πの無理性の証明 | NOTE

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備忘録

THEOREM 49. π and π2 are irrational.

 Suppose π2 rational, so that π2 = a/b, where a,b are positive integers. We write

so that G(0) and G(1) are integers. We have

     

     

Hence

an integer. But, by (4.7.1),

for large enough n, a contradiction. □

出典:G.H.Hardy and E.M.Wright.  An Introduction to the Theory of Numbers  P54. THEOREM 49.

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訳と補足:

 まず初めに補足として、f(x)や式(4.7.1)について記すと、原典P53より

 nを正の整数として、f(x)を

 

とする。ここでcmは整数である。0<x<1の範囲では

と書ける。これを踏まえた上で、次の補題を証明する。

 

補題:次の(*)がn→∞の極限において、0に集束する。

 ε-N論法より

を満たすNを考える。まず定義より

である。また

であるから、|a|より大きい自然数mをとると、nがmより大きいとき

と書ける。これより式(1)は

となる。ここで、特定のmについて考えると

であるから、任意の正実数εに対して、Nより大きい任意の自然数nについて

が成り立つものが存在する。よって、このようなnのうちmより大きいものには

が成り立つ。よって(*)は0に集束する。 □

 

これにより本題を示す。

定理49. πとπ2 は無理数である。

 π2を有理数とし、π2=a/bとおく。このとき、a,bは正の整数とする。ここで

とすると、G(0)とG(1)は整数である。よって

     

     

を得る。

これより

これは整数である。しかし、式(4.7.1)と(*)より、nが十分大きい場合は

となり矛盾する。 □

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 円周率πが無理数であることを示した。この証明の本筋は背理法であるため、初めにπが有理数であると仮定して、それが矛盾すると示したことで証明している。本筋としては非常にシンプルで、計算自体も簡単に求められるものである。また、三角関数を用いているところなど、πの証明としては直観的に理解しやすい。

 原典にはなかったが、自明ではないと判断して、補題としてε-N論法からanが0に集束することを示した。これは初等的には、はさみうちの原理から証明することもできる。