【連載】 「上手なお金の貸し方」4 | 障害者の行政書士と愛犬トトの徒然日記

障害者の行政書士と愛犬トトの徒然日記

障害を持って生まれ、30歳で行政書士になり、38歳で障害が進み車イス生活になりました。そんな私のトイプードルの愛犬トトとの生活を語ってみました。

皆さん、こんにちは。今日はお金を貸して分割で返済してもらう場合の注意点で、特に借用書に「期限の利益の喪失」を書いておいた方が良いことを書きます。


お金を貸して分割で返済してもらう場合、困ることが起きます。それは途中で返してもらえなくなる場合が多いのです。


1回目の返済予定日から返さない人は問題外としても、1回目の返済はしたけれど、2回目以降、返済が滞る場合が多いのです。


この時、まあ1回滞ったくらいでは、百歩譲って、やむを得ないとしても、大抵の場合は、2回、3回と続けて滞る場合が多いです。


お金を貸す側は、いくら友人、知人でも、その人を一応は信用して貸すわけですから、少なくとも2回以上続けて返済が滞った場合、滞っているお金を返してもらうことは当然ですが、もう信頼関係がなくなったとみてよいので、滞っているお金だけでなく、貸金の残金全部を一括して返してほしいと要求したいものです


ところが、特別の約束(約定)をしない限り、原則として、分割返済が滞った場合、滞っている分のお金しか請求できないのです


例えば、100万円を毎月2万円づつ50回(50カ月)で返済する借用書を書いた場合、1回目だけ返して、2回目以降返済してもらえなかったとして、10カ月分滞ったとします。計算をしやすくするため、利息はないものとします。


10カ月分滞ったわけですから、滞っている分の20万円は当然、請求できますが、1回目だけ返してもらったとして、貸金の残金は98万円ですね。


貸した人は、もう10カ月分も滞ったので、あなたを信用できないから、分割の話は「なし」にして、滞っている分の20万円のみならず、貸金の残金である98万円を一括して返してほしいと言いたい(請求したい)ですよね。その言い分は、社会常識上もある程度、理に適っていますね。


お金を貸す側にとって、分割の返済の約束は、毎月(毎回)、きちんと返済が実行(履行)されていることを前提にしているわけですから、分割返済が実行されない時は、分割の話は「なし」にして、貸金の残金を一括請求できる事前の取り決め(約定)がほしいわけです


この事前の取り決め(約定)のことを「期限の利益を喪失」する約定と言います
 

すなわち、貸主は、もし借主が分割の返済を○カ月滞った場合は、借主は期限の利益を喪失し、貸し金の残金全額を請求できる、という取り決め(約定)です。


○カ月の部分は、商取引では、1カ月(1回)の場合が多いですが、友人や知人間では、1カ月(1回)では、少々、かわいそうなので、「分割の返済を2カ月滞った場合は」というようにしても良いと思います。


借用書に書く、具体的な文言の例としては、


「借主が分割の返済を○カ月滞った場合、期限の利益を喪失し、貸主は貸金の残金の全額を請求できるものとする。」


借用書に、この文言を書いておけば、分割返済が実行されない場合、分割期間の途中でも、貸金の残金を一括請求できます。


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