テニス【世界の顔】
(4)大舞台に燃える英雄 テニス ノバク・ジョコビッチ
2012.7.14 07:47 [世界の顔]
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ウィンブルドン選手権では、準決勝で敗退したジョコビッチ=7月(ロイター)
 五輪の“前哨戦”となったウィンブルドンはベスト4で散った。約1年間守った世界ランク1位から陥落。「この5~6カ月は十分な休養もなかった。少し休んで、それから五輪への準備を始めます」。セルビアの英雄は静かに燃えている。今年1月の全豪オープンでは、四大大会(グランドスラム)決勝で史上最長となる5時間53分の死闘を制した。安定感と集中力は抜群で、強烈なストロークで敵を揺さぶり、勝敗の分水嶺(ぶんすいれい)となる場面ではことごとくポイントを奪い続けた。いわゆる「いい人」。全豪を制した直後、表彰台でマイクを向けられると「僕らは今夜、歴史を作りました。しかし、残念ながら2人の勝者とはなりませんでした」とゆっくり語った。破ったナダル(スペイン)への敬意も忘れなかった。コート外の活動にも人柄がにじむ。祖国では自身の財団を立ち上げ、子供たちへの慈善活動を行っている。昨年3月の東日本大震災直後には、テニスのトップ選手に声をかけて米国でサッカーの慈善試合を実施。収益の全額を寄付している。思いやりを育んだのは自身の経験だ。1990年代のコソボ紛争で父が経営するレストランが爆撃を受けた。父は人知れず借金をして息子にテニスを続けさせ、13歳でドイツに留学。トップに上り詰めた。父の思いを深く胸に刻みこむ。全英、全米の“狭間”で行われる五輪に顔をしかめる選手も多い中で、意欲を隠さない。「五輪はあらゆるスポーツの頂点。プレーするのが楽しみ」。前回の銅メダルを今回は金にする。27日の開会式。彼は祖国の国旗を掲げて登場する。(榊輝朗)


サッカー【世界の顔】
(5)母国に初タイトルを サッカー・ネイマール
2012.7.15 07:21
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華麗なプレーを見せるネイマール=5月、米メリーランド州(ロイター)
 ブラジルの至宝と呼ばれる20歳にとって、原則23歳以下の選手で争われる五輪はステップにすぎないのかもしれない。それでも誰もが認めるサッカー王国に初の五輪タイトルをもたらせば、華々しいキャリアを彩る一ページとなるに違いない。名門サントスのスーパースターは、A代表でもすでにエースの座を確立させつつある。決勝トーナメント1回戦で敗れた昨年の南米選手権でも1次リーグからの全4試合に出場。エクアドル戦では2ゴールを挙げて世界の目をくぎ付けにした。ボールタッチが柔らかく、スピードに乗ったドリブルも目を引く。ゴールへの嗅覚も鋭いアタッカーは将来性抜群で、昨年12月に行われたクラブW杯の柏戦でゴールを奪った際も「いつも通りに楽しくプレーできた」と笑顔で振り返った。しかし、クラブW杯では地獄も見た。「タイトルを取る」と意気込んで臨んだ決勝でバルセロナ(スペイン)に0-4で完敗。一方的に攻め込まれる展開の中、ボールが回ってこない前線にぽつんと立ち尽くす姿はいつになく寂しげだった。対照的に輝いたのが、世界最高選手の名をほしいままにするアルゼンチン代表のメッシだ。ピッチを縦横無尽に走り回って2ゴールを奪取。直接対決でまざまざと力の差を見せつけられ、「勉強になった」とうなだれるしかなかった。そのメッシは前回の北京五輪に最大の注目株として出場し優勝の原動力となった。ロンドンには自身が最大の注目株として臨む。世界一のプレーヤーを目指して精進を続ける新鋭にとって、成長した姿を見せるのにこれ以上の舞台はない。(奥山次郎)
【プロフィル】ネイマール
 1992年2月5日、ブラジル・サンパウロ州生まれ。身長174センチ、体重64キロ。



バレーボール【世界の顔】
(6)技術備えた「高い壁」 バレー・金軟景
2012.7.17 00:54
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韓国女子バレーボールのエース、金軟景(キム・ヨンギョン)=2010年11月9日、国立代々木競技場第一体育館(川口良介撮影)
 身長192センチ。コート上では存在感が際立つ。高さに加え、テクニックも兼ね備えたアジアを代表する女子バレーボール界のエース。五輪は初出場だが、その名は世界に知れ渡る。韓国を牽引(けんいん)するのが、今季欧州チャンピオンズリーグでMVPも獲得した金軟景だ。韓国国内で「100年に一人の逸材」と称される24歳。2009年からは日本のVリーグ、JTでプレーし、日本でもすっかり顔なじみの選手だ。Vリーグでも圧巻のプレーが光った。10-11年シーズンではチームを優勝に導き、自身もMVPを獲得。さらなる飛躍を求め、11年5月にはトルコのチームに活躍の舞台を移した。5月の五輪世界最終予選で、日本が苦しめられたのは記憶に新しい。3連勝で韓国戦に挑んだ日本から、両チームトップの34得点。「日本の守備はビデオを見ながら研究してきた」と、勝負どころで、ことごとくスパイクを決め、日韓戦の連敗を10で止めた。この大会では7試合で計134得点。五輪で2度の銀メダルを獲得しているロシアのガモワを抑え、最多得点だった。ロンドン五輪の1次リーグ組み合わせで、日本はA組、韓国はB組に入る。A組で1位か2位での準々決勝進出をもくろむ日本に対し、B組は世界ランク1位の米国、2位のブラジル、3位の中国など強豪ぞろい。韓国が3位か4位で8強入りした場合には、日本との対戦が濃厚となる。躍動する大砲をいかに止めるか。28年ぶりのメダル獲得を狙う日本にとっても脅威だ。(田中充)