フォーガットン(3点) | 日米映画批評 from Hollywood

フォーガットン(3点)

採点:★★★☆☆☆☆☆☆☆
2004年9月30日(映画館)
主演:ジュリアン・ムーア
監督:ジョセフ・ルーベン


 めぐりあう時間たち 」や「ハンニバル」で近年自分の中で株が上昇中のジュリアン・ムーアが主演、そして映画館での予告がとてもよかったので、見に行った作品。


【一口コメント】
 簡単に内容を言うと、心理的にも物理的にも"飛ぶ"映画です。


【ストーリー】
 飛行機事故で息子サムを失ったテリー。事故から14ヶ月が経った後もサムを忘れることができずに、サムの写真やビデオを見たりして思い出に浸っている。しかし、ある日彼女の前から、サムの写真やビデオが消えてしまう。夫を疑い、友人たちにサムのことを聞きに行くが、以前子供同士が一緒に遊んでいた友人達は「サムって誰?」と不思議そうに聞き返すばかり。そこで同じ飛行機事故で娘を亡くしたアッシュを訪ねるが、娘などいなかったと言い張るアッシュ。
 彼の部屋の壁紙を剥がして、娘が書いたはずの絵を見せるテリーだが、それを見たアッシュは警察を呼んでしまう。連行されるテリーだったが、ぎりぎりのところで救われる。彼女を救ったのはなんとアッシュだった。娘のことをギリギリのところで思い出したのだった。
 しかし、その結果NSA(国家保安局)に追われることになってしまう。追手から逃げる二人。夫に会いに行くが、今度はサムだけでなく、テリーの存在すらも忘れてしまっている(ここらへんがFORGOTTEN・・・)。モーテルや小屋などで過ごす二人だったが、ある夜、アッシュが追手の一人を捕獲する。追手に黒幕が誰かを迫る二人だったが、突然小屋が吹き飛び、追手も吹き飛ばされてしまう。
 テリーの心理カウンセラーが警察の元を訪ね、女性警察官と一緒にテリーの行方を追う。
 警察、NSAの両者に追われながら、テリーとアッシュは飛行機事故の真相に迫る・・・。


【感想】
 予告を見たときに自分以外の誰も知らない存在を信じているという設定が非常に面白いと思った。そしてその設定の導入部分は非常に面白い描き方がされていると思った。以下に息子サムのことを思っているのか?(壁紙を剥がすシーンはサイコ的でもあるが・・・)同じような体験をしたが酒におぼれてしまったアッシュの存在で、母親としてのプライドのようなものを心に深く持っていることが、より一層鮮明になる。それと同時になぜ誰も知らない?それともみんなが忘れてしまった?のかという謎が深まっていく。
 といった感じで、予告編で興味をそそられたサスペンス要素がどんどん、と増していく。もちろん、ジュリアン・ムーアの演技力あってこその話だが・・・。フラッシュバックで飛行機に乗りこむサムを見送る彼女や数年前のサムと戯れる彼女の顔はとても幸せそうに見える(そして若く見える)。一方、現在のシーンにおける演技では思いつめた表情で画面に緊迫感をもたらせてくれる。

 途中から、サスペンスというよりはSFチックな展開になっていくが、SFチックな展開になってからは、やや内容がしょぼい。エンディングでは、多分この終わり方でいいのか?(もしくは、納得いかない!)という議論が巻き起こりそうな気がする。SFの内容を書きたいといえば、めちゃくちゃ書きたいのだが、それを書いてしまうとこの映画は見る価値がなくなってしまうので、ヒントだけ・・・。
=オープニング・シーンを含め、何度か上空からの俯瞰シーンがあります=

 個人的には、"ジュリアン・ムーアよ、なぜこの脚本を「めぐりあう時間たち
」の後にこの作品として選んだんだ?"と疑問を投げかけずにはいられない作品です。