こんにちは、看護師のあべです
3連休、札幌は雨が降ったりやんだり。晴れてるのに雨が降ったり
最近はよくわからない天気が続いていますね
秋の空は変わりやすいといいますが、今日は寒くてまだ10月なのに冬の始まりを感じさせます
さてさて、今日は一つ悲しいご報告があります
院内で飼っている猫のカンちゃんが、慢性腎不全になってしまいました
まだ7歳なのに、というショックな気持ちが大きかったですが、気持ちを切り替えて、少しでも長く頑張れるよう治療を開始しました。
慢性腎不全は、初期はほとんど症状なく、静かに進行することからサイレントキラーと呼ばれています。
15歳以上の猫ちゃんの約30%が腎不全と診断され、傷ついた腎臓は元には戻らず、徐々に進行し弱っていく病気です。
今日は、高齢の猫ちゃんにとても多い病気、慢性腎不全について話したいと思います。
腎臓の働きとは?
体の中に、人もネコちゃんも左右に二個あります。
血液から汚れを取り除く、とても大切な役割があります。
[汚れた血液][腎臓]
キレイにした血液
体内
汚れ
尿(体外)
キレイにした血液は体内へ戻り、汚れは尿として排出されます。
腎不全とは?
腎臓の中のネフロン(血液をろ過し、尿の元をつくる)という部分が、徐々に壊れていく病気です。
≪ネフロンが壊れる≫<汚れた血液がそのまま体内へ>
他の臓器にも影響が出て、徐々に猫ちゃんが弱る
そして・・・
少しでも汚れを出そうと、腎臓は無理をして大量のうすい尿を出す
脱水状態、便秘、貧血etc...
症状は?
水をよく飲む
尿の量が増える
食欲低下、痩せてきた
毛並が悪い
嘔吐
口臭、よだれ
脱水、便秘、貧血、尿毒症etc...
原因は?
加齢による腎臓機能低下
腎臓の炎症や腫瘍
細菌やウイルス感染etc...
どうやってわかるの?
尿検査・・・尿比重(尿の濃さ薄さの判断)、尿たんぱく(腎機能低下で尿中に漏れ出す)をみます。
当院では、容器をお渡しして飼い主様にお家で尿を取って来て頂いています。
取り方

①の容器でおトイレ中に尿をとります。
②のスポイトで吸い取り、
③のスピッツ管の中に入れて、お持ちいただきます。
猫ちゃんは尿を取るのがとても難しいです
しそうになっている時にお皿をいれてしまうとやめてしまうので、尿が出ているのがわかったらお皿をいれて取ってみて下さい
もちろん取り皿(容器)は、衛生的な物であれば何でも大丈夫なので、飼い主様が取りやすい容器で大丈夫です。
屋根付のトイレは尿を取りずらいので、屋根のないトイレ
がなければ1つ用意してあげるといいかもしれません
血液検査・・・BUNとCre(クレアチニン)は血液中の老廃物。P(リン)は血中のミネラルです。3つとも腎臓が悪いと数値が高くなります。
血圧・・・腎不全の子の3割が高血圧です。
エコー、レントゲンetc...
治療方法(対症療法)とケア
お薬・サプリメント
点滴・・・血管から点滴する場合と、皮下に点滴する場合とあります。皮下の場合、短時間(5分から10分)で終わります。
食餌・・・腎臓用の療法食があります。様々なメーカーさんが、ドライフードや缶詰タイプなどを発売しているので、好みに合わせて与えてあげるといいと思います。
特に、猫ちゃんは飽きやすいので、小さい袋を何種類か購入し、日替わりなどで与えると食べてくれる事が多いです
K/D腎臓ケア
とても美味しそうです香りもよく、人でも食べられそうでした
写真はツナ&野菜シチュー缶です。他に、チキン&野菜シチュー缶も発売されています。
新鮮な水を多く飲めるように
猫ちゃんにストレスのない生活を心がける
以前、スタッフのゆめさんのお家にも、慢性腎不全のぎんちゃんがいました。こちら
ぎんちゃんは約20歳まで頑張ってくれた頑張り屋さんです
慢性腎不全は、適切な治療とフードを続ければ、猫ちゃんの病気の状態によりますが、数か月~数年、延命する事が可能な病気でもあります。
一度慢性腎不全になってしまうと、完全には治すことはできません。
また、腎不全を疑う症状が出てきた時には、腎臓の機能の70%以上が失われていることが多いです
この病気は、早期発見・早期治療がとても大切になります。
そのためにも、7歳を過ぎたら定期的な健康診断をお勧めします
カンちゃんは、フードを腎臓用の療法食に変え、お薬を毎日飲んでいます