ついにアメリカ上陸! ハワイで「ベーシックインカム」導入の可能性

国際社会はもちろん、アメリカでもテック業界を中心に関心が高まっている富の分配方法「ベーシックインカム」。その導入に発展する可能性のある法案がハワイで可決され、注目が集まっている。

HCR 89法案は「基本的な経済的保障に関するワーキンググループの招集」を政府に要請するもので、アメリカにおけるベーシックインカム導入に向かう第一歩と見られている。

ベーシックインカムが導入されると、毎月固定の金額が支給される。使い道も自由だ。

初期の調査によると、受け取ったお金を悪しき習慣や休暇などに費やす人は稀で、住宅の補修費や学費、起業資金などとして使われることが多いという。

アメリカの政治家がベーシックインカムや、関連する政策について発言することは、これまでほとんどなかった。だが、ハワイ州の民主党議員クリス・リー(Chris Lee)氏が提出した法案のおかげで、ハワイ州は政府によって支援されたアメリカ初のベーシックインカム制度の試験場となる可能性が出てきた。

自動化によって職を奪われつつあるサービス業が大きな割合を占めるハワイの経済状況を鑑みると、ベーシックインカムの導入は、ハワイ州で暮らす全ての住民の経済的な安定を確保するための、数少ないアプローチのうちの1つだとリー氏は語る。

「既存の社会的セーフティネットが経済の変化によって脅かされることを許すよりも、生活コストを下げ、人を貧困から守り、大金を使わずとも生活の質を向上させる能力が我々にはあると考えている」とリー氏はBusiness Insiderに語った。

数年前、Redditでベーシックインカムを初めて知ったというリー氏は、生きているだけで給料が発生するというアイデアに興味をそそられたと言う。同氏は特に、アメリカンドリームの再定義という文脈において考えを深めてきた。

「一生懸命働けば、いい暮らしが送れるという考えは、自動化やイノベーションによって職を奪われた人たちが数多く存在する経済状況には当てはまらない」

今回の法案により、ハワイの有識者たちが貧しい労働者世帯に税金を還付する「給付付き勤労所得税額控除」を含む、様々な社会保障制度に関するデータを収集することになる。ベーシックインカムの導入を支持する調査結果が出れば、州政府が必要な検討に入る可能性もあるとリー氏は言う。

世界中に数多くいるテックマインドの経済学者同様、リー氏は今の時代が労働者にとって良い時代だとは考えていない。2013年に行われたオックスフォード大学の調査では、2020年代半ば頃までに、50%の仕事がロボットに置き換えられるだろうと予測されている。置き換えられる仕事の大半が、フードサービスやカスタマーサービス、小売販売やその他タスクベースの、高いスキルを必要としない仕事だと言われている。

「これは今の時代に合ったアプローチだ」とリー氏は言う。「確かな手ごたえを感じている。そしてこの感触は将来的により強いものになるだろう」

HCR 89は、ハワイ州がこれまで時代を先取りして実施してきた数多くの法案と共に、新たな歴史を刻むだろう。ハワイ州では1973年のロー対ウェイド(Roe v. Wade)事件より前の、1970年に人工中絶を認める法案を可決させており、1972年には男女平等憲法修正案をどの州よりも早く批准した。1974年には、雇用主がスポンサーとなって加入することを義務付けた医療保険の第一例となる、Hawaii Prepaid Healthcare Actを可決させている。

「ハワイには、皆にとって利益があることに対してアクションを起こすという長い歴史がある」とリー氏は言う。「前例のない新しいオプションを試す機会に恵まれることを望んでいる。それによってもたらされる利点は計り知れないのだから」

[原文: Hawaii just became the first US state to pass a bill supporting basic income — here's the man behind it ]

(翻訳:まいるす・ゑびす)

https://www.businessinsider.jp/post-34865

(日本人は、これまでと同様に、他国でうまくいっているのを見て、導入しようとするでしょう。だから猿まねと言われる)