今日は ちょっと閲覧注意記事です。

自己責任で お読み下さい。

 

 

 

 

両親が離婚してから

市営の母子住宅に移り住んだ私達は

誰から見ても一目で分かる母子家庭となりました。

 

お金も権力も、何の後ろ盾もない私達に

吹き付ける世間の風は冷たいことも多かったです。

 

 

 

 

小学校で 私の大好きだった図画・工作の時間に

父の日に向けて お父さんの似顔絵を書きましょう

という 課題が与えられたことがありました。

 

父の顔を明確に思い出すことができなかった私は

先生に聞きに行きました。

 

「先生… うちは お父さんとお母さんが離婚していて

お父さんの顔が よく思い出せません…」

 

先生は、ちょっと考えてから

「そうねぇ~… 

じゃ、海ちゃんは お母さんの似顔絵を書いてね。」

 

そう言った先生には悪意は無かったと思います。

 

でも、その絵は後日 父の日の直前の授業参観で

教室の後ろに貼り出されました。

 

その日は、お父さん達だけが来る参観日でした。

 

クラスメイトの お父さん達が参観に来て

教室の後ろに貼られた似顔絵を眺めている間

私は顔から火が出るようでした。

 

自分には参観日に来てくれる父もいない…

 

お父さんの似顔絵が貼られている絵の中で

お母さんの似顔絵を描いていたのは私だけでした。

 

しかも絵の下には ご丁寧に名前まで書かれていました。

(当たり前ですけどね)

 

昔から、絵が上手だと言われていた私の描いた母の絵は

皮肉なことに目立っていました。

 

授業参観が終わって休み時間になると

お父さんと教室の後ろに集まったクラスメイト達が

楽しそうにワイワイと騒いでいました。

 

ある お父さんが

「この子の絵、上手だね~」 と言っているのが聞こえました。

 

「あ、海ちゃんの絵だね。

海ちゃんちは お父さん、お母さんが離婚して

お父さんが居ないから お母さんの絵を描いたんだよ~」

 

その会話を聞いて、私は その場から逃げ出したかったです。

 

まだ、下校の時間ではなかったので

泣きたくなるのを我慢して、聞こえないふりをして

席から動けず座っていました。

 

(あんな父親だったから離婚したのは しょうがなかったんだ…)

と頭の中では分かっていても 離婚した両親を恨みました。

 

 

 

 

 

又、高校生の時に ある雑誌を読んで

ショックを受けたことがありました。

 

「姑から好かれる嫁と 嫌われる嫁」 みたいな題でした。

 

そのうちの一人の女性の意見に

「うちの息子は

片親で育った家庭の娘さんとは 絶対に結婚させません。 

だって どんな育ちをしたか分からないでしょう?

育ちの悪い人間を 家に入れるわけにはいきませんから。」

 

その雑誌を読みながら

(片親育ちというだけで こんなふうに思われるのに

父親が前科者だなんて ばれたら 結婚もできないだろうな…)

と思いました。

 

 

 

 

 

住んでいた母子住宅には母子家庭と

一人暮らしの老人しか住んでいませんでした。

 

母子住宅の隣には 近くの国立大学の女子寮がありました。

 

つまり、老人と女子供だけが多数 住んでいる場所でした。

 

時々、夜、「キャーーー!!」

という女性の悲鳴が聞こえると ビクッとしました。

 

覗きや痴漢が多発する地域だったのです。

 

我が家にも、時々 庭に侵入してくる覗き魔がいました。

 

 

 

 

 

ある日の夜、母が外出している時間帯に

庭の方でガサッと音がしました。

 

一人でテレビを見ていた私が振り返ると

カーテンの隙間から 見知らぬ大人の男性の顔がチラッと見え

私と目が合うと ニヤッと笑って カーテンの陰に隠れました。

 

庭側の古いガラスの引き戸には鍵がかかっていない状態でした。

 

引き戸の すぐ横の二段ベッドには妹が寝ていました。

 

引き戸の鍵は古いタイプのもので

すぐに錠が掛けられるものではありませんでした。

 

男は、庭側の引き戸の傍に まだ立っていました。

 

錠を 掛けようとすれば 無理やり侵入してくるかもしれません。

 

私は内心パニックになりながらも考えました。

 

「落ち着け! 落ち着いて考えるんだ!

 

反対側の玄関に走っていって逃げるか!?

でも、そうしたら妹は?

私が助けを求めに行っている間に連れ去られたりしたら?」

 

男は、引き戸の横に立ったまま 立ち去ろうとはしませんでした。

 

私は、何事も無かったように スッと立ち上がって

庭と反対方向にある玄関横の3畳ほどの台所に向かいました。

 

そして庭からは見えない冷蔵庫の横に隠れて座り

包丁を手に持ちました。

 

(来るなら来い!! 妹は私が守る!!)

 

相手を刺した時に自分の手を怪我しないように

柄の部分に薄いタオルを しっかり巻きつけながら

自分の手と一緒に固定させました。

 

どのぐらいの時間が経ったでしょうか?

 

恐怖と緊張に震えていた私には

ものすごく長い時間に感じました。

 

少し経って、玄関の方から母が帰ってきました。

 

帰ってきたのが母だと分かると

私は飛び出して行って母に言いました。

 

「お母さん!! 庭に変な男の人が居る!!」

 

母が急いで見に行くと、もう そこには誰も居ませんでした。

 

その時から夕方になると必ず戸締りをして

カーテンも隙間なく閉めるようになりました。

 

 

そんな体験をしながら成長した私は

片親家庭は世間から冷たい目で見られているという事、

大人の男性が同居していないと知られると危険だという事ー

などを学びました。

                               (つづく)

 

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