ぼーっとしてたら1週遅れてしまった(汗)。「カーネーション」に対する愛情がかなり冷めてしまったので、今は「平清盛」がかなり楽しみだったり。とりあえず、盛国さんと鳥羽さんと崇徳さんを愛でておく。え? 清盛くん? 嫌いじゃないです、今んとこ。




<第7回>


ん、深田さんはかなり苦手なんですが、意外と時子ちゃんかわいいやもしれん。演技が上手いとは言い難いけど。しかし、「とはずがたり」(鎌倉時代古典)では、著者が「源氏物語を模して女楽やった時、私は身分が1番低い明石の役、屈辱!」とか言ってるんだけど、明子さんに「まるで明石の方!」はいいのか、どうなのか。明石の方は、物語上はナンバー2だから、かなり扱い良い方だけどね。・・・まあ、自分が紫の上(ナンバー1)で明子さんは明石の方(あ、だから明子さんなのか。元漁師の盛国さんのお相手は波子さんになるようだし、ネーミングが相変わらずわかりええ・笑)と言う時点で、時子ちゃんの残念さ(本人は無自覚だけどね、若い若い)が浮き彫りに(笑)。まあ、琵琶のおまけつきからして、明子さんのモチーフは明石の方そのものなんだよなぁ・・・明石の方は紫の上より長生きするけど(あ、でも子供託さなきゃならないところは同じか)。それにしても、雀の子がメタファーだった説は、なかなか新鮮だなぁ・・・どこかの論文から持って来たのかな。・・・源平合戦より源氏物語まとめた方が良いんじゃないか、藤本さん。明子さんが「明石は幸せだったのか?」と疑問を持っていたけど、時子ちゃんは「紫は幸せだったのか?」に直面するだろうし。祇王・仏御前問題があるし(祇王寺が盛り上がっているようなので、スルーしないであげて)。


それにしても、和歌三昧と言い、サブカル大河+日本文学大河かい・・・あたしは雑食人間だから良いけど、ますます視聴者ふるい落としにかかってるなぁ。もう、低視聴率取る野が趣味としか思えんぞ、藤本さん。


しっかし、相変わらず演出が残念だなぁ・・・悪くはないんだけどね。基本的に、「遊びをせんとや=楽しく生きたい=幸せになりたい」ともがく人々の物語なのは、どの場面でも一緒なので、場面ごとの落差はともかく、舞台ごとの落差は出すべきじゃないと思うんだ。この落差が、ものっすごくわかりにくいドラマにしてると思う。序盤の「重厚もどき」な雰囲気よりはマシだけど・・・清盛の場面はコミカル過ぎだし、院の場面はシリアス過ぎる。もう少し平均値に寄せた方が良いのでは。シーンごとにブツ切り感が半端ない。明子さんとの出会いのシーンなんか、彼女の顔がさっぱりと見えないし。正確には、脚本も演出も頑張っているのに、違う方向を向いている感が漂う・・・。


明子さんとの出会いの回と、鱸丸くんが盛国さんになる回が一緒なのは、なるほどなぁ、でした。明子さん=盛国さんなんだよね(いや変な意味じゃなく)。でもって、明子さん=舞子さんでもある。ってことは、宗子さん=時子ちゃんになるのか。


しかし・・・1番問題なのは、編集かもしれないなぁ・・・ノベライズで描かれてた、盛康さんの鱸丸への評価とか、鱸丸自身の遠慮とか、ちゃんと見せて欲しかったよ(クレジットで『平盛国』表記したかったから、強引にアバンに入れたな、こりゃ)。おまけに、今日の見どころは要らん。あそこまでTV点けてる人間は間違いなく見るんだから、下っ手くそなナレーションで白けさせるな(これはスタッフさんの責任じゃなくて、局がやらかしたんだろう、やれやれ)。




