タイはある欧米の調査会社によると世界でもほとんど最下位にランクされる英語力しかなく、しかもタイ語なまりの英語は日本人にとって本当に聞きづらいものです。

タイに来た初年度は大学で教えていましたが、そこの英語教師はそこそこ流暢な英語を操るタイ人も多く、英語コンプレックスの私は聞いているだけでしたが、ある日

「タイ人の英語はティングリッシュ、中国人の英語はチングリッシュと言うが日本人の英語は何とよぶのか。」

と聞かれ、面をくらった私はそんなことは知らないと言っても納得してくれず、

「ジャパニッシュ」 とか適当に答えていました。
何年かしてアメリカ人に日本人の英語は「ジャプリッシュ」と言うんだと教えてもらったことがあります。

つまり私はタイに来て初めて英語の多様性に直面したのです。

それまではオージーイングリッシュという言葉はなんとなく聞いた事がありましたが、イギリス英語とアメリカ英語が違うということも、世界でそれぞれお国なまりの英語が話されていることもわからずにいました。

タイに来てからは様々な国籍の人の英語に接しました。
タイ、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、デンマーク、アメリカ、イギリス、フランス、中国、、、

きちんと英語教育を受けた人は別として、最も分かりづらいのがタイ人と中国人が話す英語です。 インド英語もひどいらしいけどまだ自分は聞いた事がありません。

タイ英語はしばしば子音を発音しないため、「カウント・ダウン」を「カウ・ダウ」と言ったり、「セントラル・ワールド(ショッピングセンターの名前)」を「セントン・ウォー」というので何を言っているかさっぱりわかりません。

あるときアメリカ人に日本英語とタイ英語とどっちが分かりづらいか聞いた事がありますが、タイ英語のほうが理解に苦しむようです。

しかし日本人よりはるかに英語力に劣るタイ人でも、平気で外国人に分けの分からない英語で話しかけてきます。特に観光地では屋台のおばちゃんまで英語で話しかけてくるので、逆にこちらが身構えてしまうほどです。

タイ人にとって英語を使うことはある意味死活問題であるでしょうが、恥の概念が日本人と全く違うこともあるでしょう。

私のように年をとった人ほど特にそうでしょうが、日本人は人前で失敗することや恥をかくことを極度に嫌う傾向があります。
ですから完璧なセンテンスが思い浮かばないとそれを口にしませんが、逆にタイ人は恥の概念が薄いせいか間違っていようがなんだろうがとりあえず話してコミュニケーションをはかります。

知識があってもそれを使えない私と、つたない知識でも200%活用するタイ人とではおのずと人的パワーが違ってくるのでしょうね。私自身もブロークン英語、ブロークンタイ語を駆使して生活していますが、どんなにひどい英語、タイ語であっても誰も笑いません。

だって外国人がへんちくりんな日本語で話しかけてきても、その場でその人を失笑する日本人はいないでしょう。


日本ではいま小学生の英語教育を教科にするとかしないとか騒いでいるようですが、先ず英語ができても国際人にはなれません。次に週1回の授業で英語が話せるようにはなれません。これだけは断言しておきます。

ほとんどタイ教育省の役人の発想と一緒ですね。

日本の役人、何をしたいのかさっぱりわかりません。