2007-07-29 20:51:50
【小説】青年の夢は、ささやかな幸福を覆い隠す


うちに帰ってくると、彼女が炒め物をしていた。


「あ、帰ってきた。」


フライパンを握った彼女が振り返って、にっこりと笑った。


「うん。」


僕は普通に返事をしながら、内心で驚いていた。いつの間に彼女が戻ってきたのだろう、何があったのだろう。そんなことを考えながら、部屋に入っていった。


僕が荷物を置いて、居間に座ると、彼女が作った料理を運んできて、テーブルに並べた。
それから、彼女もテーブルについたので、食べようとすると、料理が上手く食べられないことに気がついた。
よく見ると、何故か、僕の箸は大きく曲がっていて、思ったように食べ物がつかめないのだ。それでも何とか食べようとするのだけど、どうしても上手くつかめない。台所に行って、箸を取り替えようかと思ったけれども、そうしなかった。彼女の前で、間を空けたくなかったから。

しかし、こちらが上手く食べられないでいると、気づいた彼女が、「箸を取ってくるね」と言って、台所に行ってくれた。


それで、僕はしばらくテーブルの前で彼女を待ってきた。その間、僕はわくわくしながら、考えごとをしていた。ああ、こうしてまた一緒に暮らすのだな、もう同じ失敗は繰り返さないようにしよう。そんなことを考えていた。


しかし、いつまでたっても彼女が帰ってこないので、僕は心配になり、台所に行った。


すると、そこにはもう彼女はいなかった。


調理道具も何もなくなり、台所全体が空っぽになっていた。


ああ、そうだ、彼女は出て行ったのだった。


僕はようやく思い返して、悲しくなった。


そんなところで、目が覚めた。




僕は、起きると、シャワーを浴び、髭を剃って、歯を磨き、洗濯をしてから、出かける準備をした。


今日は、春先に買ったルイヴィトンのハイビスカス柄のTシャツを着て、それにエルメスの白いパンツをはいた。
靴はどうしようと思ったら、靴箱からこの間のセールで買ったエルメスの白い靴が出てきた。靴底がヌメ革で、磨り減りやすそうなので、ゴム底でも貼り付けてから履こうかと思い、そのまま一度も履いていなかった。しかし、靴底が磨り減ったら、担当さんに頼んで修理してもらえばいいわけだから、気にしないで履くことにした。


上下夏らしい格好をして、裾上げをしてもらったスラックスを受け取りに、エルメスに行った。
お店に着くと、担当さんと目が合った。担当さんは接客中だった。担当さんがそばに来て、「しばらくお待ちくださいね」と言った。いつもながら、笑顔の素敵な美しい女性だ。


それで、僕は店内をあれこれと見て回った。店内はすっかり冬物に変わっていた。茶色や小豆色を使った縦ストライプのニットや靴下が並べられていた。今年の秋冬はこういったトーンで行くのだろうか。なかなかかっこいいシャツがあったが、値段をみると、15万円だった。通常のエルメスのシャツよりもさらに高い。


しばらくすると、担当さんがいつもの笑顔で戻ってきて、スラックスを持ってきてくれた。

ダブルに裾上げされたスラックスにはエルメスらしい気品があった。

他愛ない話をしたのち、荷物を受け取ると、彼女に見送られて、僕は店を出た。



紙袋を手に提げて、僕は自宅まで歩いていた。歩きながら、僕は彼女のことを思い返していた。


付き合い始めた頃、僕と彼女は初めてディズニーランドに行った。僕自身、ディズニーランドに行くのは初めてだった。5000円で入場したら、中の乗り物は乗り放題だとは知らなかった。しばらく遊んで、飲食店に入ったら、飲み物、食べ物の高さに驚いた。今考えれば、ごく普通の値段なのだけれども、彼女と付き合う前まで、長い間、引きこもって暮らしていた自分は、アミューズメント施設の価格に馴染めなかった。その何もかもがひどく高く思えた。



