デフォルメの産物 | 蛾衣の京劇衣箱

デフォルメの産物

京劇1今回は衣装小物のデフォルメについて私の思いを語ります。

 

京劇の扮装は写実では無く極端に一部をデフォルメした物らしいですね。例えば将軍役が背負う旗は従う軍隊を現すとかマントを着た役は北方や寒い地方の役だとかリンズを着けた役は少数民族だとか知っていると結構面白いもんです。

 

有名な楊貴妃を主役にした「貴妃酔酒」を初めて見た時に楊貴妃の腰に下がっていた玉帯を見てなんじゃこりゃ?と思いました(笑)普通なら身体にフィットした帯だろうけど玉帯はフラフープ(古い!)のごとく腰にぶら下がる状態でした。不思議に思い聞いたところ役者さんの身体を大きく見せる為だとか。

 

水袖もびっくりでしたねえ。服装の袖から伸びた白い1mほどの布ですが本によると明代の服装の袖を誇張したものとあります。最初は違和感がありましたけど今はこれが無いと京劇と思えないから不思議。

 

日本舞踊では着物の袂を使って巧に踊りますが京劇でもそうで更に感情表現などを水袖を使って行うと教えてもらいました。男旦のごつい手を隠すにも良いらしいです。

 

後は馬鞭もあの房の付いた1本の鞭が舞台の上では馬を現すのです。これも最初は笑えましたが上手な演技だとそこに馬の姿が浮かんでくるのには驚きですね。1本の鞭に命を吹き込む役者さんて凄いなあって思いますよ。