藤本有紀さん=「ちりとてちん」。


その後に見た「咲くやこの花」も、実に「ちりとて」テイストだった。だから私は、「平清盛」については、期待半分・不安半分でいた。「ちりとて」風味と大河って、相性悪い事この上なさそうだ・・・。おまけに私は、源平合戦ネタが日本史で1番好きだ、だから余計・・・。結論から言うと、第3回に来て、ようやく面白いと素直に思えた。
第5回にもなると、ああ、やっぱり藤本節だなぁ・・・と改めて面白く。・・・残念ながら、大河だからギャグシーンが浮いてるんだけどね。藤本節を前提に見ていると、かなり狙いがわかりやすいな、と。ノベライズ1巻も読んだので、大体、方向性が見えて来た。これは多分、完走出来そうだ。まあ、とりあえず思ったこと。


藤本さん、鱸丸好きだろ。


彼が妙においそしい(『ちりとて』ファンじゃない方のために書いておきますが、タイプミスじゃないです)キャラに見えるのは、上川隆也さんが演じてはるせいかな?と思ってたんだけど、ノベ読んで確信した。史実では、彼はれっきとした武士で、平家一門の実子っぽいんだよね。何でわざわざ漁師出身なんておいそしい(物語的に)設定を盛ったか。この先も、絶対ええ所を持って行くぞ、あのキャラ。まあ、とにかく、だ。


・・・藤本さん、大河で誰でもB子物語全開する気だよ・・・。


まあ、清盛は男だからB男・・・いやB太・・・じゃなくて平Bか!(平兵衛みたいだな、こりゃ) 名前こそ平Aだけど(この表記、我ながら面倒)。清盛くんは自分の立場に対して超がつく後ろ向き解釈しているけど、弟の家盛くんにしてみたら長男はいいなぁ状態だし、義朝くんから見たら出世出来ていいなー状態だし。極めつけが鱸丸くんってわけだ。


後々、鱸丸は清盛の側近としての立場を全うすべく平姓の武士になるけど(役名が実在の人物に変化する事は発表済み)、ずっと「平家の血が流れているわけではない」事はつきまとうことになる。清盛もまた、平家の血が流れていない事に悩んでいるから、対比構造完成である。2人の立場が重なりながら、「高貴な身分の血が流れる清盛」と「より身分が低い出身の鱸丸あらため盛国」と言う違いがある。なるほど、1回目から鱸丸が出てるわけだ、子役まで立てて(歴史的立場はさておき、物語中の立ち位置としては、義朝よりも重要。正直、主演経験のある上川さんが何で家臣その1?と思ってたけど、とんでもなかった。皆勤賞決定だろうし、ずっと清盛の『魂の双子』役と言うか、分身的存在を担って行く事になるんだろうな。一方で清盛と性質が正反対な部分があるし、清盛よりも世の中見えていたりするから、これでもかといろんな立ち位置てんこ盛りになりそう)。


だから、歴史がどーこーとか言うのは、このドラマに関しては無意味だな。最初から思っていたけど、藤本さん、「歴史ドラマ」書く気はないだろうし。「歴史を材料にして、人間ドラマ書く」ってスタンスではないかと。まあ、私個人としては、別にそれでいいと思う(挫折した大河は、全部ドラマ部分がアウトだった)。


ただ、出だしは、そのドラマ部分がどうだろう?と言うか、演出と相性が悪いのではないかな?と言う思いが拭えなかった。今もまだ、完全にこなれてはいないな。「ちりとて」の遠藤さんは、藤本節に惚れ込んでいたから(あの方は、関係者を愛し過ぎだな、うん)、それに合った演出方針が貫かれていたけど、このドラマは脚本に反して、演出が骨太大河だからな。エグい所に食い込むとは思うけど、いわゆる骨太大河にはならんと思うので、もうちょっと脚本に合わせた演出をして欲しいかも。ギャグシーン浮き過ぎ(まあ、演出のおかげで、結構『大河らしい大河』とは言われていると思うけど。・・・まず『大河らしい大河』にはならないと思う。『良いドラマ』にはなるかもしれないけどね)。


最初は、演出に釣られて、いかに「ちりとて」を思い出さないで見るか、と言う事に苦心していたんだけど、その割には随分と思い出してしまった。「武士と言いおった!」は「仁志が落語家になる言うた~!」を思い出したし(奥さんの反応が正反対なのが何とも切ない)、「遊びを、せんとや♪」を聞くと、「『平清盛』世界の『ふるさと』か」と思ったり。だけど、ノベライズ読んで、逆に「ちりとて」を前提に見ないと駄目だな、と思い直した。あの人間模様を前提に見ると、すごくわかりやすくなったので。百人一首ネタも入って来て、これは「咲くやこの花」で扱っているし・・・藤本さん、自分の土俵に題材を持って来ているなぁ・・・崇徳さんいるし、絶対に「瀬をはやみ」は盛って来るだろうな^^;。


今のところ、好きなのは(役者込みもあるかな)鱸丸なんだけど(まんまと乗せられている気がして微妙な気分だ。四草好きになった時もそうだったけど・苦笑)、1番見ていて胸が痛いのは鳥羽院で、インパクト強いのは璋子様(壇れいさん、きれいだけどそこまで上手いと思った事なかったのに、璋子様は素敵に怖いわ)。んで、崇徳帝は、絶対に清盛との対比になるんで楽しみ(鳥羽院は、忠盛とも忠正とも重なる存在って事なんだよなぁ・・・逆に自分が甥なんだけど)。