友人との話で、「昔よく松ボックリで遊んだな」という思い出話になった。
ふと気がついたら、最近は松の木を見ていない。
「確かあの辺りの家に松の木が植わっていたはず・・」と、記憶を頼りに行ってみると
家そのものがなくなっていて、跡地に建て売り住宅が3軒も建っていたりする。
こうなるとムキになり、メール便の配達受け持ち区域4町内を隈無く調べてみた。
結果・・・松の木はゼロ。
どうしてこうなったのか?と考えてみると、
松の木が似合う庭を持つ旧家が減ったせいではなかろうかと思い至った。
昔からの家屋敷を守って来た年寄りが亡くなり、
相続した人間が土地を売り払って相続税に充てた、という話はよく聞く。
土地を買った側では広い土地など割に合わぬと分割して複数の建て売りを建てる。
となれば、必然的に庭は狭く、あるいは全くない住宅だけが増えて行くという図式になろう。
今、都市部の小学校に通う児童たちに聞いても「松ボックリってなぁに?」との答えが
返って来るような気がする。
よく「松竹梅」とは言うものの、この近所では松、竹は姿を消し、辛うじて梅だけが
その花と香りで生き残っているだけのようだ。
「粋な黒塀に見越の松」といった風情が消え去るのも、遠い先ではないような気がして寂しい。