<第8回>


一転して経済問題。つーか政治論。清盛が「正しくない」のが実にポイント(何か『任侠ヘルパー』に通じるモンがある・・・と言うか、モロ『ONE PIECE』じゃないか。あれも主人公が正しいとは描いてないからな・・・自由に楽しく生きたいだけだったり、出会った人を守りたいだけだったり・・・って、清盛くんじゃないか^^;。清盛くんの『民のため』って、結局のところ、そこまで大局的でもないと思うんだ、自分の見た範囲内。だから鱸と兎が媒介として重要、海と陸・・・兎のくせに海にいるけど・笑)。山本さんも、やっぱり大河の現場の一日の長を感じるな・・・貫禄だった。ただ威張りたいだけじゃなくて、自分なりの考えとか信念とかがあるから、隙がない。単なる悪役じゃないの
が良かったよ。彼もまた、今の世の中が「面白くない」ひとの1人だってわけだ。んで、彼は自分で考えて動いているわけだけど、清盛くんは、まだ高階さんに言われてソノ気になって調子づいただけだったからねー、そりゃ負けるわ。


んでもって、先週から「逆転主従」とネットで評判の盛国さん(笑)。今日も、清盛くんのキメ台詞をちゃっかりと奪い取って、絶好調でした。乗馬も、言葉遣いも、やたらと完璧な元漁師・・・何なんだよこのひと、ハイスペック過ぎやろ(爆)。まあ、真面目な話、「清盛の乳人の養子」設定だから、清盛の分身と同時に、清盛の保護者ポジションでもあるわけだ。だから、お兄ちゃんなところもあり、どこか清盛の前を行っていなきゃならない・・・やっぱり、ポジション的に、小草若に対する四草だな。


設定的には、家盛くんの方が小草若ポジションだけどね。ただ、正当派な生き方しなきゃ~でがんじがらめになっているのは、草々か・・・いや、正典? つーことは清盛は秀臣か(無理矢理に当てはめんでええから)。ただ、忠正おじさんの言葉が、余計に家盛くんを追いつめてるんだよね。お兄ちゃん大好きっ子だから。義姉歓迎しちゃってたから。優等生はつらいよ、うん。


崇徳さんと西行さん(今から、ついこう呼んでしまう)の演出が、無駄に妖しい(苦笑)。崇徳さんが、西行さんに縋ってしまうのはわかるんだけどね。自分の心を唯一見抜いてくれたから。西行さんが、どこまでその信頼に応えるのかが読めん。・・・別に妖しくせんで良いでしょ(呆)。そっち系の面白さじゃなくてさぁ、崇徳さんの孤独な寂しさを、前面に押し出して欲しいわけよ。タマ子様VSナリ子様にしても、ああいう昼ドラ演出をするから勘違いされて、「サブカル大河」を楽しむ層を振り落としている気がする(上に、サブカル大河を楽しめない層をつなぎ止めちゃうからミスマッチ発生)。ドロドロをドロドロで演出しないのが、藤本脚本が生きる道なんだよー!と叫びたい。力入っているのはわかるし、すごく頑張っているのはわかるんだけど、どうも脚本と演出が違う方向いている気がしてならないんだが。


清盛くんよりは小綺麗だったはずの義朝くん、強がり健気キャラに変貌しております^^;。それに気付く為朝さん、完全なる無能ではないんだな・・・そりゃ、あんな息子がいるんだから、とことん残念な父親だと変だ。その為朝さん、清盛くんの闇商売をバラす役でしたが、悪気が全くなかったのが個人的には良かった(ここは賛否両論だと思うけどね。重厚大河を望むなら、完全に『告げ口』にしてしまった方が良かったわけだから)。しかし鸚鵡か・・・藤本さん、鳥・・・と言うか、喋る鳥好き?(笑) 次は是非、うちの母が九官鳥を覚えられず連呼していたインコを採用して頂きたい。

えー、最初に。


オノマチ糸子と初期メンバーが好きな人間の戯言故、はっきり言って愚痴です。文句たれまくりです。荒れてます。純粋に「カーネーション」と言う物語が好きな方には水差す事になると思いますんで、御注意下さい。


