【開運講座:陰隲録・功過格/袁了凡】のシリーズ記事一覧はこちら
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前回の人のSMプレイを邪魔した楊自懲のエピソードの続きです。
楊の家は甚だ貧しかった。
ところが、彼は賄賂一つ受け取らなかった。
しかも、囚人の食料が乏しい時には四方八方手をつくしてこれを改善させた。
ある日、囚人の食料も、我が家の食料も乏しい時があった。
奥さんと相談した時に、奥さんが問いた。
「囚人はどこから来たのですか?」と。
楊は、
「遠方の抗からだ。道中、食料が無く、みんな青菜のような顔色であった」と。
彼らは結局、自分たちの備蓄米を放出し、粥にして囚人に食べさせた。
後に、楊は二人の子供を生んだ。
長男は守陳で、次男は守址である。
彼らは、南北の吏部侍郎となった。
長孫は、刑部侍郎になり、次孫は、四川省の廉憲となった。
みんな名臣である。
今の、楚亭德政もその末裔である。
もしかしたら、賄賂を貰って、その金で貧困者を救った方が効率がよかったのでは?
と思ってしまうのですが、賄賂を貰うと、そのスポンサーの注文を断れないところがネックになります。
とは言え、スポンサーの言いなりと言っても、スポンサーの悪事の量によるでしょう。
例えば、スポンサーのドラ息子が、馬車で交通違反(そんなものが当時あるのか?)を起こしたとしてそれを揉み消したくらいのレベルだったら、賄賂なんていくらでも貰ってその分を貧困者に分け与えて救済したほうが良いとも言えます。
無論、バレた時のリスクがありますが、どうせ支那の司法はやっぱり賄賂で決まるので、その時の準備金を賄賂で持っておいたほうが安全です。
つまり、賄賂を貰うというマイナス陰徳ポイントを消費しても、その金で多数を救うというプラス陰徳ポイントを実施すれば、余裕で間に合うのではないでしょうか?
この考えは一件、碌でもない考えなのですが、冷徹な損得の計算上では、理屈は合うので、「清濁併せ呑む」という趣旨でよく言い訳に使われます。
何しろ、あのイエスでさえ、
ルカによる福音書16章で、
「不正な富(主人の金を横領)した男が、バレそうになって、あわてて、主人の債務をあちこち帳消しにして、リストラ(で済むのか?)された時のために、恩を売っておく」
という話を、美談として言っているくらいです。
もっと言えば、レバレッジ(借金による一時的なパワー)を利用して、事業に投資。
そして展開して、借りた金よりも多くの資本を取得するというのは、資本主義の基本です。
その金の借り先が、合法なものかグレーなのかダークなのか違いますが、いずれにしても、レバレッジを効かせるという点では同一です。
ただ、この話は、容易に全体主義の論理に利用されることは言うまでもありません。
万単位で人体実験をしても、戦後の医療に莫大な貢献をしたからセーフという論理は、今でも使われます。
全体主義は、ファシズム国家だけでなく通常の民主主義でも使われますので、お国のために、~のためにという論理で、個人の人権を抑圧することにつながるのは、歴史のりピートです。
少数の虫を殺して多数の虫を生かす。
必要悪という世界の呪いは、現実のすぐ裏にある人間社会のダークサイドです。
その行為は善意で出来ています。