母の入院先で、縁を切った兄と8年ぶりに再会した私は、下の子どもを出産したばかりだった。


兄は、三人めの奥さんと三人めの娘(私の娘と同じ年)を母の入院先に連れて来ていた。

兄家族は、たまたま母に会いに行った特別養護老人ホームで、入院したことを聞いたらしかった。

母が生きている以上、兄とはいつかどこかで再会する日がくると思っていたが・・・

突然訪れた再会に
息が止まりそうになった。


兄の三人めの奥さん(以下Mさん)は、ごくごく普通の人で。

兄の反社会的な生活を軌道修正させて、私と兄の絶縁という不自然な関係も修復させたいと思っていた。

産後3週間ほどの私は、あっさり仲直りをした。

正直に言うと、
生まれたばかりの息子
赤ちゃんがえりをしている上の娘
体力が回復していない自分

産前・産後をお世話になっている夫の実家には、どうしても気をつかってしまい、心から甘えられない。

精神的にも肉体的にも、いっぱいいっぱいだった。


母のいる特別養護老人ホームから、入院した連絡を受け、
娘と生後3週間の息子をお義母さんに頼み、とりあえず病院に駆けつけたが・・・

子ども達のことが気になる。
お義母さんのことも気になる。
本心は何て思っているんだろう?


目の前には苦しそうな母の姿があった。

私はどうすればいい?

夫の実家から1時間半かかる母の病院に行って、毎日母のケアをする?

そんなの無理だ。


タイミングだった。

私と兄の仲直りを働きかけてくれるMさんの厚意を、断る理由がその時の私には無かった。

兄に母のケアをお願いしたかった。

兄と暖かい家庭を目指してくれているMさんと、
Mさんが側についていてくれる兄を。
同じ年の娘がいる、親としての兄夫婦を。

信じてみようと思った。

それをきっかけに、兄家族と私と娘と息子の交流が始まった。
夫は関わる気はなさそうだった。


それから7年弱の交流で、
私とMさん、子ども達は、
どんどん絆を深めていった。

でも、私とMさんの絆は、とても辛く苦しい絆になっていった。


共依存という悪魔の絆に。