私、「ジャケ買い」ならぬ『装丁選び』、結構してしまうんですよねぇ。
下の写真より、もっと色が濃くて美しい装丁です。
この表紙を眺めていると、ほわぁっと幸せな気分になるんですよねぇ。
恩田 陸
クレオパトラの夢
ある製薬会社で世界中を飛び回っている神原恵弥は、たまたま休暇で日本に滞在していた。そして家族から頼まれ、双子の妹、和見を連れ帰るために雪国H市までやってきた。久しぶりに会う和見は何だか様子がおかしい。 和見の不倫相手、若槻教授が自宅の階段から落ちて事故死してしまったのだ。その死に関わりがないはずの恵弥に、和見は疑いの目を向けていて・・・。
論点はひとつ、彼は本当に事故死だったのか。
交錯する、静かな駆け引きが今、H市で繰り広げられる。
「MAZE」に続くシリーズ第2弾。
恵弥のキャラが特異。
オネェ言葉を話す美系の男、正確には、ゲイなんだけど、オカマじゃないみたい。 カテゴリー自体よく理解してないので、女装してないからオカマじゃないかな、と。曖昧でスンマセン。(誰か分かる人がいたら教えて!)
酷薄そうな美貌を持つこの恵弥は、製薬業界の裏を渡り歩くビジネスマン。謎が多い人物で、「MAZE」の時はかなり危険人物扱いされていたが、この作品で人間臭いところを持ち合わせた愛すべきキャラクターであることが証明された。
双子の妹、和見も恵弥に劣らぬ鋭さで、彼を追い詰める。「双子の妹ってやりにくい」と恵弥が言う通り、和見の本心が見えてこない。和見の不倫相手の事故死、「クレオパトラ」の謎。複雑に絡み合った糸を恵弥は徐々に解いてゆく。
会話によって展開する心理戦。
過去の火事の真相。
和見の不倫相手、若槻教授が探していたものは?
恵弥は、「クレオパトラ」を見つけられるのか?
読み始めてすぐに「恵弥っていいなぁ」なんて思って、彼を応援する。そうなると、彼の敵は一体誰なのか知りたくなる。そして、恵弥には不幸になって欲しくないな、と願う。こっちの心理を手玉に取られているようで、悔しいが、それがまた快感だ(笑)。本当に恩田さんはこういうの上手だよなぁと思う。一番信頼している妹和見の失踪が裏切りなのか、それとも何者かに連れ去られたのか。 恵弥を罠に嵌めようとしている人物がいるの?それは妹の和見?もう、ドキドキする!
相手の顔色や言葉、行動からその裏を読み、その一歩先へ行く。その一歩が踏み出せず、ぐずぐずしていると命取りになる。そういう世界で生きてきた恵弥の強さに憧れる。恵弥のキャラの濃さに完敗っす!
第3弾、書いてくれないかなぁ、恩田さん。