俺が小学生の時の話。
ちょっとした奇妙な遊びが流行っていた。
その名も『儀式ごっこ』。
暗闇の中、机に火のついた蝋燭と鈴を置き、
4人でその机を囲んで手をつないで輪になり、
目を閉じて、
死んだ人の名前を心の中で何度も呼び続けると、
霊がそれに答えて鈴をならす。
という、ちょっとした降霊術だった。
俺と仲間の3人は、一ヶ月前に事故で死んだ
クラスメイトのTの名前を使って、
『儀式ごっこ』をする事にした。
夜の学校に集まり、Tが使用してた机に、
火を灯した蝋燭と鈴を置き手を取り合った。
準備は整った。
「じゃー電気消すよ」
真っ暗になった教室を、蝋燭の火がわずかに照らす。
俺は目を閉じてTの名を呼び続けた。
鈴の音はしなかったが、だんだん怖くなってきた。
気のせいか、仲間が強く俺の手を握ってきた。
みんな怖いのだろう。
二重の暗闇が怖くて、目を開けたくて仕方なかった。
けれど、もしTの幽霊がいたら・・・
結局、儀式はわずか3分で終了した。
何かあってからでは遅いし・・・
俺達とTはそんなに親しくなかったから、
話すことも何もなかったし・・・
後日、その日の事が担任の先生にばれて、
めちゃくちゃ怒られた。
『儀式ごっこ』は禁止となった。
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