厚生労働省が、モデル就業規則なるものを事業主に向けて
公表しています。これは、「従業員が安心して働ける明るい
職場を作ること」が重要であることから、就業規則の例を示し
たものです。
あらかじめ「労働時間や賃金をはじめ、人事・服務規律など、
従業員の労働条件や待遇の基準をはっきりと定め、労使間で
トラブルが生じないようにしておく」ために、労働基準法では、
「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を
作成して労働基準監督署に届け出る必要があります。
届出義務が事業主にあるため、このモデルは事業所向け
になっています。けれども、厚生労働省であれば、本当は
労働者向けにも、就業規則の解説版が必要だと思います。
どこの会社の就業規則を読んでも、そこには、ほとんど無味
乾燥な条文が並ぶばかりです。それで、たいていの従業員は
就業規則を敬遠してしまいます。
けれども、この中にはとても重要なことが書かれています。
すべての従業員の会社生活が、この中に記載されているの
です。その意味では、従業員の人生が描かれているとも言え
ると思います。
それで、少し退屈かもしれませんが、しばらく、このモデル
就業規則から、労働条件の中身を見たいと思います。なぜ
なら、この就業規則が、企業と人との関係を、最も具体的に
示しているからです。
就業規則を作成するに際して、モデル就業規則を活用する
ための注意事項があります。一番大切なことは、就業規則に
書かれた内容が、実情に応じたものであることです。
届けなければならないからと言って、実態と違った就業規則
を作っても、それでは何の意味もありません。