以下、ネタバレ部分は反転しますが、携帯では丸見えなので、御了承願います。




<ノベライズ下巻>


登場人物紹介が付いてない・・・上巻がお父ちゃんが亡くなるまでだから、下巻は登場人物変わり過ぎなんだよね・・・(勘助・泰蔵・勝と言った初期メンバーから、晩年場面に至るまで全部必要)。ちなみに、勘助退場シーンがやたらとかっこ良かった。かっこよかったけど、二枚目過ぎて勘助じゃないっぽい。OAされた尾上さんの演技は、勘助らしい「糸子への限りない優しさ」と、「行き場のなくなった寂しさ」が巧く表現されていて、やっぱりあっちが勘助だな、と。糸子が勘助の名前を心の中で呼ぶ場面も、ノベライズでは糸子が回想モード入っていた(そして、呼びかけても勘助の笑顔が帰って来ない寂しさを感じる)けど、OAのオノマチさんによる縋るような呼びかけが、いかにも現実を受け入れられない様子が感じられたし。・・・っと、いきなり勘助について語ってしまったけど、オノマチさん自身が「1番タイプなのは勘助」(『ステラ』より)らしいから、仕方がない(しかし、あれだけ存在感があったのに、スタパなしと言うのは実に納得がいかん。公式サイトでも玉枝の部屋除けば扱い薄いし。・・・周防よりよっぽど重要な人物だと思うんだよ、彼が呼ばれて勘助がなしってどういうことなん? 正直、綾野さんはいい味だと思うけど、NHKおよび報道の周防プッシュは納得いかん・・・。ああ、私、あまり好きじゃないと思っていた周防が嫌いだったんだなと自覚した・汗)。糸ちゃん周辺の男性陣だと、あたしの好みは、勘助>(越えられない壁)>北村>勝>(好意の壁)>周防、って感じかも(ただの二枚目には興味がない・・・四草が好きだったのは、アホなところがあるからだな)。


本題。正直、オノマチ編と晩年編で、別の話にしか見えんかった。晩年編の冒頭で、親しいひとらの写真を眺めて話しかける糸子ってのがあったけど・・・いや、そういうシーン作るんやったら、余計にオノマチ糸子のままでないとあかんかったやろ! 外見の嘘を減らそうとして、積み上げて来た感情っちゅうモンが嘘になってまうやないかい、どないする(呆)。だって、結局演じてる人にとったら、全然時間共有した事のない、知らんひとばっかりやないですか。オノマチさんだったら、リアルに人の入れ替わりがある寂しさを感じた事込みで、大切なひとへの思いが溢れんばかりになるだろうに(・・・正直、晩年編の演技力は、期待していないのです・・・好きな方すみません。だけど、めちゃくちゃ上手いひとであっても、絶対にその時の様子はオノマチさんには勝てないよ。積み上げて来た時間が違う)。んでもって、反転しますが、八重子さんと北村のおっちゃんを返せ。キャスト交代でなきゃ、消す必要なかっただろうに。だけど、何だかんだで小原家+安岡家の写真が揃う中に入れて貰っている北村、家族入りおめでとうと言うべきか


ところで、老奈津役が「ちりとて」の小梅おばあちゃんこと江波杏子さんと言う噂を聞いたんですが・・・え、正直言って、糸子と奈津、逆ちゃう? 逆ならまあ納得。江波さんなら、その筋の方ですかみたいな迫力も出せるだろうし、「任ヘル」ゲストの時は弱り切った老女役なので、老け演技の思い切りも良さそうだし。




<クランクアップ>


注・さらにクレームです。


あーあ、「今日限りで岸和田弁は忘れる」って・・・冗談だろうけど、あまりよろしくないね、晩年役の人(すいません、一連の映像および扱い見て、今は名前も言いたくありません)。その程度(本気だったら失礼だし、冗談だったら結局そういう冗談言えてしまうレベルって事)の思い入れしかない人に、最後やって欲しくはなかったよ。と言うか、本当にオノマチさんの新撮り回想ってあったん? ノベざっと読んだ限り、それっぽい場面さっぱりなかったんやけど。もしあったんだったら、ラストシーンはオノマチさん登場シーンが妥当だと思うんで、どっちにしても軽視し過ぎ。で、撮り終わった後、晩年役の人が、オノマチさんより先に共演者らしき人とハグしたのも、どうかと思った。何か、彼女のドラマになってません? 主演は尾野真千子だと改めて主張したい気分。


と、昨日の時点でかなり頭に来てたんですが、何ですか、公式サイト!! 何でオノマチさんより晩年役の人の方が先に名前来てるの? 載ってるコメント長いの?(実際長かったにしても、『カーネーション』という作品の撮影終了の記事としては、オノマチさんがメインなのが妥当でしょ?)


