英空港に置き去り「頑張って帰って」…ツアー客が阪急交通社提訴

2013.6.5 19:22 westナビ
 

ヒースロー空港の第5ターミナル

 ツアー旅行で英国の空港に置き去りにされ、添乗員に「頑張って帰ってきて」と言われるなど不適切な対応で精神的苦痛を受けたとして、仙台市の男性が5日までに、ツアーを企画した阪急交通社(大阪市)に慰謝料など40万円の損害賠償を求めて仙台地裁に提訴した。5月17日付。

 訴状によると、男性は1月、スペインとポルトガルの8日間周遊ツアーに参加。帰国のため中継地の英ヒースロー空港から日本への便に乗る直前、手荷物検査の再検査対象に無作為で選ばれ、ほかの客が検査の列に割り込むなどして時間がかかり、搭乗できなかった。

 添乗員は先に搭乗し、電話で男性に「今、飛び立つところでもう乗れないので、頑張って帰ってきてください」と連絡。男性は自己負担でさらに1泊し、英語が話せないため案内ガイドを雇った。帰国してから会社側は「会社に過失はないので費用は補償できない」と回答したという。

 男性側は「時間の余裕を持ってスケジュールを組むべきだった。添乗員はツアー客がスムーズに搭乗できるように果たすべき注意義務を怠った」とも主張。阪急交通社は「裁判になり残念に思う。法廷の場で見解を述べたい」としている。

この記事について
無関係な他社をかばう気はさらさらないけど
個人的な感想を言うと、男性客の主張は(多分)通らないと思う。
実際の目撃者である他のツアー参加者達も

添乗員側に立つことは想像に難くない。
というのも、この場合、数十名が検査にひっかかって乗り遅れたのではない。
添乗員は、あくまで、本来のオリジナル全員と共に行動すべきであり
一人が引っかかってるからと、その他全員を

お客さまだけで帰国させたら、全員が黙ってないでしょう。
旅程に、成田発から帰着まで添乗員同行となってる以上、

保障問題が発生する。
一人のイレギュラーのために全員の原則を放棄するわけにはいかない。
(と私なら判断する。)
もし、この場で、新人ツアコンが、あわわ・・・となって、

この男性と残ってたら、約款にふれる問題、

場合によっては国土交通省も出てきてたでしょう。

気になるのは「他の客が検査の列に割り込んで

時間がかかった」という男性の言いわけ。
私も、ツアー中、外人を列に割り込ませたお客さまには注意する。
「なぜ、しっかり並ばずに、外人を割り込ませたのか」と。
先に通すよう、機関に指示されたのでないなら、
これは、完全に個人の過失の部分ではないでしょうか。
現に、一緒に再検査された他のツアー客たちは

間にあって搭乗できたわけですから。
皆さんの会社では、遅刻の言い訳として、

「他の客が割り込んで来て本来乗るべき電車に乗れなかった」

が、通用しますか?

「時間の余裕を持ってツアーを組むべきだった」というのも、う~ん・・・( ̄ー ̄;
余裕があったからこそ、執拗な再検査の中、全員搭乗できたわけで。
それに今回と無関係だけど、本来、阪急と「余裕」

というのは、相反するワードです。
いくらでも、ゆったりした旅行社のパンフがある中
阪急を選択したのは、ご自身では・・・。
数十万投じるのに、やはり、ちゃんと調べて選ばないと。

この日の同時刻、多分、何人もの日本人や外国人が

同様の検査にひっかかったことでしょう。
その人達が皆乗り遅れてたとしたら、今頃、世界中、

大騒ぎとなってたはずです。
なぜ、他の人々が搭乗できてこの男性ができなかったか
そのへんが重要ではないでしょうか。

何も知らない素人の外野が、「おきざりにした」と

言うのは簡単ですがあまりに無知です。
webでは、「男性から先に検査を受けさせればよかったのに」

という信じがたい意見さえありましたが
あのね~(平和ボケもここまできましたか・・・)
相手は警察、しかもテロを疑う最強の検査です。
「この人先にやってあげて」なんて言おうものなら、どうなるか。
それと終わった人間は即効、機内に乗せられます。
一度でも海外旅行した人なら思いだされると思いますが
一般・添乗員にかかわらず、チェックイン済みの乗客がゲートに残ることは許されません。
「私、ここへ残ります!」と搭乗拒否したら、
別室に連行されますよ。(金賢姫事件で分かるように
荷物だけ積んでて本人が乗らないとテロリスト容疑)


「別の指示ができただろう」と言うのも

素人ならではの発想。(単純!)
離陸時の機内携帯使用は禁止。
以前、私も緊急で協議しなければならない状況で
10秒待たずに携帯取り上げられました。
誰だか知りませんが今回のツアコンも、CAに注意される中
わずか数十秒のチャンス祈るような気持ちで
「頑張って帰って来て下さい!」と咄嗟に叫んだことと推察できる。
(私の場合は、「お客様が発作で・・・」という言葉の途中で取り上げられた)

思いだすのは昨年夏、
今回のように、乗り遅れた私のお客さま(大学生の男性)は
(今回に近いケース、フランクフルトの空港で入国審査につかまった)
翌日、自力でヴェニスに来られて平謝りされました。
この方も英語を話せるとは言えない方でしたが、
ヨーロッパ内の空港には必ず日本人職員がいます。
ロンドンの空港にもJALやANA職員がいるように。
そこへ行って事情を話したら、翌日便の手配をしてくれたとのこと。

実は、積み残し(お客様が乗り遅れること)は、時に起こることなのです。
お客様のGATEでの居眠り、免税店での買い物に夢中、一刻も争う移動時にトイレに行ったなど。
この場合、私の知る限り、常にお客様の方が謝ってこられました。
あまりにイレギュラーに理解を示すと、逆にきちんと

団体行動取られてる大勢のお客様から
「ちゃんとやってる私達って何?」とクレームが出るのです。
私達の仕事は、物事の照準を、常に、基本に当てるべきでしょう。

長くなってごめんなさい。
もうひとつだけ。

男子大学生が翌日ベニスで出迎えた私におっしゃった言葉を
今回の仙台男性に聞かせたい。
「僕が悪いんです。他の皆さんが出来たことが僕にできなかった。
僕が水上タクシー代(2万円)払います。」

帰国後、会社宛にお礼とお詫びのハガキまで頂きました。
学生生活の思い出にと参加された旅行
今頃、分別を備えた立派な社会人として活躍しておられることでしょう。