環境にやさしい「ヴェロタクシー」! | 三太・ケンチク・日記

環境にやさしい「ヴェロタクシー」!

環境共生都市推進協会:森田記行さん

僕が「ヴェロタクシー」を初めて見たのは、たぶん3年前の秋神宮外苑の銀杏並木だったと思います。カラフルでユーモラスな車体が5~6台勢揃いしていました。今まで見たことのない乗り物なので、ビックリしたのを憶えています。その後、表参道や六本木ヒルズの近辺で何度か走っているのを見かけました。そして先日、愛知万博へ行ったときに初めて乗る機会がありました。体格のいい男が二人乗っても、楽に動きました。「補助電動アシストがついているから楽なんですよ」という若い運転手さんとの会話が、また楽しいひとときでした。




ドイツ・ベルリン生まれの「ヴェロタクシー」は、排気ガスを出さない環境に優しいタクシーとして、ヨーロッパでは11カ国・20都市で市民に親しまれているそうです。日本では2002年5月に京都に上陸し、2002年10月に東京へ進出しました。東京進出後、当初の10台ではお客様の要望に答えきれず、3月に倍の20台に増車したそうです。「ヴェロタクシー」を開発したドイツの会社とパートナーシップを組んでいる京都のNPO環境共生都市推進協会」が母体となって、「ヴェロタクシー」は運営されています。


ヴェロタクシー」は1997年に誕生しました。特徴は何といってもこの卵のようかわいらしい形です。空気抵抗を少なくし、できるだけ早く走れるようにするためです。車体はポリエチレン製で、再生可能な素材で作られているのも、排気ガスゼロと共に、環境にやさしい車と呼ばれる由縁です。重さ144キロ。全長305センチ、幅110センチ、高さ175センチ。補助電動アシストを装備し、21段変速、前輪リム、後輪ディスクブレーキです。




前列にドライバーが座り、乗客は後列の2人がけ座席に座ります。定員は大人2名+小人1名。初乗り料金は大人300円、小人200円で、地図上で計った直線距離500mまでが初乗り、その後は100mごとに大人50円、小人30円が加算されます。1人より2人の方が重くて負担が大きいということで、一般のタクシーと違って、バスのように人数単位の課金となります。


かわいらしい形に、カラフルな広告がプリントされています。派手な「ヴェロタクシー」が表参道や六本木を走ればみんなが注目します。この「ヴェロタクシー」は単なる移動手段だけでなく、見て楽しい優れた広告塔です。他の交通広告に比べ、走行速度や目線が歩行者に近いという特徴もあります。一方、ドライバーは典型的な肉体労働だ。しかし、ファッショナブルなイメージで、女性のドライバーも多く、不思議と楽しそうに働いているように見えます。ヴェロタクシーの運転手は青いシャツと黒いパンツが制服です。




世界の台数は、600台以上。ベルリンには約80台ある。ロンドンやスイスのチューリヒ、オランダのアムステルダム、スペインのバルセロナなどに広がっています。日本は直営の4都市で32台業務提携の7都市で41台です。全国合わせてもまだベルリンより少ない。自転車タクシーを広め、地域再生にと考えたのは「環境共生都市推進協会」代表の森田記行さん(30歳)、雑誌の写真を見て目がくぎづけになったと言います。「雑誌で写真を見て、かっこええなあ、と思ったんです。運営手法にも驚いた。広告の収入で経営を支え、運賃は運転手に渡す。これなら事業として成り立ち、環境を大切にしようというメッセージも発信できる」、そして「株式会社にして利益を上げるより、まず普及させたい」と、NPO(非営利組織)での運営にこだわりました。


森田記行さんは1974年京都市山科区生まれ、2000年にドイツのヴェロタクシー社と1年ぐらいメールでやりとりし、01年9月にベルリンの本社を直接訪ね、何とか日本での独占販売権を獲得でき、02年に「環境共生都市推進協会」を設立し、契約しました。京都で営業運行を始めたのは02年5月です。貯金や家族、仲間の金を集めて、1台約100万円のヴェロタクシーを10台購入しました。京都、東京でヴェロタクシーを運行、04年には大阪でも運行、そして05年「愛知万博」に参加しました。また名古屋でも運行を開始しました。




愛知万博では「ブリジストンサイクル」と「ヤマハ発動機」、「ナショナル自転車工業」の国内3社が、助成金を受けて自転車タクシーの試作品を計20台開発しました。「環境共生都市推進協会」は各地で営業運行の実績があるので、その20台とヴェロタクシー2台の運行を任されたそうです。


*「Velotaxi Japan」は こちら