●泥水のみのみ浮き沈み
勝新太郎対談集 (文春文庫)
出版社： 文藝春秋
発行年月：2017年6月
価格（税込）：745円
ページ数：232P
ISBN:978-4167908744
勝新太郎が亡くなって20年。というわけで
勝新本がいくつか出版されています。この
本は月刊誌『文藝春秋』で92～94年に断
続的に連載していたものをまとめ、94年に
単行本として発売した対談集で、文庫とし
て今年、復活したものです。
掲載順に白井佳夫、ビートたけし、三國連
太郎、瀬戸内寂聴、石原慎太郎、森繁久彌、
津本陽。そしてトリは中村珠緒。大喧嘩にな
ったというハマコー以外の対談が載っていま
す。
対談相手によって少しスタンスは違いますが、
基本的には冗談を盛り込みながらのハチャ
メチャで愉快な対談ばかりです。森繁とのス
ケベ話合戦やたけしに「マリファナやってるだ
ろ？」と執拗に聞いて困惑させたり……。隙
あらばマリファナと下半身にまつわる話を盛
り込むなどサービス精神が旺盛です。近年
のように素人がすぐに「不謹慎だ」と言って
くる時代にはとてもできそうもない内容です。
もちろん、こうした冗談だけでなく、随所で語
る芝居への情熱がすごい。「学がない」とい
いながら伝統芸能についての知識の深さ、
さまざまな新しいことを貪欲に吸収しようとす
る姿勢がすごい。映画が撮りたくても撮れな
い寂しさも感じられます。勝新の才能を認め
る白井佳夫が本当に心配している感じが泣
けます。
「芝居には足し算だけじゃなく、引き算が重要」
と説くなど、ビジネスマンにも応用できること
も結構言っています。宇野信夫（劇作家）に
言われたという「まねる（自分の尊敬できる人
のまねをする）、まねぶ（そのまねた殻から抜
け出す）、まなぶ（自分だけの個性を身につけ
人生を歩いてゆく）」とか……。
皆に好かれた魅力的な人というのがよくわか
ります。
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