小野俊哉の野球ブログ -2ページ目

プロ野球の最高打率はR・バースの・389。1986年。パ・リーグ記録はイチローがメジャー移籍する直前の2000年に残した・387。


あと一歩。いずれも4割を逃しています。


メジャーにおける4割は1901年以降、タイ・カッブなど8人の達成者います。記録は戦前に集中し、計13回が達成されました。


「神様は手紙を書かないものだ」


ジョン・アップダイクがエッセーにそう書いたことで知られるボストン・レッドソックスのテッド・ウィリアムズが、最後の達成者になりました。


1941年。ウィリアムズは23歳。9月28日、運命の日はアスレチックスとのダブルヘッダー最終戦でした。


前日までの打率は・39955。四捨五入の表記によって、ちゃんとした打率4割を打っています。しかしウィリアムズは不満でした。


「4割を超えなければ、4割打者の価値はない」


彼は問いかける監督にそう答えると、出場を決意します。打てなければ4割を割ってしまう。その危険は承知の上でした。


第1試合。背番号「9」をファンが固唾をのんで見守ります。


4番のウィリアムズが最初の打席に入ろうとした、そのときでした。


球審がタイムをかけ、ホームプレート上のほこりを払うとテッドに背を向けたまま、ある言葉をウィリアムスに掛けたのです。


“To hit four hundred(・400) a batter has got to be loose. He has got to be loose."


※テッド・ウィリアムズ物語その1 終わり。その2へ続く。


Ted Williamsテッド・ウィリアムズ

1918年8月30日生まれ。カリフォルニア州サンディエゴ出身。実働19年(1939年-1961年)で打率・344、2654安打、本塁打521を残す。打撃の神様と呼ばれ、ボストン・レッドソックスで首位打者6回、本塁打王4回、打点王4回に輝く。三冠王が2回。1941年に・406を打って首位打者となり、最後の4割を打った男として語り継がれる。右投げ左打ちの外野手。