・・・何にせよ、CP城谷氏と言う人には、私はもう、不信感しかありません。まあ、一視聴者が不信感どったら言うたところでしゃーないんですが。

視聴率急落したようで・・・うーん、今までで1番良かったと思うんだけどな。演出が、かなり藤本節との相性良くなってきて・・・。


・・・だからか(苦笑)。


藤本さんのことだから、「海賊王に、おれはなる!」は、絶対わざとなんだけどね。明らかなパロディってやつでしょ。こりゃ、重厚大河と思って見てきた人は落ちるわなー。とにかく色々とパロってる。だから、序盤の本格大河風演出がマズかった・・・と思うんだ。まあ、最初から藤本節に合わせた演出だったら、絶対にもっと早く視聴率落ちてたと思うけどね(いやまあ、昨日はフィギュアもあったし、大河は再放送あるから、ってのもあるんだろうけど)。


キラキラスイーツ大河でもなく、本格派重厚大河でもない、王道漫画ドラマが「平清盛」だろうから。1番近いのは、やっぱり「毛利元就」辺りだとは思うけど、それよりもうちょっと毒気強めだからなぁ。これまでにないタイプの大河だから、ものすごく許容範囲広い人でないと危険だろうね。こういうの好きな人は、そもそもあんまり大河を見ないわ。まあ、「ちりとて」同様に「好きな人は大好き! それ以外の人は一発で落とされる」系のドラマになるだろうな(遠藤CP級とまで行かなくとも、駄作のレッテルを回避するだけのマーケ能力ある方が、スタッフの中にいらっしゃる事を祈る)。


兎丸の滑舌が悪かったのが残念だなぁ・・・あれは関西人を起用して欲しかったところ。前田兄が良い感じだっただけに。あと、鱸丸に続く(だから名前も似ている)「もう1人の清盛」存在(と言うか、むしろ彼に対しての方が清盛は明言してるよね。鱸丸がお兄ちゃんなところがあるのに対し、兎丸はより自覚しやすい近さ)の上、「善と悪はひっくり返る」と言う概念をはっきり口にすると言う(この点、『ちりとて』よりは若干わかりやすいとも言えるんだよね。『ちりとて』は後になって突然ひっくり返して来たのが、実にえげつなかったから)、ものすごい大事な役回りだと思うし、台詞の聞き取りづらさはキツいわ。


何だかんだで、今回のMVPは忠正だと思う。みんなが自分のために来てくれた、と言うのは清盛にとって大きかったんだろうけど、忠正が来てくれたと言うのが、特に胸に来たと思う。「叔父上!」と叫ぶ清盛が愛おしかった。・・・忠正本人は、あくまでも自分の兄の忠盛のためなんだけどね、清盛はどうでも良い・・・と言うか、やっぱりいなくなって欲しいと思っていて。そこを明言させちゃったのがミソ、えげつない。この消えないえげつなさを体現したと言う意味でも、忠正は今回のキーパーソンだった。さらに、清盛自身は忠正の思惑を知らないのもポイント、改めてえぐい。そこを考えると、忠正が来た事に喜んじゃう清盛は、十分素直に育ってるよな(しかし、松山さんは、黙ってる演技の方がいい味なんだよなぁ・・・平五郎抱いた時とか、平氏の船に気付いた時とか。苛ついている演技は、個人的にはかなり微妙)。そして、鱸丸。君は相変わらずいい所持って行くな、オイ(『平清盛』世界の四草と呼ぼうかと思い始めて来たよ、あたしゃ)。しかし、彼は貴重なマトモなひと枠だと思っていたけど、清盛だけ助けて通憲放置するとは思わなかった(笑)。


