激動に継ぐ激動の10月。
これでもかと蜘蛛の巣の張った頭をフルに使い、頭の中も現実も、もがきにもがいて動き回った10月。
たくさんの人に会った10月。
嗚呼10月。
ある日の僕の職場の特別養護老人ホームでの出来事。
TOWA『少し休みながらやった方がいいですよ。』
利用者Aさん『そうね。一気にやると疲れちゃうわね。』
利用者Aさん『…でもね、私目の病気でもうすぐ目が見えなくなっちゃうの。だから目が見える内に一生懸命絵が描きたいのよ。』
塗り絵が趣味のAさん。しかし、最近いつにも増して一日中塗り絵ばかりしている。塗り終わった絵はみんなの共同スペースの壁や自室の壁に隙間無く貼られ、いつの間にか僕の担当フロアはAさんのギャラリー化している。
“自分が綺麗な色で色を塗って、それをみんなが見て喜んでもらえたら嬉しい!”
が、いつものAさんの口癖。
たしかにAさんの目の状態は良い状態とは言えず、日に日に見え辛そうだったり、目の疲れの訴えが増えていた。
そうか、Aさんの目はいつか見えなくなってしまうのか。受け入れがたいけれども、それは現実に成りうるのかもしれないと、ある種の覚悟の様なものを心の中でしました。
そして時は移ろい、僕は担当棟を異動となりAさんとはしばしの別れ。
と言っても、同じ建物の中にいるわけだからいつでも会える。
そしてまた時は移ろい、ある日の朝。
以前一緒の担当棟で仕事をしていたスタッフさんと通勤のバスが一緒になり、話をしながら施設へと向かう。
同僚『…そういえばね、知ってる? Aさん一週間ぐらい前に急に亡くなったのよ。』
TOWA『え!? Aさんが!?』
同僚『その日もばっちりお化粧をして、いつも通りに おはよう! って元気に朝起きて来られて、本当にいつも通りだったの。でも突然具合が悪くなって、すぐに病院へ行ったけど、そのまま亡くなってしまったのよ。』
それを聞いて驚き過ぎた僕は絶句するしかありませんでした。
Aさんは目が見えなくなると言っていたけれど、目が見えなくなる以前に突然に亡くなってしまった。
今は残された絵だけが、生前のAさんの優しさ、温かさ、ひたむきさ、命の煌めき全てを留めて伝える。
思い出すAさんの言葉。
『私目の病気でもうすぐ目が見えなくなっちゃうの。だから目が見える内に一生懸命絵が描きたいのよ。』
そしていつかの、僕へ向けられたAさんの言葉。
『あなたね、こんな所にいちゃだめよ!!!あなたは若いし素晴らしい才能があるんだから!こんな所にいないで一生懸命絵を描きなさい!』
そして10月の岩手への旅。
震災の復興支援イベントで知り合って仲間になった釜石の格闘家サトシ君が、その後RAPを始めてHIPHOP CREWを結成して初めてのイベントを開催するとの事で応援に向かいました。
ちなみにサトシ君は震災で被災していて今も仮設住宅で生活をしている。そんな状況の中でも屈せず、ひたむきに格闘技に打ち込むサトシ君が大好きだったし、そんな彼が新たにRAPを始めたと聞いて、その信じられないバイタリティーに感動して、いても立ってもいられない気持ちで岩手へと向かいました。
そして、想像を遥かに超える素晴らしく熱いライブの応酬に涙腺崩壊。
イベント中に、あるMCがこう叫んだ。
『自分を誤摩化して生きるのはもう終わりにしたいんだ! 何かを待つのはもう終わりにしたいんだよ!』
10月、僕は通算して7年間お世話になった介護職という仕事に別れを告げて退職致しました。
これからはひたむきに、一生懸命に自分の命を絵に変えて生きていきます。
茨の道ですが、いつまでも踏ん切りがつかなかった臆病な自分を奮い立たせるには最良のタイミングだと判断しました。
こんな決断が出来たのは、僕を愛し、支えてくれる家族や友達のおかげでしかないです。いつもいつも、みんなが僕に生きる力と勇気をくれたから僕は人生において大事な一歩を踏み出す事が出来ました。 僕に関わって下さっている全ての人に言いたいです。 いつも支えてくれて本当にありがとうございます。
これからは自分の決めた道に信念と誇りを持って、自分の可能性の限界に挑戦して参ります。
僕は芸術家でありメッセンジャーです。妻、家族、友達、関わる世の中のたくさんの人達に死ぬまでインスピレーションを与え続ける事が僕の使命です。
これからも応援を宜しくお願い致します。
TOWA
MAGIC / Hawaiian6
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