あるところに大きな海があった。


その海には一匹のオキアミがいて、仲間たちと泳ぎ回っていた。


そんなある日、オキアミの後ろから巨大なものが忍び寄ってきて、オキアミをひと飲みにしてしまった。


飲み込んだのは鯨だったのだが、オキアミはそれまで鯨を見たことがなく、飲み込まれたときもその姿を見ることが出来なかった。


オキアミはしばらくして、自分が何者かに飲み込まれてしまったことに気が付いた。


そこで、オキアミはそれから抜け出すために考え込んだ。


自分は何者かに飲み込まれたらしい。


ここから抜け出すためにはそいつが何者なのか確かめなければならない。


正体が判れば、そいつの弱点を突いて逃げ出すことが出来るに違いない。


そこで、オキアミは鯨の腹の中を一生懸命に泳ぎまわったが、いつまでたっても自分を飲み込んだ者の姿を見ることが出来なかった。



ある者の腹の中にいる者は、いつまでたってもその者の姿を拝むことが出来ない。



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