個人的には、通憲の立ち位置が面白い。彼の決まり文句は「誰でも良ーい」「何でも良ーい」で、いつもギャグになっているわけなんだけど(不覚にも噴く)。確固たる「誰か」「何か」になりたい清盛に対するアンチテーゼだよね、これ。


・・・まあ、何にしても、これは「大河ドラマ」じゃないよな、良くも悪くも。


しかしまあ、武士に関わるおなご(時子&由良姫)が、やっぱり微妙だ・・・朝廷の方々は毒々しくて好きなのに・・・。時子イタイ子説は、かなり新鮮なので面白そうなんだけどなぁ・・・。


とりあえず、私はやっぱり、1番興味あるのは「登場人物のポジショニング」なんだなぁ。元々から潜在的にそういう所あったんだろうけど、「ちりとて」で、その方向性が確定したと言うか、何を見ているかって言うのがわかった感じ。

藤本有紀さん=「ちりとてちん」。


その後に見た「咲くやこの花」も、実に「ちりとて」テイストだった。だから私は、「平清盛」については、期待半分・不安半分でいた。「ちりとて」風味と大河って、相性悪い事この上なさそうだ・・・。おまけに私は、源平合戦ネタが日本史で1番好きだ、だから余計・・・。結論から言うと、第3回に来て、ようやく面白いと素直に思えた。
第5回にもなると、ああ、やっぱり藤本節だなぁ・・・と改めて面白く。・・・残念ながら、大河だからギャグシーンが浮いてるんだけどね。藤本節を前提に見ていると、かなり狙いがわかりやすいな、と。ノベライズ1巻も読んだので、大体、方向性が見えて来た。これは多分、完走出来そうだ。まあ、とりあえず思ったこと。


藤本さん、鱸丸好きだろ。


彼が妙においそしい(『ちりとて』ファンじゃない方のために書いておきますが、タイプミスじゃないです)キャラに見えるのは、上川隆也さんが演じてはるせいかな?と思ってたんだけど、ノベ読んで確信した。史実では、彼はれっきとした武士で、平家一門の実子っぽいんだよね。何でわざわざ漁師出身なんておいそしい(物語的に)設定を盛ったか。この先も、絶対ええ所を持って行くぞ、あのキャラ。まあ、とにかく、だ。


・・・藤本さん、大河で誰でもB子物語全開する気だよ・・・。


まあ、清盛は男だからB男・・・いやB太・・・じゃなくて平Bか!(平兵衛みたいだな、こりゃ) 名前こそ平Aだけど(この表記、我ながら面倒)。清盛くんは自分の立場に対して超がつく後ろ向き解釈しているけど、弟の家盛くんにしてみたら長男はいいなぁ状態だし、義朝くんから見たら出世出来ていいなー状態だし。極めつけが鱸丸くんってわけだ。


後々、鱸丸は清盛の側近としての立場を全うすべく平姓の武士になるけど(役名が実在の人物に変化する事は発表済み)、ずっと「平家の血が流れているわけではない」事はつきまとうことになる。清盛もまた、平家の血が流れていない事に悩んでいるから、対比構造完成である。2人の立場が重なりながら、「高貴な身分の血が流れる清盛」と「より身分が低い出身の鱸丸あらため盛国」と言う違いがある。なるほど、1回目から鱸丸が出てるわけだ、子役まで立てて(歴史的立場はさておき、物語中の立ち位置としては、義朝よりも重要。正直、主演経験のある上川さんが何で家臣その1?と思ってたけど、とんでもなかった。皆勤賞決定だろうし、ずっと清盛の『魂の双子』役と言うか、分身的存在を担って行く事になるんだろうな。一方で清盛と性質が正反対な部分があるし、清盛よりも世の中見えていたりするから、これでもかといろんな立ち位置てんこ盛りになりそう)。


