唐突になんなんだ・・・

「じつやま様のお宅でよろしかったでしょうか?」

いや・・俺はさねやま、実山ですけど。

よく間違われる名前だ、「さね」なんて読まないもんな普通・・

「申し訳ありません、実山様・・・」


だからなんなんだ・・・
こんな夜中にインターホンを鳴らされてそれに答える俺も俺だが・・・

「貴方にどうしても会いたいという方がいらっしゃいますので、本日はまことに勝手ながらお連れした次第です。」

はぁ??
何言ってんだこいつ・・・・

「決して怪しいものではありませんので、是非一目お会いして頂ければと思います。」

どう贔屓目に見たって怪しいだろう。。
今は夜中の1時過ぎだぜ
こんな時間に俺に会いたいだぁ?
自慢じゃないけど、俺は別に友達が多いほうでもないし
ましてやこんな時間に、畏まって会いたがられる程特徴のある人間でもない。

・・・自分で言うのも悲しいもんだがな


「私の生活も掛かっているのです。お手数ではありますが、是非お願いできませんか?」


おかしいだろ?
あんたの今後なんて俺になんの関係もないし
てかあんたが誰なのかすらわからないんだからそんな事言われたってねぇ


「実山様・・・聴こえておりますでしょうか?」

「あっ・・・あぁ聴こえてるよ」
しまった・・・つい反射的に・・


「あぁ 良かった。あまりに反応がなかったのでつい・・・」
「それで、実山様、お会い頂けませんでしょうか。」

「いや・・・正直あんたも会いたいって人も怪し過ぎるよ・・・こんな時間にさぁ。。大体俺に会ってどうするんだよ・・・」


「ただ、一目お会いするだけで結構なのです。それだけで彼女は満足だそうで・・・」

彼女??
ますますもって訳がわからん・・・


「お断りします。お引取りください」





























沈黙が続く









「そう・・・ですか・・・・・」

どす黒い声が妙に耳に残る・・・
「それはとても残念です。」
まるで耳元で話をされているような・・・


「それでは、私はお暇させて頂きます。。。」
一瞬、インターホン越しの彼が笑ったように感じた


「彼女にも伝えて起きました、貴方は会いたくないと・・・ね」

・・・・・・・・・・・・
背筋に冷たいものが走った・・
空気が重い気がする。。


「あぁ それと一つ・・・・」



「決して振り向かないでくださいね。。。それではごきげんよう」

アハハハ・・・ブツン

一瞬だけ笑い声が聞こえたと思ったら、インターホンは切れた。



振り返るな・・・そう言ったよな。。
少し前から、背中に視線を感じる気がする・・・・・・・
いつまで振り返らなければいいんだよ・・・



硬直したままの俺に何かが近づいてくる。


「実山・・裕也君」

やわらかい女の声
誰だ・・・

「あい・・たかっ・・たなぁ」



うわぁぁっぁぁぁぁっぁっぁあ

俺は恐怖で振返ってしまった・・

ふふふふ


という透き通るような微笑声だけが
闇の中で微かに聞こえた気がした。。。。



しかし、目の前にはいつもの俺の部屋・・・
何の変哲もない。


よくある怪談話なら
このまま俺は何かしら最悪な事になるな・・・

しかし何も起こらない。

俺はそのまま気を失った。




─翌日─

管理人に昨日の夜中にインターホンを鳴らした非常識なやつがいなかったか
防犯カメラの映像を見てもらった。

が、その時間の防犯カメラには何も映っていなかった。


結局その日は普通の一日だった


翌日、その翌日も
まったく平凡な日常だった


何も変わらない・・・何も起こらない


本当に何も変わっていないのか??

俺だけが変わってしまったのか?????


疑問だけが残る
ただ・・・疑問だけが


アレは何だったのか
アレは誰だったのか
アレと会えばよかったのか



気がつけば俺はまったく知らないマンションに来ていた・・・
時間は・・・AM1:45か。

ピンポーン



インターホンが響く





「突然のお願いで申し訳ありません。」




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