今日は論争について、考えてみます。


まず、その前に、争いについて考えてみます。


何故ならば、論争は争いの一種だからです。



争いというものは一般的にあまりよい良いイメージがもたれないですね。


しかし、冷静に考えてみると、争いごとは必ずしも悪いことではないような気がします。


例えば、ボクシングのような格闘技は、争いごとですけど、別に悪いものではないですよね。


つまり、こういうことです。


【命題】 争いはそれ自体悪いものではない。


しかし、その一方で、例えば、格闘家が格闘中に凶器を使ったり、路上で格闘家ではない人を格闘技によって傷付けると問題になりますね。


そう考えてみると、争いは良し悪しがあって、それを分ける条件は何かというと、結局のところは、合法性にあるんじゃないかと思います。


つまり、争いには以下の2種類があって、


1.合法な争い


2.非合法な争い


前者はOKなんだけど、後者はNGってことです。


つまり、


【命題】 争いには、合法なものと、非合法なものの2種類ある。


【命題】 非合法な争いは許されない。



合法な争いというのは、「当事者の合意による争い」のことですね。


【定義】 合法な争い:=当事者の合意による争い


【定義】 非合法な争い:=当事者の合意によらない争い


ところで、非合法な争い(当事者の合意によらない争い)というのは、以下の二種類がありますね。


1.当事者の合意が得られていない段階での争い(一方的に喧嘩を吹っかけるなど。いわゆる「道場破り」)


2.当事者の合意した内容に反する争い(凶器を使うなど。いわゆる「反則」)


要するに、争うつもりのない人に一方的に喧嘩を吹っかけたり、反則をしたりするのは許されないということです。


で、最初に述べた争いについての命題を、争いの一種である論争に対して適用すると、以下のように言えますね。


【命題】 論争はそれ自体悪いものではない。


【命題】 論争には、合法なものと、非合法なものの2種類ある。


合法な論争というのは、要するに、ディベートですね。


例えば、法廷において、弁護士が論争したり、国会において、政治家が論争したりする類ですね。


こういう論争は別に悪いものではないと思うのですよ。


問題は、非合法な論争にあるんじゃないでしょうかね。


つまり、以下のような論争ですね。


1.当事者の合意が得られていない段階での論争(一方的に議論を吹っかけるなど)


2.当事者の合意した内容に反する論争(ルール違反)



以下、個人的な話ですが。


’90年代以降、東アジアにおいて歴史認識に関していろいろな議論がなされましたね。


日韓ハーフの僕は、最初、こういったことについて議論が活発に行われるのはけっこうなことだと思っていたのですが、だんだん、議論が論争になり、合法なものから非合法なものに変わっていくのを見て、なんだかいたたまれない気持ちになったものでした。


例えば、インターネットの掲示板なんかを見ていると、自分が匿名であるのをよいことに、以下のようなことをする人がたくさんいましたね。


1.議論と直接関係のない誹謗中傷を言う


2.論争の相手に対して脅しや嫌がらせをする


3.争うつもりのない人に議論を吹っかける


なんだか嫌だなあと思ったものですが、どうしても人間社会にはこう言う一面があって、なかなかなくなるものではないですね。


もうちょっと人間が、頭脳的にではなく、精神的に、成熟しないといけないような気がするのですが。


(以下、続く)



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