だから、歴史がどーこーとか言うのは、このドラマに関しては無意味だな。最初から思っていたけど、藤本さん、「歴史ドラマ」書く気はないだろうし。「歴史を材料にして、人間ドラマ書く」ってスタンスではないかと。まあ、私個人としては、別にそれでいいと思う(挫折した大河は、全部ドラマ部分がアウトだった)。


ただ、出だしは、そのドラマ部分がどうだろう?と言うか、演出と相性が悪いのではないかな?と言う思いが拭えなかった。今もまだ、完全にこなれてはいないな。「ちりとて」の遠藤さんは、藤本節に惚れ込んでいたから(あの方は、関係者を愛し過ぎだな、うん)、それに合った演出方針が貫かれていたけど、このドラマは脚本に反して、演出が骨太大河だからな。エグい所に食い込むとは思うけど、いわゆる骨太大河にはならんと思うので、もうちょっと脚本に合わせた演出をして欲しいかも。ギャグシーン浮き過ぎ(まあ、演出のおかげで、結構『大河らしい大河』とは言われていると思うけど。・・・まず『大河らしい大河』にはならないと思う。『良いドラマ』にはなるかもしれないけどね)。


最初は、演出に釣られて、いかに「ちりとて」を思い出さないで見るか、と言う事に苦心していたんだけど、その割には随分と思い出してしまった。「武士と言いおった!」は「仁志が落語家になる言うた~!」を思い出したし(奥さんの反応が正反対なのが何とも切ない)、「遊びを、せんとや♪」を聞くと、「『平清盛』世界の『ふるさと』か」と思ったり。だけど、ノベライズ読んで、逆に「ちりとて」を前提に見ないと駄目だな、と思い直した。あの人間模様を前提に見ると、すごくわかりやすくなったので。百人一首ネタも入って来て、これは「咲くやこの花」で扱っているし・・・藤本さん、自分の土俵に題材を持って来ているなぁ・・・崇徳さんいるし、絶対に「瀬をはやみ」は盛って来るだろうな^^;。


今のところ、好きなのは(役者込みもあるかな)鱸丸なんだけど(まんまと乗せられている気がして微妙な気分だ。四草好きになった時もそうだったけど・苦笑)、1番見ていて胸が痛いのは鳥羽院で、インパクト強いのは璋子様(壇れいさん、きれいだけどそこまで上手いと思った事なかったのに、璋子様は素敵に怖いわ)。んで、崇徳帝は、絶対に清盛との対比になるんで楽しみ(鳥羽院は、忠盛とも忠正とも重なる存在って事なんだよなぁ・・・逆に自分が甥なんだけど)。

・・・まあ、何と言うか。


夏木マリさんどうこうでもなく、ヒロイン交代自体の是非でもなく(実は、個人的に夏木さんは苦手な方なんだけど、仮に好きな方であっても、納得出来なかったと思うんだが)。


私は、きっと、作り手の方々に、「尾野真千子さん」という女優さんへ、惚れ込んでいて欲しかったのだろう。そもそも、朝ドラなんて、こっちが(この子はちょっと・・・)なんて思ってしまうヒロイン女優さんでも、制作統括さんは、とにかく褒め上げるものだ。これまでは、正直、ちっと白々しいわ!と思った事もあったものだが・・・でも、今は思う。彼らは、やるべき事をやっている、と。こと「カーネーション」に関しては、あまり制作さんのヒロイン女優さんへの思いが聞こえて来ない。


いや、城戸さんは、純粋に「ドラマ」を作るんだ!って思いを持っていて、自分がドラマを作り上げる!と言う気概の持ち主なんだろう、と思う。実際のところ、自分が話を作る時に、登場人物に惚れ込んでいたらロクなことにならないはずなんですけどね。だけどなぁ、登場人物は物質で済むかもしれないけど、役者さんは生身の人間だぞ、と言う気は、つい、してしまう。




