自信とは、「自分を信じること」だと思いますが、人はなかなか自分に対して自信が持てないものです。その原因の一つとして考えられるのは、周りの人間が立派に映ってしまう、そう見えてしまう、あるいはそう見てしまう、という人間特有の妄念(迷いの心)があるからだ、と言えます。こう見てしまうと、自分自身は情けなく、心許なく、小さい存在だ、と卑下してしまうので、当然自信なんてものは持てなく、自信がない、になってしまうわけです。これは、妄念自体に誤りがあるので、それを是正すれば、自分を卑下しないようになり、少なからず自信を持てるようになります。


自信が持てないもう一つの原因を考えていきたいのですが、それは何なのでしょうか?


それは、自分の本当の心、本心(本音)を知らないからです。具体的に言えば、自分が何を思い、何を伝えたく、何をしたいのか、を明確に知らなく、ぼんやりしているからでしょう。今まで自分を知る努力をしないで、知る時間をとらないで、やり過ごして生きてきたので、今の自分が何者であるのか、が分からなく、地に足が着いた状態でない事から、自信すらも持てないわけです。


人は、自分が思っているほど自分の本心を知らないものです。いやいやそんな事はないですよ、と言ってみても、いざ何か意見を求められた時に、言葉にすらできない場合があるものです。それは、普段からしっかり見つめていないので、自分の思いが言葉にならなかったり、思いが言葉としていくつか浮かんでるものの、どれが本当の思いかが分からないので選べなかったり、という事です。


人間の本心とはどういったものなのでしょうか?キレイなものなのでしょうか?実は、人間の本心というものは、決してキレイなものではなく、汚いものなのです。人を憎む心、陥れる心、謗る心、妬む心、自分だけ得をしようとする心、欲まみれの心、自己中心的な心、いじめる心、等々、到底受け入れたくない心が、まさに人間の本心なのです。この本心を真摯に見つめ、しっかり受け止め、受け入れられるか、が必要不可欠なのですが、人間は自分に対して、キレイである、という妄念を持ちたがるので、なかなか受け止められません。どちらかと言うと、自分のおぞましい本心から逃げ、見ないように回避したがり、実際そうしてしまうものです。


あの人なんてフラレればいいのよ、あの人なんて降格すればいいのに、あの人なんて傷つけばいいのよ、あの人なんてバナナの皮の上に乗って転べばいいのよ、というような事を、腹底の心で平気で考えているのが、人間です。建前は素敵な微笑みを浮かべ、人の良さそうな顔して話している人でも、腹底訪ねていけば、おぞましく怖ろしいことを考えていたりします。人間の本性、真実の自己とは、そういうものなのです。


人間の本心は、悪たらしいものですが、どうすれば知ることができるのでしょうか?それは、周りの人に対して、親切や善いこと、を実行することです。当然、親切や善いことは、周りを一生懸命観察しないと、適切な行為には繋がりませんので、関心・興味をしっかり持つように日々努力することです。その親切や善いことをする中で、腹底の心で何を感じたか、何を思ったか、をしっかり振り返って下さい。この繰り返しで、自分の本心が少しずつ見えてくるはずです。様々な悪い心が見えてきますが、逃げずに受け止めて頂きたいと思います。


例えば、電車で年寄りに席を譲ったとします。その年寄りが御礼の挨拶もせず、むすっと席に座った場合、心の中でどう思うでしょうか?私なら、「せっかく、わざわざ譲ったのに、御礼の一つも言えないのか、このくそばばぁ!」と、腹底の心で思い、不快になるでしょう。これが、本心です。つまり、善いことをしているのに、腹底の心では、それ以上に悪い事を平気で思っている、怖ろしい存在、これが人間というものです。善いことをしても、ついつい「見返り」を求めてしまうのが、悲しいかな、人間なのです。ただ、こういった悪たらしい腹底の心をしっかり見つめ、汚い心だけど、これが自分の心なのだ、と受け入れるのが非常に大事です。所詮、人間の心はキレイなところはありませんから。


どんどん善いことをしていくと、見返りを常に求めている自分に気づけるようになります。もしかしたら、純粋な善などできないかもしれない、と思えるようになります。それぐらい、善をすれば、自分の本心はだいぶ見えてきている状態にあると思います。


ここで、注意がまた必要です。悪々しい自分の心ですが、これを開き直って、悪いことをしていい、という勘違いをしないで頂きたい、と思います。悪い心があることを認めつつ、悪いことをしないように行動をする事が大切なのです。自分が悪い要素を持っていると知れば、悪い縁を絶ちきり、悪い行動にならないようにします。例えば、アルコール依存症の傾向があると知った人は、飲み会を避けたり、冷蔵庫にアルコール類を置かないように配慮したりして、アルコールの縁を絶ちきります。これで、アルコール依存症になることを回避しようと努力します。


人は、自分の本心が分からないから不安を抱え、自分に自信が持てません。しかし、決してキレイではないかもしれない本心、を知れば、人は自分に対して自信を持てるようになっていきます。自分を知って自信のある人生にするのか、自分を知らずして自信のない、不安な人生にするのか、それは偏に自分の選択一つにかかっているので、怖いかもしれませんが自分を知ることを選択して欲しいと思います。


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