高校1年はひらがな、カタカナを終了し、簡単な構文のステップに入っている。「あきこと友だち」第2課である。もはやひらがなカタカナを満足に読めない生徒は授業について行くことができず、今後3年間に渡って赤点必至。授業中スマホが友達の悲しい生徒になってしまう。

 

さて、自分の受け持っているクラスのほとんどはひらがなカタカナがOKなのだが、一人だけ完全に落ちこぼれた生徒がいる。文字の習得は授業だけでは難しく、家で練習する必要があるのだが、この生徒は全くその気配はなく書き取りの宿題を出しても提出しない。

 

多少は気にしてるのだが、やる気がなければいくら文字を覚えろといっても効果はない。

毎回単語のディクテーションをする前に時間を与えて覚えるように仕向けるのだが、なにしろ教科書が読めなければ元も子もない。見かねた隣の同級生がふがない自分に代わって指導をし始めた。

この指導をし始めた生徒は必ずしもひらがなカタカナを最初からスムーズに習得したわけではない。本人は何度も間違いをおかしながら今ではそこそこに習得できたのである。彼は気立てがよく、いじめられっこの部類に入るのかなあと思っていたが、どうしてどうして芯が強そうでやさしい。

 

 

タイ人にはよくこういう光景が見られる。人が困っているとき、無償で手を貸す。

 

自分は若いとき進学校にいたが、同級生に勉強のことで手を貸すことも手を貸されることもほとんどなかった。

当校もタイ有数の進学校であるが、こうした助け合いの精神は日本よりはるかに優れていると思う。