と昔は美人の形容するときに使われた牡丹の花ですが、奈良県には、山肌一面を牡丹の花が染め上げる名刹があります。
古くは「こもりくの泊瀬小国(はつせおぐに)」と呼ばれた渓谷の地「初瀬(はせ)」・・・
そのその山谷に荘厳な姿を見せるのが
真言宗豊山派(ぶさんは)総本山の長谷寺
です。
亡き父のお参りをしていただいている大黒行者さんから、「長谷寺裏まで行けるルートがあるので、牡丹の季節に是非行きましょう。」と言っていただいてから、うちの母親は、この季節を指折り数えておりました。
1ヶ月前から、「大黒行者さんは忙しいのかな?長谷寺に連れて行ってくれるのかな?」ともううるさくてうるさくて・・・
大黒行者さんの方も、気にかけていてくださったようで、先般、松尾山の大黒天様の縁日に母と一緒にお参りさせていただいたときに大黒行者さんとお会いすることができ、「5月4日」に長谷寺行が決まりました。
おそらく、母はこの5月4日が来るのを、毎日そわそわと待ちわびていたことだと思います。(まるで遠足前の子供のように・・)
そして5月4日がやってまいりました。
天候は曇り。
大黒行者さんの車の後を付いて走る、裏ルートは新緑の美しい山道できもちのいいドライブコースでした。
そして着いたところは、本当に長谷寺の真裏で、長い参道を歩くこともなく、高齢者の母を連れて行くにはもってこいでした。
境内に足を踏み入れると、ゴールデンウィークまっただ中なので、さぞかしすごい人だろうと思っておりましたが、思ったより混雑しておらず、いきなり美しい牡丹が出迎えてくれました。
長谷寺の牡丹は、面長な顔立ちから
馬頭夫人(めずふじん)
と陰口を叩かれていた中国の唐の后妃が、長谷寺に立願した末に絶世の美女となり、そのお礼として、数株の牡丹を献木したのが始まりだそうです。
山腹の本殿へ延びる399段の登廊の両側には
150種7000株の牡丹
が、山肌一面を彩るような緋色・白色に染め上げています。
その様は華麗であるとともに、圧倒的な存在感を示していておもわずため息が漏れます.
現在は、
黄色の牡丹
緑色の牡丹
などの新種も植えられていますが、やはり私は薄紅色と濃紅色の牡丹が好きです。
そして、白色の牡丹は、とても高貴で「花の王者」という感じがします。
牡丹の他にも、花のみてらの名にふさわしく、
大手毬
シャクナゲ
ハナミズキ
つつじ
シャガ
山吹
等が咲き誇り、その美しさを競い合っています。
でも・・
長谷寺は花の美しさだけがすごいお寺ではありません。
次は圧巻のお姿の長谷寺御本尊
十一面観音菩薩様
をご紹介したいと思います。
長谷寺② 巨大観音(十一面観世音菩薩立像)