大体において、僕は貧乏性である。生まれ育った環境がわりと貧しかったし、両親がともに贅沢を知らない人たちだったから、僕も自然に両親の金銭感覚を受け継いでいた。


僕の両親は二人とも母子家庭だった。瀬戸内の貧しい家庭に育ち、日本人と在日韓国人という、当時としては極端に例の少ない結婚をした。周囲の反対が強かったらしく、両親はそれぞれ家を出て、瀬戸内の工業地帯を転々としながら、無一文の二人暮らしをしていた。そのうち、両親は広島の市街地の外れに落ち着いた。親戚や幼馴染がひとりもいない環境で、二人は共働きをし、蓄えをしていった。


僕が生まれたとき、風呂のない古い木造のアパートに住んでいた。ぐらぐらする欄干を掴んで上り下りしていたことや、定期的にやってくる汲み取りの車の臭い糞尿の匂いを今でも覚えている。それでも、生まれたときから、そんな暮らしをしているのだから、特に不満もなく、風呂がない代わりに、銭湯に行くのが温泉旅行のようで毎日楽しかった。


その後、僕たちは、長屋に引っ越してから、古い一戸建ての借家に暮らした。それと同時に、僕は地元の幼稚園、小学校、中学校に通った。僕が育った町はどちらかと言えば下町で、中学の学区内には、在日の子供や部落の子供が多かった。中学の校舎の近くには屠殺場があって、そこから出る血の匂いが町中をずっと覆っていた。体育の時間、校庭にいると、血と脂の臭いでしばしば気持ちが悪くなった。


中学を卒業して、市内の公立高校に通い始めた。この高校は郊外にあって、市内の、経済的にも、学力的にも平均的な学生が多かったように思う。それから、大学に進学するために、上京した。この高校、大学時代に、ときどき、友人から、いきなり、「俺の古着をやる」と言われることがあった。当時はその真意がよく分からなかったが、今考えると、彼らの家庭の経済水準に比べて、生活感覚の貧しいこちらに同情してくれていたようだ。


貧乏な家庭に育った人間は、金銭感覚も貧乏性になりやすい。それでも、当人が小さい頃からその水準で育っているのであれば、本人としては、何の不満も覚えないだろう。ただ、ひとつ問題が起きるとしたら、それは自分の友人や恋人との経済感覚の違いから起きる行き違いかもしれない。


中学の頃、当時の友人たちと遊んでいると、彼らはときどきコンビニでハンバーガーを食おうと言った。僕はいつも断わった。お小遣いがもったいなかったから。それでも、友人はおなかが空いているか、自分だけハンバーガーを買った。しかし、一人だけ食べているのは申し訳ないのか、僕にもかじらせてくれた。高校の頃、何人かの友人たちの間で、学校の帰りに駅前のお好み焼き屋で、お好み焼きを食べるのが流行っているらしかった。しかし、僕には500円のお金がもったいなくて、一度も付き合ったことがなかった。今考えると、二度とない青春期に、もったいないことをしたと思う。


大学に通っている頃も似たようなものだった。靴は常に一足しかなく、履きつぶして、穴が開くと、近くの靴屋に行って、一番安いのを買って、その場で履き替えて、それまで履いていた靴を公園のゴミ箱に捨てて帰るような生活をしていた。


その一方で、日常生活以外のことについては、僕の金銭感覚は壊れていた。今考えるとどうでもいいようなものに大金をつぎ込んでいた。芸術だの、哲学だの、文学だの、そういったものに、何かお金には換算できないとてつもない価値があるのだと信じていた。パンの耳をかじりながら、無理な買い物をしていた。当時の僕のエンゲル係数は極端に低かった。


今考えると、そういう自分の金銭感覚を反省せずにはおられないけれども、当時の自分としてはそれが当たり前だった。



その自分が、彼女と付き合い、初めてディズニーランドに行ったのである。


帰りに、彼女が土産物屋で、ミニーの赤いビニール製の手提げを見ていた。値段を見ると、ちょっと高いと思った。「買ってやろう」の言葉が出ないまま見ていると、彼女はそれを自分で買いにレジに持って行った。



