中村勇吾、中村洋基、川村真司、3人の映像アプローチ | 福田敏也 オフィシャルブログ PEACE! Powered by Ameba

中村勇吾、中村洋基、川村真司、3人の映像アプローチ

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昨日14日は、
多摩美術大学
中村勇吾特別講義2012。

今年も忙しい中
時間を割いて八王子まで来てくれはった。
ほんと毎年、すんません。

今年は趣向をかえて
「中村勇吾、中村洋基、川村真司/3人の映像アプローチ」
というテーマで、
ネクストジェネレーションの代表2人をさらに招いて
時代的映像のあり方をトークしてもらった。

なぜ、インタラクティブ系と言われる3人に
「映像」テーマなのか。
それは、それぞれのスキルと才能で
映像のあり方をこの数年模索して3人だから。
その結果、
みんなが想像している以上の大きな意味とインパクトを
映像の世界に投げてきたと福田が信じているから。

映画の進化、広告の進化。。。
映像はいろいろなカタチで進化してきたけど、
プログラムやテクノロジーが変えてきた
この10年の進化、
その中で日本のクリエーターが果たして来た役割は
とても大きなものがある。
ほんとにそう信じてます。
だからこそ、
カンヌを始めとする世界の広告賞は
日本のインタラクティブ系のクリエーターの仕事を
高く評価したくさんの賞を与えてきた。

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特別講義2012のいくつかのキーワード:

*****
人は、自分が見ているもの以上のものはつくれない。
What you see is what you make.

これ勇吾さんのことば。

What you see is what you get.は
アップルのインターフェース思想を表す言葉だったけど、
What you see is what you make.は、
クリエーターのあり方を問う言葉。

人間はその脳の想像力の力で
イメージを自分の脳に格納している。
そのイメージのあり方は、
ひとりひとりの「ものの見方」によって大きく変わる。
同じ1本の木でも、
その描き方は、その人の見方、認識のしかたに依存する。
貧しい見方しかできないクリエーターは
頭の中には貧しいイメージ像しか格納されていない。
いいイメージが格納されていなければ、
まともなものはつくれない。
まずはちゃんと見ることから始めよ。
というヨーダのような深い教え。

*****
デザイン「あ」は、こどもの「見る」を豊かにする番組

デザインを教えるのではなく
「見る」を教える。
たくさんの「見る」を知り「見方」を知ると
結果として
デザインの意味がわかってくる。

*****
「見られ方」のデザインを考えたい。

広告の仕事は、
TV/ネット空間でどれだけ広く強く見せるかの競争。
そうした競争とは違う観点をもちたい。

ユーゴさんは常に「見られ方」設計を考えてる人。

*****
つくりかたを変えると、つくるものが変わる。
つくり方から、つくる。
つくり方そのものがストーリーになる。

川村くんのことば。なるほど。
そのつくり方の過程をたくさん見せてくれた。
企画のシート、演出プラン、テスト映像。
そうなんだよなあ。
具体的にプロトをつくって共有すること。
それすごく大事なんだよなあ。
それは得意先ともスタッフとも同僚とも。
その意味と価値、
改めて考えさせられる話だった。

*****
インターアクションのレイヤーが重なることで
深まる可能性があるなら、やればいい。
必ずしも自分は、デジデジしたクリエーターじゃない。

これも川村くんのことば。

*****
ユーザーをもっとおいていきたい。
ユーザーに常に勝負していきたい。
これでもかこれでもかとぶつけたい。
ダメって言われることにどんどん挑みたい。

ヒロキらしいことば。
ネットでなければできないことのなかに、
TVというパブリックな放送メディアではできないこと
という文脈と視点は確実にある。
BMW FILMSも
TVではけっして流すことのできないブランド映像のあり方が
ネットという新しい場で試される広告モデルだったわけで。
いい意味でのアナーキーさ。過激さ。
ネットが一般化していくと
忘れてしまいがちな視点だけど
たしかに大事だよなあ。

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アーチストたちが
一度決めたら同じ芸風を一貫してキャストする感じ。

クリエイティブとオーディエンスの関係を考えたとき
つねに新しいものをひたすらぶつけるクリエイティブもあるけど、
自分のスタイルを確立したアーチストが
そのトーンやスタイルを手を変え品を変え投げ続ける
その感じも面白いし参考になる。
奈良美智とか草間弥生とか。
一定レベルの温度感のクリエイティブを
長く一貫して投げ続けるコミュニケーションと関係。

うん。その視点でのクリエイティブのあり方って
たしかにおもしろい。

*****
音楽が時代の空気をつくっている。

今回のフリートークでユーゴさんが吐いた
もっともさりげなくも深いことば。
その時代その時代で流行っている音楽が
その時代の空気に
大きな影響をあたえている。
人々の感じ方のあり方に大きな影響を与えている。

言語化されない時代の気分は
その時代の音楽的嗜好に自然に反映され、
時代的音やリズムとなって世に広がっていく。

この言葉、概念は
しばしよく考え咀嚼する必要がある。
宿題だと思って、考え深堀りたい。

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今年も刺激的で楽しくて面白い会だったな。
すぐれた作り手に囲まれている時間は
ほんとにインスパイアリングだ。

ユーゴさん、ひろきくん、かわむらくん。
ありがとうございました。