今日は、養子縁組と在留資格についてお話しいたします。


私は今日、あるご相談者から、自分の子供が日本人の夫と養子縁組をしたのでビザを取ってほしいとのご相談を受けました。私が、外国人の入管手続きの業務を行うなかで、ときどきこのような相談を受けることがあります。そして、このような相談の場合、養子縁組をした子供の多くは20歳以上の成年になっていることがほとんどでが、私はこういうご相談者の方に、養子縁組を理由としてビザを取ることができるのは、6歳未満の養子だけで、6歳以上の養子は、養子縁組を理由としてビザを取ることはできませんとお答えします。


養子ついては、出入国管理及び難民認定法に規定する27種類の在留資格中、具体的な在留目的について規定しているている26種類の在留資格の中では、日本人の配偶者等の在留資格において、、「日本人の配偶者若しくは民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子又は日本人の子として出生した者」との規定があるだけです。そして、これ以外には、具体的な在留目的の規定がない定住者の在留資格に関し、定住告示のなかで、一定の者の6歳未満の養子に関して在留資格を認める規定があり、これ以外には、原則、養子であることを原因として在留資格を取得することはできません。


このように、入管法では、日本人の養子になった場合などに在留資格が認められるのは、6歳未満の者に限られています。6歳以上の者が日本人と養子縁組をしたとしても、原則在留資格を取得することはできないのです。この6歳未満というのは、日本人の配偶者等の在留資格にある「民法第八百十七条の二の規定にによる特別養子」が一つの基準となっています。


特別養子とは、6歳未満の子供を養子とするとき、養親が家庭裁判所に請求をして行うことができる養子の制度です。通常、養子縁組をしたとしても、実親との関係はなくならず、養子となった子供には実親と養親の2組が存在するようになりますが、特別養子の場合には、実親との関係を終了させることとなり、親は養親だけになります。これは、幼くして養子となった子供を、対外的にも実の親子のようにするための制度ですが、この制度は、日本の民法によって規定された制度であり、どの国でもこの制度があるわけではありません。


この特別養子の制度の趣旨を踏まえた場合、特別養子は実親子と同じように扱われますので、在留資格に関しても、日本人の養親と特別養子縁組した場合には、日本人の子として日本人の配偶者等の在留資格が与えられます。そして、これを踏まえ、日本以外で養子縁組をし、特別養子ではないけれども特別養子と同じように幼くして養子となり、養親とは実の親子のように生活している者に対する配慮として、6歳未満の養子にも、定住者の在留資格が与えられています。


ですから、原則6歳以上の子供が日本人と養子縁組をしたとしても、それを原因に在留資格を取得することはできません。ご相談者の中には、日本で再婚した外国人の方が、連れ子を日本に連れてくるためには日本人配偶者と養子縁組しなければ在留資格が取れないと考えている方もいらっしゃいますが、そのようなことはなく、その子供が日本で暮らす親の養育を必要としている場合には、定住者の在留資格を取ることができます。逆に、その子供がすでに成年に達し、親の養育を必要としない場合には、養子縁組をしていたとしても在留資格を取ることはできません。


以上のように、養子縁組による在留資格の取得に関しては、厳しい条件があります。もし、日本で暮らす外国人の方で、外国で暮らす子供を日本に呼び寄せ一緒に暮らしたいと思うけれどもどうしたらよいかわからないとお困りの方は、一度お気軽にご相談ください。