オペラ座の怪人(5点) | 日米映画批評 from Hollywood

オペラ座の怪人(5点)

採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2005年1月13日(映画館)
主演:ジェラード・バトラ、エミー・ロッサム、パトリック・ウィルソン
監督:ジョエル・シューマッカー


 ミュージカルと映画の両方で作品化され、成功を収めた作品といえば、「レ・ミゼラブル」、「美女と野獣」、そしてアカデミー賞を制した「ウェスト・サイド・ストーリー」、「サウンド・オブ・ミュージック」、そして2003年の「シカゴ 」など数多いが、いよいよというか、とうとうというか、大本命がハリウッドで映画化されました。というわけで、見てきました「オペラ座の怪人」。


【一口コメント】
 "映画版"というよりは、ミュージカルを見たことのない人に"ミュージカル版"「
オペラ座の怪人」を紹介する作品といった感じです。


【ストーリー】
 かつては豪華絢爛だったオペラ座。廃墟となった劇場でオークションが開かれていた。そこには、年老いたラウルとマダム・ジリーがいた。そして惨劇の主役となったシャンデリアが紹介され、ベールが取り払われると舞台は1870年代へと戻っていく。
 オペラ座でのリハーサル中、プリマドンナの頭上に幕が落下し、腹を立てた彼女は役を降板。代役を務めたクリスティーヌは幼馴染みのラウルと再会するが、ファントムにオペラ座の地下へとさらわれてしまう。
 クリスティーヌは、ファントムを亡き父が授けてくれた"音楽の天使"だと信じてきたが、地下の隠れ家で彼の仮面を剥ぎ、その正体を知ってしまう。さらにファントムの孤独な心と自分に対する憧れにも気づいてしまう。
 次のオペラの主役にクリスティーヌを据えよという脅迫状がファントムから届いたものの、その要求を無視したために、殺人事件が起こる。そしてクリスティーヌは、ラウルにファントムの正体を打ち明ける。
 仮面舞踏会でクリスティーヌとラウルの前に、ファントムが現れ、ラウルは彼を追って地下へともぐりこむ。そのラウルを連れ戻したマダム・ジリーはファントムの過去を知る唯一の人間だった。
 ファントムの作品であるオペラ、「ドン・ファン」の初日、厳戒態勢の中、ファントムは主役と入れ替わする。それに気づいたクリスティーヌは舞台の上で、ファントムの仮面を剥ぐ。怒ったファントムはシャンデリアを客席に落とし、再びクリスティーヌを地下へと連れ去る―――。

【感想】

 ストーリー的にはミュージカルのストーリーを元にしているが、映画ならではのストーリーもいくつかある。ファントム誕生秘話とでもいうべき話があったり、エンディングもミュージカルとは異なるエンディングになっている。
 内容としては、ミュージカル版を見たことがない人に、ミュージカル「
オペラ座の怪人」を紹介するかのように、全編を通してミュージカル色の強い作品に仕上がっている。逆に言えば、台詞らしい台詞は数えるほどで、7割、8割が歌によって物語を語っているため、"映画"を期待していくと肩透かしを食らう可能性がある。
 だからといって"映画"として楽しめる要素がないわけではない。ストーリーとしての"映画"としては上述した映画オリジナルのストーリー以外にはこれといったものはないが、映像としての"映画"ということであれば、歴代でも数本指に入るといっても過言ではないかもしれない。冒頭、白黒の1900年代からカラーの1800年代に戻っていくシーン。壊れたシャンデリアが引き上げられるのに連れて、廃れたオペラ座が過去の栄華を取り戻すかのように消えていた炎が灯り、くもの巣が張っていた座席は綺麗な赤色の座席へと変わっていく。CGを使っていると思われるが、それにしても素晴らしい映像美だ。映像の作り手としては、これ以上ないほどの仕上がりになっているのではないだろうか?

 配役としては、ファントム、ラウルについては可もなく不可もなくといった配役だったのだが、クリスティーヌ役のエミー・ロッサムは演技力がどうこうということはないが、すごく気になった。というのも、劇中ほとんどのシーンで口が開きっ放しで、見方によっては恐怖や喜びを表現しているとも見れなくもないのだが、それにしても開きすぎだろ!ってくらいに開きっ放しで、演技に集中できなかった・・・。
 普通不自然さを感じたりするものなのだが、歌声と映像の一体感は違和感がなく、非常にうまく編集しているなと関心したのだが、それもそのはずで、メインの3人は吹き替えなしで、自分自身で歌っているらしい。そういう意味でもミュージカルを見ている感覚があったのかもしれない・・・。