楽譜を読むのにはイマジネーションが大切だ | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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「楽譜の通りに演奏しましょう」なんて言われたこと、ないですか?

楽譜の通りって、何でしょう…
 
こんばんは。
トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。
 

楽譜に書いてあること

あたりまえですが、楽譜には、音符以外にもいろいろなことが書いてありますよね。
速度だったり強弱だったり表情だったり音符の話し方(アーティキュレーション)だったり…
でもそれって、何でしょう?
『しなければならないこと』でしょうか?
じゃ、書いてないことは、『しちゃいけないこと』なの?
 

書き方って作曲家さんによって色々だ

たとえば、去年の課題曲1、矢藤学さんの『マーチ・スカイブルー・ドリーム』。
音符以外の、たとえばアーティキュレーション記号がほとんど書かれていないんですね。
潔いとすら思います。
逆に、今年の課題曲1、江原大介さんの『スケルツァンド』。
こと細かにアーティキュレーションが記されていますね。
とっても親切で丁寧です。
 
どちらがいいとかいうことではないのです。
 

作曲家さんが伝えたいこと

それはきっといろいろあると思います。
それをできるだけ、楽譜に書き記す、それがいいんだ、と考える作曲家さんが多いと思います。
でもぼくは…
作曲していて、書こうかどうしようか迷ったことは書かないようにしています。
なぜか?
 
書いてしまうと、『しなければならないこと』になってしまいかねないから。
『クレシェンドが書いてあったから、やりましたよ!』というクレシェンドは、ぼくは聴きたくない。
もちろんそれって、演奏する側の問題なのですけれども。。
それに、演奏者の自由を残しておきたい、いろんな解釈が出てくる方が面白い、
と思っているのかもしれません。
もちろん、繰り返しますが、決してどちらがいいとかいうことではなく、ね。
 
 

こまかく書いてあればわかりやすくて簡単?

でも、じゃあたとえばアーティキュレーションがこまかく書いてある曲。
書いてある通りにやればいいからわかりやすい、のでしょうか?
 
たとえばスタッカートがあったとして…、
さっきのスタッカートと、ここのスタッカート、おんなじ曲のスタッカートだからおんなじなの?
全然、そうとは限らないんですよ!
 
それから、たとえば行進曲の低音あたまうち(ぼんぼん)、これ、たとえ4分音符でも短く吹きますよね。
じゃ、それにわざわざスタッカートが書いてあったら?
短く吹くのが普通だから作曲家さんはスタッカートを書いたのか、それとも、
この曲ではことさら短く吹いてほしいからわざわざスタッカートを書いたのか、
そこを読み取らなければなりませんよね!
それに、ただ書いてあることさえやればいい、というものでもないのです。
 
どんなに細かく書いたって、自分の中にある音楽を全部残らず楽譜に書くことなんてできないのです。
 
 

イマジネーションが大切だ

さて、楽譜に書いてあることって、『ただその通りにやればいいこと』なのではなくて、
作曲家さんからのメッセージなのです。演奏のヒントなのです。
だから、いろいろ書いてある方が、作曲家さんからのメッセージが多いというふうには言えると思います。
 
作曲家さんは…
どんなイメージで、そう書いたのか
どう感じて、そう書いたのか
どんな音がほしくて、そう書いたのか
 
それを読み取る、推理する、想像することが大切なんですね。
だから、イマジネーションが必要なのです。いろいろな『引き出し』も必要なのです。
そうすれば、『書いてあったらしましたよ』なんてクレシェンドにはならないはずですね。
文章を読む時だって、ただ書いてある通りに読んだのでは棒読みです。
ちゃんと意味を考えて読みますよね。
 

楽譜の通りに演奏するって

作曲家さんからのいろいろなメッセージを元に、作曲家さんの中にある音楽を推理する、イメージする。
そしてそれを、音にする。それがつまり、『楽譜の通りに演奏する』ということ。
決して、なにも考えず、『ただ書いてある通りに演奏する』ことではないのです。
楽譜を読み取ることは、作曲家さんの音楽を読み取ることなのですね。