ア メ リ(6点) | 日米映画批評 from Hollywood

ア メ リ(6点)

採点:★★★★★★☆☆☆☆
2002年2月1日(映画館)
主演:オドレイ・トトゥ
監督:ジャン・ピエール・ジュネ


 「人を幸せにする映画」、映画の、いや映画だけでなく、エンターテイメントの原点ともいうべき考え方だが、それを実践できる映画というのはそんなにも多くはない。その数少ない映画の1つといえるのが、この作品「アメリ」。


【一口コメント】
 見終わったあと、"少し"幸せな気持ちになれる映画です。


【ストーリー】
 空想の世界に生きる主人公アメリ。ある日アメリは40年前にある少年が隠した箱を見つけ、それをその少年(今はおじさんだが・・・)を探しだして、箱を渡してそのおじさんの人生を変えることになる。
 それ以降アメリは他人の人生に入り込み、いたずらをして、その人を少し幸せにしていこうとする。他人の幸せを作ろうとしているアメリの前にニノという青年が現われてから、アメリのいたずらはすこしずつかき乱されていく。ニノは破れた証明写真を集める趣味を持った不思議な男だったが、そんなニノに恋をしていることに気付いたアメリは直接ニノと話すことができなかった。それは空想の世界に生きていたアメリにとっては現実の世界で生きることを意味するからであり、自分の人生を変えることにもなる。果たしてアメリは他人の幸せだけでなく、自分の幸せを手にすることがでいるのだろうか?

【感想】

 アメリが他人を幸せにするために仕掛けるいたずらは主に3つある。1つ目はアメリが自分の父親に仕掛けたいたずら。旅行をしない父親が大事にしていた小人の置物を内緒で持って帰り、その小人を世界中の有名な建物の前で立たせた写真を父親に送り、父親を旅行に行かせようとする。2つ目は従業員をいじめる食料品店の主人の家に忍び込み、スリッパのサイズを変えたり、電球を替えたり、目覚まし時計の時間を早めたり。3つ目はアメリの住むアパートの管理人に、40年前に亡くなった夫からの手紙を偽装して送り、彼女を幸せにしたこと。他にも少女時代、意地悪な隣人の楽しみであるTVのサッカー観戦の最中にゴール直前でアンテナのコンセントを抜いたり、カフェの同僚と常連客をカップルにしたり、と本当にいろんないたずらを仕掛けている。
 しかし自分を幸せにするいたずらがこの映画の一番の見所だろう。それはつまり、ニノへのいたずらである。空想に生きてきたアメリがニノとの恋で現実の世界に戻るためのいたずらなのだから。

 それにしてもこんなにコミカルで楽しい映画なのに、笑いだけでなく、幸せを与えてくれる映画というのは稀ではないだろうか。幸せな気分にするだけの映画、もしくは笑わせてくれる映画というのは今までにもたくさんあったが、その両方を兼ね備えた映画となると本当に稀だと思う。笑って幸せになりたいという人にはぜひ見てもらいたい映画です。
 またフランス映画というのは、日本ではなかなか見ることはできない。自分の知っているフランス映画といえば、「
トリコロール3部作」、「グラン・ブルー」、「クリムゾン・リバー」くらい。フランス映画を知るという意味でもこの映画を見てもらいたい。
 何はともあれ、ひさびさにミニシアター系映画の醍醐味を味わえた作品でした。