今日は永住許可と離婚についてお話します。


私はときどき、永住者の在留資格で日本に在留する外国人の方から、外国人と結婚し、配偶者を日本に呼び寄せたいとの相談を受けることがあります。


このようなご依頼者の方の中には、ときどき問題を抱えている方がいらっしゃいます。それは、永住者の在留資格で日本に在留する外国人の方が、永住許可を取得した直後に離婚をしている場合です。


日本人と婚姻し、日本人の配偶者等の在留資格で日本に在留していた外国人の方が、永住許可を取得した直後に日本人配偶者と離婚していることがときどきあります。このような場合、この離婚に関して詳しい事情を聴くと、永住許可取得以前にすでに婚姻関係が破綻していた方と、永住許可取得後に急に夫婦仲が悪くなり離婚している方といらっしゃいます。このどちら外国人の方の場合も、その後外国人と結婚して外国人配偶者を日本に呼び寄せるために入国管理局へ在留資格認定証明書交付申請をした場合、不交付の結果となることがよくあります。このような方たちは、そもそも永住許可の申請内容に虚偽の内容がある可能性があるため、その永住許可自体に問題があり、配偶者に永住者の配偶者等の在留資格を与えることはできないと考えられてしまうからです。


私は、このような方たちからご相談を受けた場合、詳しい事情を聞き、永住許可取得以前から婚姻が破綻していたのか否かの判断をいたします。そして、永住許可取得以前から婚姻関係が破綻していたのであれば、率直に永住許可に問題があるので、これを改善する必要があるとお話をします。そして、離婚後に急に夫婦仲が悪くなり離婚した方については、その離婚に至る経緯を入国管理局に詳細に説明し、理解を得る必要がある旨お話しします。


ただし、婚姻関係が永住許可前から破たんいていたのか否かについては、実際にはとても難しい判断になります。永住許可以前に、離婚届は提出していないものの、別居して完全に別々の生活を送っていれば、これは婚姻関係が破綻していたことになります。しかし、夫婦の一方もしくは夫婦双方が離婚したいと考えていたとしても、同居生活を継続し、夫婦が協力して生活をしていれば、これは婚姻が破綻していたとはいいきれず、判断が難しくなります。そして、私がお話を聞く外国人の方の中には、永住許可取得までは、永住許可を取得することが夫婦共通の目的となって全く離婚は考えていなかったけれども、永住許可を取得したとたん、その目標を失い夫婦関係が悪くなり離婚したという方もいます。このような方は、永住許可前の婚姻関係の破綻がありませんので、これを入国管理局に理解をしていただく必要があります。


私は、このような事情をよくお聞きし検討したうえで、永住許可取得前から婚姻関係が破綻していた方は、配偶者を日本に呼び寄せることは難しいとお答えし、さらに、現在は在留資格の取り消し制度が強化されてきていますので、場合によっては永住許可が取り消される可能性もあるとご説明します。これに対し、永住許可前に婚姻関係が破綻していなかった方は、その事情を何とか入国管理局に理解していただき、配偶者を日本に呼び寄せるためのお手伝いをさせていただきます。私が今までご依頼を受けたこのような方の中には、最初の在留資格認定証明書交付申請では不交付の結果を受け、その理由の説明を受けるために入国管理局へ行ったところ、「永住許可を取得してすぐに離婚している外国人の以前の日本人との結婚は偽装結婚だから、そもそも永住許可自体が問題だ」と決めつけた指摘をされた方もいらっしゃいましたが、そのような方でも、再申請において日本人との結婚から離婚に至る経緯までを詳細に説明し、さらに外国人との出会いから結婚に至る経緯も詳細に説明をして、在留資格認定証明書が交付された方もいらっしゃいました。


現在は、婚姻関係の在留資格に関する審査は以前よりも厳しくなっておりますので、このような永住許可直後に離婚した方が配偶者を日本に呼び寄せるための手続きは非常に難しいと思いますが、この離婚のときの事情によっては配偶者の日本への呼び寄せも可能となる場合もありますので、一度お気軽にご相談ください。