スクール・オブ・ロック(7点) | 日米映画批評 from Hollywood

スクール・オブ・ロック(7点)

採点:★★★★★★★☆☆☆
2004年5月1日(映画館)
主演:ジャック・ブラウン
監督:リチャード・リンレイター


 TVで流れていたCMを見て映画の存在を知り、ネットで調べてみるとアメリカでもランキング1位を記録しており、ひょっとすると当たりかも?という思いで見に行った作品。


【一口コメント】
 文字通り"School of Rock"な作品です。

【ストーリー】

 ロック・ミュージックが人生の全てとも言えるデューイは自分で作ったロック・バンドに首を言い渡され、また居候させてもらっている代用教員友人の家からも家賃滞納という理由で追い出されそうになっていた。そこにある名門私立の小学校から友人宛に臨時教員採用の電話がかかってくる。友人になりすましたデューイは小学生の担任をすることになる。
 しかしデューイを待っていたのは規則に縛られ、ランク付けに価値を見出す将来のエリート候補生とも言うべき生徒達だった。そんな生徒達に「授業は休み。ランク付けもなし。」と言い放つ。ある日、音楽の授業を見たデューイは生徒達の技術に驚くと同時に生徒達を仲間にバンド・バドルに出ることを思いつく。
 デューイはクラシックしか知らない生徒達にロックとは何かを教え、次第に生徒達と打ち解けていく。生徒達も親に秘密にしてしまうほど、ロックにのめりこんでいく。
 しかし、バンド・バトル前日、デューイが偽教員であることがばれてしまう―――。


【感想】
 冷静に見れば、偽教員として働くという設定自体に無理を感じなくもないし、エリート環境で育ってきた子供達が全員が全員、デューイの型破りなやり方についていくということもありえないし、子供たちがわずか短期間で一流の演奏家としての技術を見につけるという設定もありえない話のはずだが、そんな違和感など吹き飛ばしてしまうだけのパワーがこの作品にはある。
 自分は少しギターをかじっていたので、デューイの気持ちがわからなくもないし、ギターをかじったり、バンドを組んだことがなくても、音楽の素晴らしさを知っているいる人なら誰もが共感できる作品だと思う。ロック・バンドを組んだことがある人にとっては、それこそ自分の過去とダブらせながら、楽しむことができるのではないだろうか?

 自分が共感を覚えたのは、デューイが生徒達と打ち解けていく観点よりも、むしろ生徒達がデューイに心を開いていく観点。バンドメンバーに入れなかった生徒達が、警備係だとか、衣装係だとか、照明係だとかといった裏方の仕事を与えられて納得するだけでなく、やはり自分も表舞台に立ちたいと申し出て、その申し出をデューイが受け入れるシーン。子供の心理を上手く描いているし、デューイ自身も単純に申し出を受け入れるのではなく、才能を見出したからこそ受け入れるという設定にリアリティを感じた。そこにリアリティを感じなければ、非常に冷めた気持ちでこの作品を見ることになったと思う。逆にいえば、そこにリアリティを感じたから、生徒とデューイの一喜一憂に自分も共感したのだろう。

 また、ロックというテーマも面白い。これがクラシックなら、文部省推薦の映画になりうるのだが、ロックという"反抗"の代名詞的テーマを選んだからこそ、子供時代に誰もが経験する反抗期とダブらせながら見ることができる。
 そのロックを小学生が演奏するという設定も、素晴らしい。劇中で結成されるデューイ率いる小学生バンドの名は「School of Rock」というこの作品のタイトルでもあるのだが、教師と生徒が一体となってこその"School"だと自分は思うのだが、そういった意味でこの作品はまさに"School"である。
 そしてこの映画そのものが「ロックとは何か?」を教えてくれる、まさに"School of Rock"だったと、この作品を見た多くの人が思うのではないだろうか?

 そしてこの作品の最後の最後、エンド・クレジットは本当に素晴らしい。詳しくは伏せておくが、最後の最後まで"School of Rock"な作品です。