その後、僕は、一流企業に勤め、都心にマンションを買い、生活がどんどん向上した。そのうち、食べるものも、着るものも、以前では考えられないほどよくなった。


孝行したいときに親はなしという。しかし、幸いなことに、僕の両親はまだふたりとも健在だ。それで、僕は、ときどき、エルメスのスカーフだの、ヴィトンのTシャツだのを買って送る。しかし、たいていのものは、両親にはもったいないらしく、そのまま取っているようだ。両親の金銭感覚は昔も今もさして変わっていない。それでも、母などは、上京してくるときに、僕が送ったヴィトンの手提げをうれしそうに下げてくる。間に合ってよかったと思う。


それに対して、彼女の方はどうだろうか。今、振り返ってみたところで、僕は彼女に何もしてあげられない。


よく、女性タレントが青年実業家と結婚したということがマスコミで報じられる。その場合、通常のカップルに比べて、多少なりと年齢差があるのが通例のようだ。それはそうだろう。ある女性が若く美しく輝く年代と、男性が自立し男として成熟する年代には少なからず開きがあるのだから。



自分の人生において、残念に思うことは、初めて付き合った女性に何もしてあげられなかったことである。


それだけは、今の僕にはどうすることも出来ない。






2007-09-13 22:32:37
【御伽噺】娯楽の国



昔、ある若者が砂漠を旅していた。


ある夜、彼はあるオアシスにある都にたどり着いた。


そのオアシス国家は高い城壁で囲まれていた。


入り口まで来ると、門番の人が気軽に若者を入れてくれた。


中に入ると、そこは楽園で、多くの人たちが楽しく暮らしていた。


その国の名は「娯楽の国」といった。



若者が入ってきたのに気がつくと、多くの人たちがその若者を温かく迎えてくれた。


そうして、若者のために宴会を開いてくれた。


若者は元来宴会の類は苦手であった。


しかし、彼らの明るさ、親切さに心を打たれて、なるべくその宴会に積極的に参加するように努めた。


さて、その翌日、若者が泊めてもらった部屋で寝ていると、家の主が訪ねてきた。


今日もまたあなたのために宴会をするから、来てくれという。


若者は喜んでついて行った。


そして、昨日と同じように乱痴気騒ぎの中で、若者も皆に調子を合わせていた。


さて、そのまた翌日、やはり泊めてもらった部屋で寝ていると、家の主が訪ねてきた。


今日もあなたのために宴会をしたいという。


若者はげんなりしながらもついて行った。


しかし、途中で気分が悪くなり、若者は途中で退席した。


さて、そのまた翌日、またしても家の主が尋ねてきて、また宴会だという。


若者は断わった。


家の主人は若者を変人を見るような目で見た。


「宴会に参加しないとは!」


彼の目はそう言っていた。


その表情は、明らかに怪訝そうだった。



その夜、若者はオアシスの中にある小高い丘の上から城壁の外を見ていた。


すると、遠い向こうに、赤々とした炎が見えた。


若者はあわてて、家の主人に言った。


「大変です。あの方角にものすごい炎が上がっています。おそらくは戦に違いありません。戦災で多くの人たちが被害をこうむっていることでしょう。」


すると主人は言った。


「ああ、いいんですよ。あの国は、いつものことですから。われわれには関係ありません。」


そして、付け加えていった。


「それより、今日も宴会があるんですよ。


あなたもぜひいらっしゃってください。


みんな、あなたがいらっしゃるのを楽しみにして待っているんですよ。


あなたもわれわれと楽しく過ごしましょう。


あ、そうそう、今週末にはピクニックがあります。


その夜にはキャンプファイアをする予定です。


あと、この秋には、ラクダの賭けレースがあるんですよ。


レースの合間には、若い女性たちが舞い踊るのです。」


僕はぞっとした。



その夜、僕はその国を抜け出した。


とてもじゃないけれども、付き合いきれない。


僕は親切なその国の人たちに、心の中で別れを告げた。


「あなたがたはお幸せに。」


そして、僕は足の埃を払った。

(マタイによる福音書 10 14/マルコによる福音書 6 11/ルカによる福音書 10 11)



