日本は抗生物質を使用する頻度が世界でもかなり多いほうで、おかげで耐性菌(通常の抗生物質が効かないように進化した細菌)がたくさんいます。2年ほど前に国内の学会からもかぜに抗生物質を出さないようにすべきだとの発表がありました。先週は、米疾病対策センター(CDC)が11月14~21日に抗菌薬の適正使用を推進するキャンペーンを行ったそうです。中でも最も伝えたいメッセージの1つは,「ウイルス感染が本体である風邪に抗菌薬を使わない」こと。特に風邪症状に対しては「ウイルス感染症がほとんどであり,抗菌薬は効かないばかりか耐性菌を生み出す原因となっている」この抗菌薬適正使用キャンペーンはカナダ,欧州でも同時に実施されたそうです。
今でも、かぜが抗生物質で治ると思っている方も多いでしょうか。抗生物質は細菌(ばい菌)に効くものがほとんどです。ごく一部にかび(真菌、水虫)やウィルスに効果があるものもあります。しかし、一般のウィルスには効果がまったくありません。かぜのような症状に対して抗生物質を使うと、体にいつもいる普通の細菌が死んでしまって、耐性菌が生き残る状態になります。かぜがこじれて肺炎になったりするとその原因菌は耐性菌ですから、治りが悪かったり、入院が必要になったりします。なんか損した感じがしますよね。
ところで、私の好きなNational Geographicから以下のトピックがあってびっくりしたので載せてみました。
なんと、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や病原性大腸菌など、ヒトにとって致死性のある細菌を死滅させる天然の抗生物質をワモンゴキブリの脳(中枢神経系)が作り出すという研究が発表されたそうです。
つい、先日にはある種の蜂蜜には抗菌作用があるとか。昆虫を使った薬などもこれからできてくるかもしれませんが、ゴキブリはちょっとね。でも良く考えると最初の抗生物質といえるペニシリンは、カビ’(アオカビ、Penicillium notatum)から作られた事実は有名ですね。人はいろんな知恵を使って、人を救うための研究をつないでいっています。
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