戦車のサスペンション(その9)ボギーの謎(最終章)
これまで述べてきたようにボギーとは対の転輪をひとまとめにした物ではなく、単に「揺れるもの」を表しているに過ぎない。
つまり、戦車の足回りで使用している「ボギー」と言うのは「(車輪の)揺動装置」と言える。
「揺動架」、「揺架」と表すこともできよう。
ただし、「揺架(ようか)」は「戦車砲架(砲座)」を表す言葉としても存在するので使用しずらいが「車輪揺架」とすればいいのだろうか?
実は、「謎」と言いながら最初に示した不整地運搬車の画像ですでに答えが出ていたのだ。
【ボギー式】:ローラ揺動式
【ボギー機構】:下部ローラが揺動できる機構
ボギー=揺動
ちなみに、サスペンションも語源をたどると「フラフラする吊るされたもの」
ま、結局のところサスペンションを表す「懸架(けんか)」と変わらない
ボギー=サスペンションでいいのだ。
どちらも名付け親はイギリス紳士であるのには変わりない。
では、FM 30-40「識別画集」ではどのように紹介されているかを見てみよう。
4号戦車(大洗)
eight small evenly spaced bogie wheels sprung in pairs;
ペアで弾む8個の小転輪
T-34戦車(プラウダ)
five large, enenly spaced bogie wheels touching top and bottom of tracks;
上下が履帯に接している等間隔の5個の大転輪
ティーガー戦車(黒森峰)
eight(visible) large, overlapping bogie wheels
8個の重なった大型転輪
チャーチル歩兵戦車(聖グロリアーナ)
11 small, independently sprung wheels, center 9 evenly spaced
中央の9個が等間隔な11個の独立して弾む小転輪
あれ?マニュアル(英)では「Bogie」記述なのだがなあ
謎はさらに深まるのだ。