それから若者は戦火の立ち上る国へ向った。


若者は、長い間歩き続けて、ようやくその国にたどり着いた。


その国の名は「争いと憎しみと猜疑心の国」といった。


その国も前の国と同様に高い城壁で囲まれており、入り口まで来ると、体格のよい門番が槍を持って立っていた。


それで、若者がその国に入れてくれるように頼むと、その門番は槍の先を若者の旨に突きつけて言った。


「この国に入ろうとする者のうち、通行証のない者はすべて間諜とみなし、誰であろうとも殺す。」


若者はやむを得ず、その国の城壁をぐるぐると回ったが、どうにも出来なかった。


中からは多くの人の叫び声や悲鳴が聞こえてくる。


しかし、中に入れば、殺されるのだ。


若者は悩んだ。


私はどうしたらよいのだろう。



仕方がないので、若者はどちらの国にも入らず、野宿をしながら、考えた。


私はどう生きるべきなのか。


世の中はどうあるべきなのか。


砂に横たわり、石を枕にし、星を仰ぎながら、若者は考えた。


どうにもできない世の中のことを。



それから、若者は考えたことをひとつひとつ紙に書き始めた。


そして、それらを集めて、束にすると、木箱に納めて、砂漠の砂の奥深くに埋めた。


そんなことをしてどうなるのか、若者自身にも分からなかった。


けれども、若者はそれを繰り返した。



やがて、その若者はその砂漠で死んだ。


死んだ若者の遺体は鳥に啄ばまれて、骨だけになった。


その骨もやがては砂に埋もれた。




それから、何千年もたって、砂漠からいくつかの木箱が発見された。


その時代の人たちは、その木箱に納められた文書をあれこれと解読した。


そうして、研究者たちは、昔、こんなことを考えた者もいたのだと言った。



さて、僕は、最近、自分がそんな文書を書いているような気がする。


ブログの寿命ってどのぐらいかしら。


ここのブログはいつまで僕の文書を保管しておいてくれるのかしら。


僕自身、明日にはひょっこり死ぬかもしれません。


そのときには、僕が書いた文書だけでも残るといいのだけれども。


誰かが僕の文書を印刷して保管しておいてくれないかしら。



いつの日にか、北の民がこの文書を読む時代が来ることを祈りながら、僕はこの文書を記す。


(読者よ、悟れ)






