、思うと情けない程に本当に反省のかけらも無かった。


しびれを切らした刑事さんが怒り狂って


刑事  「お前らな、さっきからウン。ウン。言うてるけどな!

      返事はハイ!やろ!」


  「ハイ!」 (めっちゃイイ返事)


刑事  「わかったか!」


  「うん。」



どうしようも無いくらい世間をナメていた。



やがて他の学年の先生が迎えに来て中学に引き取られ

各々の親が迎えにきて家では両親の小言を聞き、その日は終った。



しかし次の日に僕の中学の武闘派教師たちの恐ろしさを

身をもって知るコトになるとはナメた僕には、この時想像できなかった…

続く