私は金沢に行くと昼間は殆ど北間(地名)の高光一生先生の工房で先生のお手伝いをしていますが、もっぱら庭の掃除や作品を運んだりの力仕事が担当。
北鉄金沢駅から内灘に向かい、10分程で北間の駅に着き、徒歩1分。門を入ると森のような敷地に自宅、工房、ギャラリー自芸夢、直道(じきどう)と云う蔵の高光家代々の記念館もある。
先生にご挨拶をするやいなや『お~良いときに来た、あそこの~・・・』と早速何点かの片付けを指示され、黙々と作業をしています。
しばらくすると自宅から母上(先生の奥様)が、ゆったりと現れて『ほんに~気の毒に~東京からおいでになって直ぐに父さんにこきつかわれて~、ほんに可哀想やわ~、今、コーヒーをいれるから、こっちに来まっし』と穏やかな金沢の言葉が心を癒してくれます。
高名な画家の家の嫁として、陶芸家の妻、そして二人の陶芸家の息子の母としての振舞いに母上と自然に呼んでしまいます。
ギャラリー自芸夢で母上様の入れたコーヒーをいただいて、先生の父、高光一也先生のエピソードなどを聞けるのも楽しみの一つであります。
『婦人画の高光』と呼ばれ、数多くの婦人画の作品を残し、淡谷のりこさんの『紫のコスチューム』も一也先生の作品。
母上が若い頃、画室に呼ばれ、制作中の作品についてどう思うか聞かれた時に思った通りの事を言うと、たちまち怒りだしてしまい、画室からよく追い出されたそうです。
数時間後にまた画室に呼ばれると、母上が言った通りに作品が手直しされ『お父さん、良いと思います』と言うと『素人に何が解る!』とまた怒られたようです。
そんな話を聞いていると今、美術館や個人蔵で所蔵されている作品は母上が怒られながら率直な感想を述べて完成された作品のような気がいたします。
今日は高光一也先生の作品の一部をご紹介致します。