2007-08-19 09:25:25
【散文】僕の恋人は嫌な人



寝ても、覚めても、起きていても、心に思い浮かぶのは、あの嫌な人のこと。


家族よりも、友人よりも、恋人よりも、あの嫌な人のことで頭はいっぱい。


彼女と散歩していても、別の人と手をつないで歩いてる。


彼女から話しかけられても、僕はまるで上の空。


僕の恋人は嫌な人。


勤務中、僕は嫌な人と毎日デート。


帰りの電車の中でも、僕は嫌な人と毎日デート。


夢の中でも、僕は嫌な人と毎日デート。


あの人は僕を追いかけ、僕はあの人を追いかけている。


僕はもうあの人に夢中だ。


僕の世界は、あの人を中心に回っている。


愛する人以上に、あの嫌な人のことを考えて暮らしている。


いずれ、愛する人は僕を見限るだろう。


そうなると、僕はいよいよあの嫌な人とふたりっきりだ。


ふたりのために、世界はあるの。


僕はもはやあの嫌な人のことしか考えられない。


あの人なしには生きてはいけない。



嫌な人のことよりも、愛する人のことを考えんさい。






2007-09-25 23:25:25
【詩】心の傷を僕は求める



君のジェラシーを一身に受けて、僕は立ち上がる。


君のジェラシーのおかげで、僕には詩が生まれる。


そう、君がいつも悔しがる、あのけっこうな詩の数々が。



君が僕にプレッシャーをかければかけるほど、


僕の詩心は生気を取り戻す。


もうずいぶん前から、僕は傷つくことを恐れない。


いや、恐れながら傷つく術を、僕は掴んだのだ。



傷つけ、僕の心よ。


お前の痛みに自ら震えよ。


痛みこそが、お前のすべて。


僕は癒えることを望まない。


僕の痛みは、同胞(とも)の痛み。


だから、僕もそれを共にしよう。



僕が傷つけば傷つくほど、僕の心は豊かになる。


僕の心が豊かになるほど、そこから無数の詩が溢れ出る。


傷ついた心の泉から詩が湧き出す。


尽きることのない、新鮮な詩の数々が。


僕にはその断片を書きとめることすら出来ない。



僕は歌い続ける、心の擦り切れるその日まで。


僕は歌い続ける、無我になるその日まで。



だから、中傷者(とも)よ。


君のいつものうたを聞かせてくれないか。


あのジェラシーに満ち溢れた誹謗と中傷のうたを。


君の生きがいは人を傷つけること。


僕の生きがいは傷つけられた心を癒すこと。


君の生きがいは僕の生きがい。



さあ、早く、君の新作を披露しておくれ。


小さい頃、君が近所の子にしたのと同じやり方で、僕も傷付けてくれないか。


その憎しみと恨みのうたを、僕にも聞かせておくれ。


ただ、その前に言っておきたいことがある。


その、あらかじめ用意してきた、知識と理屈の逃げ道を塞ぎたまえ。


それは心してきた者にふさわしいやり方ではない。


それが出来たら、自分が用意したその罪の杯を一気に飲み干したまえ。



さらば、中傷者(とも)よ。


自らの中毒者よ。






2007-08-19 18:59:36
【散文】見ずして信ずる者は幸福(さいはひ)なり



あるところに、二人の男女がいた。


二人は交際していた。


女は美しく、男は嫉妬深かった。


あるとき、男は女の浮気を疑った。


女は違うといったが、男は信じなかった。


あるとき、男は、女が携帯電話で話をしているのを見て、疑いをかけた。


そして、男は、女に携帯電話の履歴を見せてみろと言った。


女は断わった。


女が断わったので、男はさらに怪しんで、どうしても見せなければ別れると言った。


女はやむをえず携帯電話を男に差し出した。


男が調べてみると、そこには不審なものは何も見当たらなかった。


男はようやく安心した。


その顛末を見て、女は言った。



「なんぢ我を見しによりて信じたり、見ずして信ずる者は幸福(さいはひ)なり。」
Jesus saith unto him, Thomas, because thou hast seen me, thou hast believed: blessed are they that have not seen, and yet have believed.
(ヨハネによる福音書 20 29)






2007-07-25 22:22:44
【詩】幸福のなる畑



他人の畑になる幸福を、勝手にもいでは食うとった。


他人の畑になる幸福は、いつも美味そうに見えとった。


ほいじゃが、食うて美味かったためしは一度もないわのう。(´・ω・`)


食うては吐き捨て、食うては吐き捨て、


それの繰り返しじゃわ。



ほいじゃが、ある日のことよ。


わしゃ、猿のように反省し、ようやく悟ったんじゃ。



美味そうなもんが美味いとは限らんのじゃ。(`ω′)!



ほいじゃが、美味そうで、美味いもんもあるんじゃのう。


困ったもんじゃ。(´・ω・`)



ほいじゃがよ。


いずれにしても、それがわしのもんではないのは確かじゃのう。



諸法非我じゃ(*)。(`ω′)!



この世のものは、我(がもの)に非ず。


さすが、お釈迦さんじゃのう。偉いわ。


処女宮を守っとるだけのことはあるわ。



ほいじゃが、詩なんか、これ。(´;ω;`)



まあ、ええわ。


わしゃ、もう寝るわ。



じゃあの。(`ω′)!



*・・・わしは無我よりも、非我の方が好きじゃ。






2007-08-10 22:13:50
【唱歌】いい子のるるちゃん



 るるちゃん るるちゃん


 るるちゃんは いい子だ


 カルカン 食べて


 朝まで お昼寝



 るるちゃん るるちゃん


 るるちゃんは いい子だ


 お散歩 ついでに


 トカゲの お土産



 Word by toraji.com


 Music by John Lennon & Paul McCartney as "Little Child"



ビートルズ(The Beatles)の「リトル・チャイルド」("Little Child")に合わせて唄うてくれや。



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2007-07-02 22:18:14
【日記小説】君にハートはドキドキ?


