今日は、在留資格と再入国許可についてお話しいたします。


東日本大震災の翌日、私は東京入国管理局へ行きましたが、その時、東京入国管理局では建物の外まで長い行列ができていました。この行列は、再入国許可を取得する方たちの行列で、数日後に再び私が東京入国管理局を訪れた際には、その行列はさらに伸び、入国管理局の建物から見えない場所まで行列が続き、そこから折り返して最後尾は入国管理局の近くまで続いていました。


この行列の原因であった再入国許可は、在留資格と密接な関係があります。


昨日の定住者のお話の中でも説明いたしましたが、出入国管理及び難民認定法では、現在27種類の在留資格を規定しています。外国人の方が日本に在留する場合、その活動内容や、身分又は地位が、27種類のいずれかの在留資格に該当していなければなりません。そして、この在留資格は、外国人の方が日本への上陸許可を受ける際に与えられ、出国する際には在留資格を失うことになります。つまり、在留資格は日本への上陸ごとに与えられるものなのです。


しかし実際には、日本に上陸するたびに在留資格に該当するか否かを審査をすることとなると、当事者である外国人の方にも、そして、審査をする入国管理局にとっても大きな負担となります。そのため、短期滞在を除く在留資格に関しては、日本に在留している外国人が、一度日本から出国したのち同じ在留目的で入国を希望する場合には、出国前に再入国許可を受けることで、出国前の在留資格で日本に上陸することが認められます。つまり再入国許可の再入国とは、同じ在留資格での再入国のことを言うのです。


この再入国許可には、1回限りの再入国許可と数次の再入国許可の2種類があります。1回限りの再入国許可は、1回の出国及び再入国にのみ有効なものであり、数次の再入国許可は、原則3年を上限として、在留期間中の複数回の出国及び再入国が認められます。


この再入国許可に関する制度は、永住者の在留資格にも適用されます。日本に在留する永住者の方は、あくまで永住者の在留資格で日本に在留している方ですので、永住許可を受けたことにより、その後は在留期間の更新をする必要はなくなりますが、再入国許可を受けないで日本を出国してしまうと、他の在留資格と同じように永住者の在留資格を失うこととなるのです。また、永住者の在留資格をお持ちの方も、再入国許可の上限は3年間ですので、3年ごとに許可を取得する必要があります。


上記の東日本大震災の後で東京入国管理局に行列していた方は、この再入国許可をお持ちでなかった方たちです。再入国許可を持たずに日本に在留していた方たちが、放射能の問題などを恐れて一時的な国外への避難を考え、一定期間後に日本に戻るために再入国許可を取得しいようと長い行列を作っていたのです。


今後、再入国に関する制度に関しては、来年施行される改正入管法により変更される予定です。この改正入管法により導入される在留カードを所持する外国人の方は、1年以内に再入国をするのであれば、再入国許可を受けなくてもよくなる予定です。ただし、例外的に再入国許可が必要な場合も規定される予定ですので、詳細は、改正入管法が施行される際にご確認ください。


以上のように、在留資格と再入国許可には密接な関係があります。東日本大震災のように、突発的に出国しなければならなくなることもありますので、外国人の方が在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請を行う際には、同時に数次の再入国許可を取得することをお勧めします。