エジプト・ルクソールで熱気球が爆発し
日本人にも被害者が出たという悲しいニュースが入ってきました。
ご遺族の悲しみに心を馳せています。

ルクソールは、10年以上前にも同業のツアコンがテロによって
お客様たちと共に大切な命を失った場所です。
私自身も、別の日、ナイル川のファルーカという帆掛け舟から
自分の宿泊ホテルが炎上してるのを見て愕然としたことがあります。

船に揺られながら、
アブシンベル神殿やネフェルタリ王妃、ラムセス二世の歴史などを
悠長にお客様に語ってた私の目に飛び込んできた信じがたい光景・・・
とっさに「ただいま、私達のホテルが燃えています。」と
口から出てしまい
後から「添乗員が落ち着き過ぎ」と
バッシングの的となったのでした。

このような大きな事故は頻繁ではないにしても
海外旅行は、何かとリスクを伴うものでもあります。

小さなリスクでいうと、私は、この一年
往復ともに、オンタイムで航空機に乗ったことが
二度しかありません。
今回のスペインがその幸運の中の一回でした。
前回のフランスは、帰国時、パリの空港で
航空機の翼に雪が積もって数時間の遅延、
成田到着後、日本各地への便に乗り遅れたお客様のホテル探しで
深夜帰宅となったのでした。
その前は、フィレンツェから乗る航空機が霧で飛ばず
全員バスでボローニャまで一時間半運ばれ、
ボローニャ空港から搭乗、
パリで乗り継ぎ便に間に合わず、ゲートで9時間待ちの挙句
韓国のインチョンまで飛ばされ、
日本に着いた時は朝9時の予定が夜の9時。
またしても全員のホテル探し
と、これ、トラブルでも何でもないんですよ。
会社に連絡もしませんし、ブログにもこの手のことは書いてきませんでした。
日常のことだから。

ちなみに、今回のスペイン、成田集合時に
期限切れのパスポートを持って現れたお客様がいました。
当然出発できず、ご自宅に取りに帰られても間に合わず、
新たな航空券20万円也を購入されて翌日追いついて頂きました。
空港からのタクシードライバーに私達が移動中の観光場所を説明し
合流して頂くまではスリリングな時間。
オランダでは救急車に同乗して搬送された病院で手術に付き添い
フィレンツェの警察は、身分証明なしで顔パス(顔なじみ
ローマの日本大使館近くの写真館から
クリスマスカードが届いた時は
嬉しいのか情けないのか分かりませんでした。
どれだけ通えばこうなるのか。
知人のツアコンは3ツアー続けてお客様が病死され
本人がノイローゼになって、やめてしまいました。

しかし
日々、大小のトラブルに見舞われながら
それでも旅に出たい理由は何か?
この問いに明確な答えを出せるツアコンや
お客様はいるのだろうか。

きっと、
誰もが同じ思い。

なぜ山に登るのかと聞かれた時と同じ。

そこに広い世界があるから。

旅人は、命尽きる直前まで
喜びとときめきに支配されていたと信じたい。
幸福で素敵な人生であったのでしょうと
心からそう思いたい。