森博嗣『有限と微小のパン』/講談社
謎…C+
構成…C+
珍味…B-
怪奇色…B
総合評価…C
※以下、真相への言及はありませんが、ストーリーに関する若干のネタバレはあります。
…
犀川と模絵他、いつものメンバーがテーマパークを舞台に活躍する<S&Mシリーズ>最終作。
やたらめったら長いうえにミステリーとしてヒジョーにつまらない…つまりろくでもない作品です。
以下あらすじ。
舞台は、新進企業ナノクラフトがヨーロッパの景観を模して作りあげた<ユーロパーク>。
ここには、スタッフの間で語り伝えられている二つの噂があります。
ひとつはシードラゴン事件と呼ばれる死体消失事件。
あるスタッフが、パークのロボットのドラゴンが霧の夜に人間を噛み殺した現場を見たというのものであり、ただちに警察が呼ばれたにも関わらず、わずかの時間で死体は消失したのだといいます。
もうひとつは、パークのどこかに三年前の殺人事件に関わった天才科学者・真賀多四季博士が匿われているというものです。
ナノクラフト社長の塙(はなわ)氏によって、ユーロパークに招待された萌絵。
彼女は、塙氏に薬を飲まされ夢うつつのままでに四季博士と再開します。
四季博士は、萌絵の大学の担当教官である犀川に興味を持っており、萌絵に働きかけることによって犀川をパークへ呼び寄せようとしているように見えます。
連絡を受けて萌絵の身を案じ、パークに向かう犀川。
しかし、犀川の到着を待つことなく事件が発生しませす。
長崎県警の警察官とともに犀川の到着を待っていた萌絵の周囲で、次々と変事が起こり始めます。
パーク内の教会に転がっていたスタッフの死体が、わずかな時間で片腕だけを残して消失します…
社長秘書の女性が密室で殺害されます…
確かに存在したはずの地下へのエレベータが消失し、ただの倉庫に変わっています…
バーチャル・リアリティ体験の最中に仮想空間に現れた「影」によって、参加者が殺害され、それと同時に現実世界の参加者の体にもナイフが突き刺さっています…
連続する奇怪な事件は、天才四季の描いたシナリオなのか?
犀川に子供の遊びと形容される犯罪の目的は?
…
これ、非常にくだらない内容です。
犯人もトリックもくだらない。
繰り返して恐縮ですが、無駄に長いだけで全く内容がありません。
本当に時間の無駄なので読む必要はありません。
子供の遊びなのは、この作品のほうです。
しかも悪い意味で。
腹が立つので以下にトリックを書いてしまいます。
あらすじを読んで気になる人はそれを確認してください。
しつこく繰り返しますが本当にくだらないので読まないのが身のためというものです。
【注意】
※以下、真相への言及があります!!
以下でトリックを明かします。
ミステリーファンならば、この内容を見れば私が読む意味が無いといった理由がおわかりいただけるでしょう。
シードラゴン事件→
話題作りのためにパークのスタッフが金を貰って作り話をした。
つまり事件そのものが存在しない。
教会での死体消失→
現場にいた目撃者が死体を裏口から移動させて嘘をついた。
つまり目撃者が犯人。
密室殺人→
現場を確認した目撃者が嘘をついた。
密室殺人など起こっていない。
現場を調べた警察も偽警官でありグル。
バーチャルリアリティ殺人→
単なる早業殺人。
装置の装着を手伝った助手が素早くナイフを使った。
仮想世界のキャラクターはコンピュータが動かしており、被害者は最初から死んでいた。
…以上、大半が目撃者・証言者の偽証という、この「トリック」を使う限りどんな不可思議も説明が可能、要するにミステリーにおいて最も安直で面白くないな解決策というわけです。
作中では、この種をバーチャルリアリティにこじつけて一席ぶっているのですが、そのあたりの言い訳臭さが、ますます残念感を高めてしまっているように思われます。
ハァ…
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グル名は物々しいけれど管理人は放任主義だしみんないい人ばかりの自由な気風です!
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