わしは今某外資系コンピュータ会社で働いておるんじゃ。

ほいで、今年から提携先の会社で働いてるんじゃ。

じゃけん、自席のある事業所にはほとんど行かんのじゃ。

ほいじゃが、今日は全体会議があるとかで、久しぶりにその事業所に行ったんじゃ。


で、着いてから1時間ほどでその会議が終わったけん、そのまま、いつもの勤務先に向ったんじゃ。

まず、某私鉄に乗ってから、次に某JR線に乗り換えた。

で、そのときに3人掛けのシートの右端が開いておったけん、そこに座ろうとしたんじゃ。

そうしたら、席の隅に携帯電話が落ちとったんじゃ。


こりゃ、忘れもんじゃ。(`ω′)!


そう思うて届けようと思ったんじゃけど、時間がないけん、着いてからにしようと思ったんじゃ。

ほいじゃが、この携帯を拾うときにちょっと心配になってしもうた。

拾うときに周りの人にヘンに思われたりしたらどうしようか、わしがネコババしとるみたい思われたらどうしようか、て思うたんじゃ。

そう思うたら、不安になってきたけん、しばらくは拾わんことにしたんじゃ。

まだ、目的地まで長いけんのう。


で、しばらくしておったら、途中の駅で、同じシートに座っとる若い人と、向かいのおじさんが降りていった。


これで大丈夫じゃ。(`ω′)!


そう思うて、ようやく携帯を拾うたんじゃ。

スライド式のふたを閉じて、自分のシャツの胸ポケットに入れた。

それからずっと電車に乗っておった。


ほいじゃが、その間、ずっと周りの人から声をかけられたらどうしようかと思うて、ずっと不安じゃたわ。

わしゃ、案外心配性なんかもしれんのう。

じゃが、少なくとも、持ち主はとっくに降りとるし、周りの人らもほとんど降りたみたいなけん、大丈夫じゃろうと思っておったんじゃ。


ほいじゃが、しばらくぼーっとしておったら、突然、携帯が振動を始めたんじゃ。


わしの左胸が急にブルブル震え出した。


マジでビビッたわ。


どうしよう。出るに出らんわ。(´;ω;`)


持ち主からかのう。それとも、持ち主の友人からかのう。

かといって、勝手に出るわけにもいかんしのう。

いろいろ考えたんじゃが、ここはやっぱり無視じゃ。無視するしかない。

そう思いよったら、電話が切れた。


よかったわ。(´;ω;`)


安心しつつも、びくびくしよったら、二回目が鳴った。


どうしよう。またじゃ。(´;ω;`)


もうぶるぶるしよるんが、携帯なんか、わしなんか、よいよ分からんわ。

こうなったら無視じゃ。

どの道、届けるんじゃ。持ち主も文句言わんじゃろ。

そう思うて、わしは知らん顔をしておった。


ほいじゃが、知らん顔をしておったら、目的地まであと3駅のところで、何か知らん兄ちゃんが声をかけてきたんじゃ。


「あの、さっき、この席で携帯忘れたんですけど、調べさせてもらっていいですか。」


何ぃ。(`ω′)!


持ち主がまだ乗っとったとは!


びっくりしたわしゃ、あわてて自分の胸ポケットに入れた携帯を差し出した。


「これじゃないかのう。さっき拾うて、あとで届けようと思うて、ポケットに入れておったんじゃ。」


「ああ、これです。ありがとうございます。」


お兄ちゃんはわしに向って、一礼した。

見上げると、お兄ちゃんの彼女らしき女の子が携帯を持っておった。

どうも、この子の携帯からかけて、わしの様子をうかがっておったらしい。



こんな若い娘さんにリモコンで遠隔操作されておったとは。くー。(´;ω;`)



その子と目が合うと、彼女もわしに一礼した。


危なかったわ。


何も知らんで、この子らの目の前で電話に出たりしておったら、シバかれとったかもしれん。


わしゃ、その後、しばらくドキドキしておったわ。

わしゃ、案外、気が小さいんかのう。

わしもまだまだじゃ。



っちゅうわけで、今日の日記はこれまでじゃ。


みんなも落し物には気をつけんさいや。


じゃあの。(`ω′)!


P.S.今日の小説ランキングをみたら、わしが3位じゃったわ。
なんか、訳分からんけど、みんな読んでくれとるんじゃのう。ありがと。
足跡もやたらとつくわ。

今月はとりあえず1位になれるようにがんばるわ。


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