まあ、つくづく思ったのは、理屈こね回したところで、何だかんだで私は、登場人物の「扱い」に左右されているなぁ・・・と。今回の交代、比較的納得して受け入れていらっしゃる方もいて、そう言う方って、本当に純粋に「カーネーション」の作品の「世界観」に魅力を感じていらっしゃる。私は、ドラマに限らずなんだけど、物語作品の「世界観」が好きと言う感覚が、やっぱりわからないのだ。


勿論、全体が好きとか、テーマ性が好きとか言う感覚はあるんだけど、やっぱり何らかの形での「自己投影」が、私にとって必須みたいだ。ここはドラマのブログだから「任侠ヘルパー」を例に挙げてみるが、確かに、あの話は「特に飛び抜けて好きな人物がいる」わけではなく、よって「こいつを不幸にしたら許さんぞ作者!」なんて感情も沸かなかった、珍しく(五郎ちゃんや六車さんが酷い目に遭ったら、その立ち位置故に凹んだとは思うけど、例えば『ちりとて』の四草さんや小草若さんを見て異様に苦しかったのとは違う)。だけど、その世界観そのものに、私は自分を投影していた。


本来、物語作品と言うのは、何らかの形で受け手の自己投影を促すもの・・・そう思っていた。


ただ、昨今、むしろ自己投影を阻み、一定の距離感を保った作品が受けている気がするのだ。確かに、変に偏った見方にならず、客観的な視点を保つ事で、より純粋に作品そのものを楽しめる、という仕組みになっているとは思う。・・・私の場合、自己投影が全く出来ない時点で「オモシロイけど好きじゃない」とモヤモヤしてしまう
わけなんだけど。結局、一般評価が高い割に好きになれない話って、自己投影出来ないから、と言う理由に集約されるような。んでもって、こういう話に限って、出来は良い。過剰な部分がないからバランスが良いのだ。よく考えると、あたしゃ、「受け手の自己投影だけに頼った、共感型の物語」も好きじゃないんだった、嗚呼、贅沢。




で、話は戻って。多分、「カーネーション」も、本来は、そういう絶妙な距離感でもって展開する物語だったのだ、と思う。少なくとも、脚本段階ではさておいて、CP段階ではそうなのだろう。だから、尾野さんの演技力は、「小原糸子」という人物とは相性抜群だったけれど、「カーネーション」と言う作品とは、その高さ故に若干の齟齬があった、のかもしれない。・・・でなければ、尾野真千子さんに対する冷めた対応が説明出来ないし、裏側に色々ある・・・だと、彼女が気の毒すぎるので、そうであって欲しい、と思う。実際、世界観に浸れるタイプの方は、ちゃんと冷静に受け止めていらっしゃるわけだしね。・・・ただ、どんなに理屈で説明ついても、尾野さんは「キャラ」じゃなくて生身の方だから、失礼だとも思うけど。


・・・とは言え、勘ぐってしまうけどね。視聴率が上がっている事には触れられないと思ったら、ヒロイン交代が切り札だの起爆剤だのと言われ、22%超えは周防さんのおかげで(ちなみに、私は、彼は嫌いではないのだが、どうしても好きになれなかった。最後までイラっとしたのは・・・多分、糸ちゃんからは全く感じないヒロイン様の臭いが
周防さんからは漂って来たからだ、と思う。綾野さんは、かなり気に入ったんだけどね・・・下手な役者さんだったら、多分、周防は大嫌いな人物になっていた)、25%超えは地震のおかげ?ですか?(苦笑) 過去の朝ドラで、視聴率上がった事例で、「ああ、台風のおかげだねー(生温い笑顔)」とネットで言われた事はあっても、こうやって報道で言われちゃった事ありましたっけ?


あたしの業務環境は産業畑1本だから、芸能畑の事は、よくワカランのですが。・・・そんなに、尾野真千子のおかげになるとマズイ事があるんかね?と勘ぐってしまいたくは、なる。そっか・・・こうもモヤモヤしているのは、尾野さんの扱いが、私が普段カチンと来てしまう、「主人公様のしわ寄せを受ける脇役」に近いものがあるからだ・・・ヒロインなのに(涙)。こういう言い方って、逆に尾野さんに悪い気はする、けど、そう思ってしまう。